担当:智史 |
消費税生かされてこそうなづける |
私は、何か頑張ろう、何か残そうと思っていたところ、地元で「税に関
する川柳・標語コンクール」のお知らせを目にした(新聞だったか?
広告だったか?記憶は飛んでいる)
「川柳???、税に対して、何か主張を書けば良いんじゃろうなあ」
と川柳の意味も分からず、五・七・五を無視して、バンバンハガキで
提出(明らかに句じゃないので投句ではない)していたが、後で辞書
で調べると、「川柳:五七五で……風刺する短詩」と書いてある
「ありゃ、全然違うことを書いて出してしもうた
でも、無制限に提出できるから、まだ大丈夫
よし、五七五で税に対する私の想いを書こう」
世の中、消費税について騒がれていた
消費税は、生かされないと意味が無いのでは…
その想いを川柳に乗せた
結果は、入賞
「一生の趣味にしていこう」
こうして、川柳ライフの幕は開けられた
担当:文切 | 思い出の場所が見えなくなった丘 森山文切 |
通っていた学校はというと、もうない。数年前に近隣の小学校と統廃合され、今は更地である。
統合された先も、今年の4月から「義務教育学校」として中学校と統合され、小学校すらなくなってしまうらしい。
私が生まれたのは田舎で、30年経った今でもあたりの景色はあまり変わっていない。
でもところどころ、たくさんの思い出があった場所がなくなっている。
全体としては変わらないけれど、大切な場所がなくなっていく。
たぶん、わたしも。
担当:奏子 |
真夜中に薔薇千本のプロポーズ |
「ドライブしましょう。」
「嫌です。」
「好きです。」
「そうですか…。」
私達が夫婦になるずっとずっと前の会話だ。
明らかに私ではなく、武ちゃんが私を気に入っていたのだ。
何十回もアタックを受け、何十回もカウンターを返し続け、いい加減にしろ!と思った。
もう本当にお断りしようと考えていた日、こう言われた。
「僕はあなたでないとダメなんです。」
私に誰かが囁いた
「あなたも彼でないとダメなんじゃないの?」
武ちゃんが涙ぐんでいるような気がしたが、泣いていたのは私だったのだろう。
友達には相撲に例えて、「寄り切り婚」と言われている。
もちろんアンタが負けね、と。
解っている。
負けたのを承知の上で私は今日も「アンタが私でないとアカン言うたんや。」と偉そうにリビングに君臨している。
ちなみに武ちゃんから薔薇の花束はもらったことが無い。
ただ、あの日の一言が鮮烈な赤で私を貫いて今に至るのは事実だ。
担当:智史 |
ナポレオン飾ったまんま逝きはった |
私が子どもの頃から、祖父は酒呑みのイメージしかなかった。
ウイスキー、ビール、チューハイ、日本酒などが大好きで、水代わりに呑むくらいであった。
私もワイン、焼酎などが好きなのだが、祖父と一緒に酒を呑んだ記憶が全くないのである(祖父が老健施設に入所した後ぐらいから、私の酒の量が増えてきたのかもしれない)。
ふと食卓の後ろを見ると、サイドボードにウイスキーやブランデーなどが栓を開けず飾られたままである。
「おじいさんと呑めなかったなあ」
結婚して、孫を抱かせてあげられなかったことの次に無念である。
「おじいさん、あの世でもしっかり呑んでな」
酒呑みの孫である藤井智史は、焼酎を呑みながら、このエッセイを作ったのであった。
(平成30年1月23日作成)
担当:文切 | 生まれても死んでも時刻告げられる 川上大輪 |
生まれた、は三度ある。
3人の子供の出産。幸せなことに3人ともその瞬間に立ち会えた。
死んだ、は一度だけ。
生まれた、と違って瞬間ではないが、祖父の時。
入院していた祖父の元に着いたのは、亡くなって1時間後くらいだろうか。
父と一緒だった。
両方とも時刻を告げられたけど、生まれた、死んだ、本人には告げられた時刻はわからない。
人生が始まったばかりだから。人生を終えてしまったから。
「時刻」が象徴するものを考えさせられた句である。