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空欄全て「青春」と書く

投稿者
芍薬

空欄全て「青春」と書く


七七(十四字詩)ならではの余韻が好きだ。
五七五の川柳を綿や麻のシーツに喩えるとすれば、七七はベルベットのカーテンのような滑らかさと温かみがある。

涅槃girlさんの七七は特にすべすべキラキラしている。
この空欄はどこにあるものなのだろう。答案用紙、履歴書、始末書、婚姻届、入力フォーム、なんでも良さそうだ。
そこに堂々と「青春」と書いてしまうふてぶてしいほどの強さ。まっすぐで眩しい。
本人が青春と言えば何歳だろうと何をしていようとその瞬間すべてが青春なのである。
私には私の、あなたにはあなたの色の青春がある。

涅槃girlさんの七七は夏に『川柳スープレックス』にも掲載されるほどその活躍が注目されている。
http://senryusuplex.seesaa.net/article/468449695.html
秋の夜長に叙情あふれる十四音を楽しんでみてはいかがでしょう。

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身代わりに赤い靴履く男の子

投稿者

身代わりに赤い靴履く男の子 忠


他人の自解を読むのは楽しい。拙作の自解はつまらない。自作の落とし穴に自ら嵌ってしまうからである。

ところでこれは自解ではない。自戒である。投句の際は、携帯電話のメモ帳機能を活用して保存するようにしているが、直前、推敲しなおして送信することがよくある。その時は勿論メモ帳を書き直して保存するのだが、急に別の用を思い出し、そのままにしてしまうことがよくある。これをどっこいしょ現象と呼ぶ。

没になれば問題ないが、たまに掲載されると、手元のメモ帳と見比べて首をかしげることがよくある。時間がかかっても思い出せれば問題ないが、そうでないと管理人さんに問い合わせなどしてご迷惑をおかけしたりすることになる。

齢は取りたくないものである。

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わたくしにふれた人から死ぬみたい

投稿者
甘酢あんかけ

わたくしにふれた人から死ぬみたい 草地豊子


 実は、この句と同じ思いを抱いたことがある。

 海外でのテロのニュースは、悲しいことだが、もう今となっては珍しいものではない。しかし、20年ほど前までは、テロそのものが希少だった。

テロが海外で起きはじめた頃のこと。私が海外から帰国すると、数日前まで身を置いていた国でテロが起きた。それが何度かあったのだ。

 初めは、「危なかった~、セーフ…」と、単純に思った。しかし、それが続くと、「え?また?」と思い、「えっ?えっ?」となり、次第に、「何で私が訪れた場所に、テロが起きるの…?」となって、「私がテロを引き寄せているの…?」と言う思考がよぎるようになった。まさにこの句の世界である。それは、見えない魔物のような大きな力に感じられ、とても恐ろしかった。

 結果として、その後の経過から、それは勘違いだったと分かったのだが、「もしや…」と、思ってしまったあの恐怖を、私はまだ忘れることができない。

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空想の寿司レーンには烏賊がない

投稿者
涅槃girl

空想の寿司レーンには烏賊がない 小俵鱚太


突然にして唐突ですが、わたくしはおすしが大好きだ。いかめしい顔をした大将が腕を組む、回っていないお寿司屋さんには縁がないけど、レーンに乗った100円均一のくるくる寿司にはたまに行く。
今日は何を食べようかな、なんて空想は人間なら誰しもするだろう。でも、チェーン店の回転寿司を思い浮かべ、回り続けるレーンを想像し、烏賊の不在を思うなんてどんな人なんだろう。
その人はちょっと間の抜けて、でも根は真面目な人なのではなかろうか。暑い日差しの中お得意先を回り、冷房の効いた喫茶店で一息ついて、コーヒーを飲み紫煙くゆらせる。今日は回転寿司でも行こうか、どんなネタを食べようか、ああ、ああ、烏賊が品切れかあ……
ああ、わたくしもおすしが食べたくなってきた。今夜行ってみようか。ちゃんと烏賊がありますように。 

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どうしたら備長炭へご挨拶

投稿者
笹川諒

どうしたら備長炭へご挨拶 暮田真名


暮田真名『補遺』より。毎週web句会を通じて川柳に少しずつ触れてきたけれど、最近はそれに加えて、川柳の句集を読んで面白い句を探すのがマイブームになっている。その中の一句。

意味不明なことを言っているように見えて、不思議と整合性がある。「備長炭」という語の字面や響きのいかめしさ、実物のビジュアルの無骨な感じは、われわれが普段の日常で「ご挨拶」しておかなくては、と思う偉い人の持つ属性とどこか似通っている。また、備長炭を普段目にする機会と言えば、焼き肉屋である場合が一番多いだろう。焼き肉屋のテーブルにつくと、七輪の中の備長炭と真正面から相まみえることになる。さて、何とご挨拶したものか……。

川柳の句集はなかなか入手しづらい。それでも葉ね文庫や梅田蔦屋書店に通える地域に住んでいるという利点を活かして、色々な句集に触れていけたらと思う。

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