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まっ白なしんぶんがきっと来る

投稿者
斎藤秀雄

まっ白なしんぶんがきっと来る 西秋忠兵衛

 
待望か不安か、それとも怯えか、書いていないので分からない。書いてあることから確実に分かることは、「それら」がまだ来ていない、ということだ。それらを、この作中の主体は、ここに書かれたことばを語るナレーターは、見たことも触れたこともない。おそらく朝に来るだろう。その白さは目を灼くように眩いことだろう。それらはいつ来るのか。五分後かもしれないし、来年かもしれないし、人類が滅びたずっと後のことかもしれない。しかし《きっと来る》ことには間違いがない。それらはまだ現実化していないし、顕在化していない。たんに現実化可能であるというだけだ。それらはいまだ潜在的で可能的な領域に留まっている。「見えないもの」であり続けている。この「留まり」は、文藝と、すなわち「書くこと」と同一であるだろう。ぼくたちは、待望しつつ、不安に怯えつつ、たんに現実化可能であるだけの、潜在的で可能的なことを行い続けなければならない。

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タンポンの紐を引いたら割れる星

投稿者
涅槃girl

タンポンの紐を引いたら割れる星 あまの太郎

 
「短歌、作ってみたい!!」

何の知識もないのに突然衝動のままに詠み始めて一か月。ツイッターのアカウントもつくり、他の人とも段々と交流が深まってきた、2019年初頭。
突然目に飛び込んできたのがこの句だった。
「……はあ?? タンポン?? 紐を引くと星が……割れちゃう!?!?」
フォロワーであるあまの太郎さんのツイートに表示されたあまりに衝撃的な言葉の連なり。
狂人の戯言(失礼)……と訝しみながらも、その「五七五」から目が離せない。どんどん惹きこまれていく。
どうやらこれは「川柳」らしい。
「川柳!?!?」
川柳って、「愛犬のポチと一緒に妻の愚痴」みたいなのじゃないの!?これも「川柳」なの??
混乱しつつなお読むと「毎週web句会」「平抜き」などと見慣れぬ文字がツイートされている。
ググる。ひたすらにググる。

「……自分も、やってみたい……!!」

わたくしの「句」が「毎週web句会」に「平抜き」で掲載されるのは、それから一か月後のことだった。

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誰にも負けないと句碑建てる意欲

投稿者
藤井智史

誰にも負けないと句碑建てる意欲 藤井智史

 
2019年5月25日(土)、私の地元、岡山県笠岡市の笠岡市保健センター(ギャラクシーホール)にて、井笠川柳会第20回記念笠岡大会(第58回蘖大会)が開催されます。

第1位(井笠川柳会長賞)には、句碑を贈呈します。

皆様のご参加を宜しくお願い致します。

以上、井笠川柳会笠岡大会のご案内でした。

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生乾きミイラ離さぬ定期券

投稿者
福村まこと

生乾きミイラ離さぬ定期券 福村まこと

 
カナダに移住して47年。日系二世・三世の子どもや孫達は、疑いもなくカナダ人としてこの地に根を下ろしているが、私のような日本育ちの一世から日本が消えることはない。こちら風の生活習慣に戸惑いもなく市民生活を送っていても、何かにつけて日本と比較をしている自分に気が付く。子どもや孫達にとっての日本は一番近い外国であるが、一世には母国であり、その距離感に変わりはない。カナダにおける日系人社会は極めて小さいが、この半世紀における日本の発展と繁栄は大きな心の支えになっている。この地に骨を埋めるつもりでいるが、日本と日本人に誇りと敬意を表する。

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死顔の美しさなどなんとしよう

投稿者
木本朱夏

死顔の美しさなどなんとしよう 時実新子

 
訃報は突然にやって来るものだが、彼女のそれは余りにも突然だった。
「余命一カ月」と宣告された。膵臓がんだった。帰宅してすぐ二人の子どもそれぞれに長い手紙を書き、身辺を整理したという。彼女はまだ50代だった・・・・・・。
告別式の写真に既視感があった。一点の曇りも無い明るい笑顔、洋服はコバルトブルーに白い水玉模様の遺影。何かの会合で私が撮ったスナップの一枚だった。彼女が自ら用意したとご遺族に伺った。人は生きて行くのにこんな明るい春の日に、自分一人が旅立ってゆくのだ。どんな思いでアルバムを開いたのだろう。無念だったろう・・・・・・。 あれから20年。私にはまだ遺せる一枚が無い。

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