真夜中に慈しむ雨われを抱く

投稿者
慈雨


真夜中に慈しむ雨われを抱く 慈雨

 
抗うつ剤と抗不安薬を飲んで寝ると、脳は起きているのに体は眠くて動かない時がある。真夜中だということは分かる。そんな時はもうエアコンの風の音なのか、それとも外の雨音なのか分からなくなっている。車が道路の水をかき分けて走っているのが聞こえる。これ以上何もかも悪くならないような気がする。安心して眠れと抱くような雨がわたしは好きだ。そうして夜雨が降り止む頃、外が白んで、山鳩が無神経にホーホー、ホホーと鳴き出す。この先どうなるかなんて、まだ誰にもわからないのだ。

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思春期のドア闇雲に静電気

投稿者

思春期のドア闇雲に静電気  糸篠エリー

 
毎週web句会第163回入選平抜き止めの句。
最近になって自身もネット投稿を始めながら、この句会には私の理解を超える作品も散見されますが、本作は最初にビビッときたものです。

恋か革命か。思春期特有の、自我に目覚めつつ、まだ世間との折り合いをうまくつけられないでいるために生じる「トラブル」を、鮮やかにかつコミカルに切り取っていると思います。ドアが片仮名、闇雲が漢字なのも効果的。

当事者にとって思春期は必ずしも「輝いている」ものではないのですが、こうして生き残って過去を振り返ってみると、いたましくも懐かしく思い起こされるものであります。

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両翼を作る私のミニ句集

投稿者
藤井智史

両翼を作る私のミニ句集 藤井智史

 
令和元年5月24日、新葉館出版より、リバーシブル川柳句集「ポジティブ/Love & Match Making」の電子句集版を配信開始した。
皆様のお陰で出来た句集だと思っている。感謝、感謝である。
川柳塔web同人・誌友ミニ句集内の藤井智史ミニ句集「只今、準備中」のあとがきに書いたことを実現することができた。
まだまだ、藤井智史の挑戦は続く。

リバーシブル川柳句集「ポジティブ/Love & Match Making」の内容は、観てのお楽しみです。
是非、観てください。
宜しくお願い致します。

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歌姫に何か押しつけ生きている

投稿者
柊無扇

歌姫に何か押しつけ生きている 柊無扇

 
美人の歌手が切なげに恋の歌を歌い、それに俺たちは感動してきた。若い頃から、テレビで見てきたが、一向にロマンスの話が聞こえてこない。
彼女の歌う恋の心情に心を響かせるイケメンは現れないのかと、余計な気を回したりする。
ふと覗いたインタビューで、もう〇〇歳になるんですよと笑ったが、寂しそうな表情が気になった。
俺の辛かった初恋・・・、裏切られたような恋もあった。
そういう蔭の部分を歌わせて、つまり押しつけているような気がして、作句した。
悲しい唄はもう良いよ、喜びの恋歌を、ご自分のことを歌って欲しいな。

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平凡な赤い金魚が生き残る

投稿者
木本朱夏

平凡な赤い金魚が生き残る 草地豊子

 
デメタンは妹のところにいた黒い出目金だ。仲間を追いかけ回すので持て余されて我が家へ来た。家の金魚は夜店でよく見る普通の金魚。デメタンはさっそく家の子を追いかけ回した。棒きれを振りながら友達を追いかける昭和の餓鬼大将のようだ。小さい水槽に隔離した。20分ほどして見るとしょんぼりしている。可哀想に思って元の水槽に戻してやるとまたもや追いかける。逃げる。追う。逃げる。水槽の中は追跡のサンバ状態だ。ふたたび隔離する。
2時間ほどして覗いてみると水槽の隅の水草の下に蹲っている。しおらしく項垂れている様子はまるで「ハンセイ」のポーズだ。思わず笑ってしまった。妹は「金魚に対する虐待だ」と怒ったが、以後デメタンは乱暴を働くこともない。お仕置きの効果はあったようだ。 金魚でさえ反省する。なのに何故人間界にイジメはなくならないのだろうか。

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