煩悩無限つばきの白に挑まれる


担当
智史

煩悩無限つばきの白に挑まれる
高木勇三

「あれもしたい」
「これもしたい」
「あれも欲しい」
「これも欲しい」
あっ、またミスをしてしまった。
どうも最近おかしい。
たるんでいる。

さあ、もう一度やってみるか。

(10分後)

「あれもしたい」
「これもしたい」
「あれも欲しい」
「これも欲しい」
ダメだ、うまくいかない。

ちょっと気分転換に庭に出てみるか。

色々な花が咲いているなかで、
凛としている白い椿に目を奪われる。

白い椿が私に向かい、こう語ってきた。
「集中しなさい。さもないとあなたは、
また同じミスをおかしますよ」と。

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女三人笑い袋の底抜ける


担当
奏子

女三人笑い袋の底抜ける
荻野浩子

番傘の荻野浩子さん。
川柳塔の太田扶美代さん。
私の師匠である池森子先生。
3人は川柳普及の南河内おんな三羽烏(自称)。
もう、何十年というお付き合いだと伺っています。
ドーナツ屋さんで3人とご一緒させていただいた事があるのですが、まさに、この句のまんまでした。
私が割って入る隙間も絶え間も無く笑い続け、時に怒り続け、議論をし続け。
羨ましいとしか言いようの無い一枚の絵に心ときめかせました。
人は3人になると(特に女は)仲良くなれないジンクスがあるように思います。
でも、この日、そんなことないわよ!
と3人が教えてくれたように思います。
今まで、川柳会に同世代がおらず寂しかったです。
最近、同世代の仲間がどんどん増えた事、とても嬉しく思います。
何十年か先に私も、仲間達と笑い袋の底が抜ける程笑いあえたら…。
ひとつ、夢と目標が出来ました。
(荻野浩子さん、川柳句集「石榴」発刊おめでとうございます。)

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中心を外して妻が立っている

担当
文切
中心を外して妻が立っている
森山文切

川柳塔誌電子化事業で公開している、1054号誌友近詠から。

夕涼み会で親子で踊るプログラムがあるというので一緒に練習をしていたときのこと。
妻と子供が踊るのを見ていると、子供が動きの中心にいた。
妻は無意識だったと思うが、子供を中心にして妻が動いていた。

そのあと意識的に妻の立ち位置を観察してみると、
料理をするとき。
洗濯機を回すとき。
子供と一緒に遊ぶとき。
いつもどことなく中心を外しているように見えた。

子供や私の場所を作ってくれているのだと、幸せを感じた瞬間だった。

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句碑狙うB5サイズの柳誌から


担当
智史

句碑狙うB5サイズの柳誌から
藤井智史

井笠川柳会第19回笠岡大会(第55回蘖大会)が平成30年5月26日(土曜日)に、私の地元岡山県笠岡市の笠岡市保健センター(ギャラクシーホール)で行われる。

第1位(井笠川柳会長賞)には、句碑贈呈。

古城山笠岡川柳公園に、句碑を建てられるように頑張りたい。

皆様のお越しをお待ちしております。
句碑の獲得を目指しましょう。
宜しくお願い致します。

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かあさんと呼ばれてお母さんになる


担当
奏子

かあさんと呼ばれてお母さんになる
栃尾奏子

私はハッキリ言ってダメな奴である。
見栄っ張りなので出掛けの際は着飾っていても、家の中が片付いていない事などザラ。
アルコールの誘惑にも弱く、夜遊びばかり、今ほど厳しくなかった事もあり、煙草の悪癖さえ持ち合わせていた。
そんな時、青天の霹靂。
お腹に命が宿る。
文字通り私は雷に打たれた。
私だけの身体では無いこの罪悪感。
これから人ひとりの人生を左右してしまう責任感。
後はもう今までの行いを悔いあらためて無我夢中笑。
この痛みに耐える位なら殺してくれ!と陣痛に耐え、未熟児だった為、1時間おきに授乳し、万年睡眠不足。
毎日が怒涛のように過ぎて行ったある日。
「ま〜ま。まま。」
今まで受動態だった命が私を呼ぶ。
たったそれだけだが、なんと素晴らしい出来事であったか。
そうか、母は初めから母ではなく、母と呼ばれて初めて母になるのだ。
私の母も、私の祖母も、皆、そうして母になったのだな。
不自由にさえ思えた母という職業は、あの日から無限大にさえ思う。
私にとって娘とは、いつも未来に架かる虹の橋だ。(5月生まれの君へ贈る母からのエッセイ)

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