空想の寿司レーンには烏賊がない

投稿者
涅槃girl

空想の寿司レーンには烏賊がない 小俵鱚太


突然にして唐突ですが、わたくしはおすしが大好きだ。いかめしい顔をした大将が腕を組む、回っていないお寿司屋さんには縁がないけど、レーンに乗った100円均一のくるくる寿司にはたまに行く。
今日は何を食べようかな、なんて空想は人間なら誰しもするだろう。でも、チェーン店の回転寿司を思い浮かべ、回り続けるレーンを想像し、烏賊の不在を思うなんてどんな人なんだろう。
その人はちょっと間の抜けて、でも根は真面目な人なのではなかろうか。暑い日差しの中お得意先を回り、冷房の効いた喫茶店で一息ついて、コーヒーを飲み紫煙くゆらせる。今日は回転寿司でも行こうか、どんなネタを食べようか、ああ、ああ、烏賊が品切れかあ……
ああ、わたくしもおすしが食べたくなってきた。今夜行ってみようか。ちゃんと烏賊がありますように。 

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