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手と足をもいだ丸太にしてかへし

投稿者
木本朱夏

手と足をもいだ丸太にしてかへし
鶴 彬

 
3年前から金魚を飼っている。2年前の12月、そのうちの1匹が病気になった。水槽の底に添って泳ぐというよりヨロヨロと這い、疲れるとじっとして、また思い出したように這う。まるで金魚のリハビリだ。動く時に電流が走ったように体中をビビッビリビリッと震わせる。で、名前はビビビ。
そうして少しずつ泳げるようになったが尾腐れ病で尾ひれが取れた。背びれもほとんど無くなった。尻びれも消えた。4センチにも満たぬ雀のような色合いの地味な金魚。わずかに残った小さな胸びれを必死に動かして泳ぐ。泳ごうとしている。あっちへよろよろ、こっちへふわふわ。
1年3カ月経った。芋虫のような状態でビビビは生きている。必死に泳いでいる。
ビビビに訓えられたこと。満身創痍になっても「生きるべし」と。

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口笛で教えてほしい夜想曲

投稿者
西沢葉火

口笛で教えてほしい夜想曲
西沢葉火

 
僕の休日は毎週木曜。川柳の大会には縁が無い。ある時ツイッターで「第32回NHK学園全国川柳大会」の告知を見た。開催は木曜日。東京の国立市。日帰りできる。よし。
事前投句6句。当日投句4句。早目にできた。自信作もあった。でも当日投句の「タブー」の1句が決まらなかった。「夜に口笛を吹いてはいけない」というモチーフを思いついたのは大会の10日前だった。
当日。投句を済ませ、ホールの一番端に座り、披講を聴いた。自分の句が読まれたら名前を言う決まりらしい。川柳は耳で聴くものでもあると知った。
僕の句はなかなか読んでもらえなかった。自分の川柳は場違いなのだろうか。でもしっかりと自分の世界を表現しながら入選した人もいる。凄いと思った。
心細くなっていた時、最後に選者の真島久美子さんにこの句を読んでもらえた。佳作。ほっとした。手をあげて「パッピ〜!」と名乗った。軽く笑いが起きた。
大・成・功。

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絶望を星屑にする水樹奈々

投稿者
藤井智史

絶望を星屑にする水樹奈々
藤井智史

 
力強い伸びのある歌い方が気に入っている。

紅白歌合戦6回出場も素晴らしいことである。

苦労の連続だった旨を水樹奈々さんの出された本に書いている。

自分の悩みなど小さいものだと気づいた。

これからも水樹奈々さんを応援する。

是非、紅白歌合戦7(奈々)回目の出場を期待する。

私は、恋も仕事も川柳も頑張りたい。

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充電をしたらやさしい絵になった

投稿者
森山文切

充電をしたらやさしい絵になった
木本朱夏 

 
電子化事業で公開している過去の川柳塔誌から不定期で鑑賞文やエッセイをご紹介します。
今回は766号64ページ、八木千代さんの「同人吟 秀句鑑賞 -前月号から」です。

充電したために本質が見えるようになれた。
別に絵は変わったわけではない。
自分に自信が無かったからその絵がけわしい表情に見えていたのだ。
充電をしようと気がつくまでの過程は書いてなくても十分に届いてくる。
今は素晴らしい感じかたができることを、優しく告げてある。
こころの自画像が書けている。

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首のある魚になって泳ぐ駅

投稿者
秋鹿町

首のある魚になって泳ぐ駅
秋鹿町

 
大阪は速い。‬

‪名古屋よりも、東京よりも。‬
‪歩く人々の群れを器用にかわしながら、今自分はどこにいて、どこに向かっているのか頭の中で問いかける。‬

‪今年一月、川柳のオフ会をやると聞いてホイホイと名古屋から特急に飛び乗り大阪に来た。‬
‪学生時代を過ごした街ではあるが、記憶にある大阪駅の姿と現在ではすっかり様子が変わっている。‬
‪攻略済みだった梅田ダンジョンの地図はアップデートされてしまい、もう何が何だかわからない。‬
‪とりあえず、オフ会の会場がセーブポイントとして有名な泉の広場のすぐ近くだったことから、そこを目指した。‬

‪少しだけ前のめりになる。‬
‪よく知っていたはずなのに今では遠くなってしまったこの場所から、また新しい人たちの群れへ首を突っ込んでいくのかと、見えない潮の流れを感じながら駅を泳いだ。‬
‪泉の広場も既に取り壊しが決まっていた。

‪変わっていくものたちに少しの寂しさを感じつつ、これからも私は場所や時間、人に流されながらフラフラと、おっかなびっくり進むのだろう。‬

‪借金で首が回らない、なんてことにならないよう気をつけながら、新しい世界にどんどん首を突っ込んでいきたいと改めて感じた。‬

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