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一輪が跳ねて野の花らしくなる

担当:文切 一輪が跳ねて野の花らしくなる
真島久美子

小さなころからずっと川柳をしています
みんなが教えてくれました
教えのとおり句をつくりました

ようちえんのころ
こどもらしいかわいい句
みんなよろこんでくれました

しょうがくせいのころ
だんだん大人っぽくなっていく句
みんなよろこんでくれました

中学生のころ
大人でもおどろくような上手な句
みんなよろこんでくれました

みんながよろこぶ顔がみたくて
教えのとおり句をつくりました

高校生のころ
勇気を出して教えからとびだしてみた
あなたはわたしを叱りました

大人になっても
叱られるのが怖くて
教えのとおり句をつくっています
みんながよろこんでくれます

みんながよろこぶ句
それが、わたしの句

あなたが叱らない句
それが、わたしの句

それが、わたしの句?

きれいにそろって
一糸乱れず
お行儀のいい花のような

それが、わたし?

教えをとびだしたがっている
跳ねてとびだしたがっている

わたしがとびだしたら
あなたはまた、わたしを叱りますか?

(このエッセイはフィクションです)

若手同人ミニエッセイトップ

一輪が跳ねて野の花らしくなる   


担当:智史

一輪が跳ねて野の花らしくなる
真島久美子

ああ、私はなんて不幸なんだろう
A子は、結婚して、子どもが産まれて
B子は、お金持ちと結婚して
皆んな、幸せになって
私は独りぼっち…

ついつい人と比べて自分を苦しめていませんか
人と比べることなんて、止めましょう

比べない己の好きな道を行く    藤井智史

なんだか、体が軽くなってきたなあ
幸せになれそう

その後、自分らしく生き、人生楽しめるように
なってきた

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若手エッセイ1周年記念企画

「川柳塔若手同人ミニエッセイ」は昨年12月から始めました。
みなさまの温かい励ましのお言葉のもと無事1周年を迎えることができました。
今後も若手3名精一杯努めてまいります。ご声援よろしくお願い申し上げます。 

1周年を記念し、今月はいつもと趣向を変えて、3名が同じ句をテーマにエッセイを書きます。
句は番傘川柳本社同人真島久美子さんの「一輪が跳ねて野の花らしくなる」です。
 
真島久美子さんは本エッセイ担当者と同世代(少し上)、番傘川柳本社同人の最若手です。
(詳細は真島久美子ミニ句集をご覧ください)
 
番傘川柳本社の若手同人の句で、川柳塔社の若手同人がエッセイを書く
 
このことが何か新しい動きにつながっていけばと考えています。
来週から3週にわたっての記念企画、お楽しみに!

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月明かり優しい手紙書けました


担当:奏子

月明かり優しい手紙書けました
秋田あかり

気がつくと隣に居た。
いつも一緒に遊んで、幼稚園からずっと同じクラスで…中学に上がってからはクラブまで同じ…。
当たり前すぎて気がつかなかったけれど、私はどうやら彼が好きらしい。
幼馴染という立ち位置は、居心地が良くて、時に残酷だ。
今日も昼休み、あの馬鹿は私のウインナーを盗み食いして逃げた。
「泥棒!」
「ダイエット手伝ってやったんだよ!」
宿題も私のノートを全写しして提出した。
「ちょっとなにしてんのよ!」
「減るもんじゃねーしいいだろ!」
私達の会話は始終こんな感じ。
クラブ帰りに見上げた空には綺麗なお月さま。
お月さまには本音が言えるのにな。
「素直になってみる?」
お月さまが言った気がした。
渡す渡さないは別にして、今夜は想いを手紙にしてみようかな。
いつもは言えない優しい言葉で。

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人間の色を薄めているスマホ

担当:文切 人間の色を薄めているスマホ
森山文切

スマホは便利である。

カーナビ、ビデオ、ICレコーダー…
様々な機能がスマホ1台で利用できる。
海外を含めた遠方でも密なコミュニケーションが可能で、子供の頃はドラえもんの世界だったテレビ電話も現実となった。
普段会えない人や会ったことがない人との距離は劇的に縮まった。

でも近い人との距離はどうか。

二人目の子供が初めて寝返りを打った時のこと。
数日前から兆候があり、今にもという動きをしていた。
反射的に「スマホで撮らなきゃ」と思い、急いで準備をした。
数秒後見た時には、もううつ伏せになっていた。
「できたぞ~」と言わんばかりの満面の笑み。
私がやるべきことはスマホの準備ではなく、じっと見守り応援することではなかったのか。

最近は公園で子供と遊ぶ親(私も含め)が、ずっとスマホをいじっているのをよく目にする。
遠い人との距離は縮めているスマホだけど、近くにいるべき近くの人との距離は広げているように思うのである。

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