担当:文切 | 一輪が跳ねて野の花らしくなる 真島久美子 |
ようちえんのころ
こどもらしいかわいい句
みんなよろこんでくれました
しょうがくせいのころ
だんだん大人っぽくなっていく句
みんなよろこんでくれました
中学生のころ
大人でもおどろくような上手な句
みんなよろこんでくれました
みんながよろこぶ顔がみたくて
教えのとおり句をつくりました
高校生のころ
勇気を出して教えからとびだしてみた
あなたはわたしを叱りました
大人になっても
叱られるのが怖くて
教えのとおり句をつくっています
みんながよろこんでくれます
みんながよろこぶ句
それが、わたしの句
あなたが叱らない句
それが、わたしの句
それが、わたしの句?
きれいにそろって
一糸乱れず
お行儀のいい花のような
それが、わたし?
教えをとびだしたがっている
跳ねてとびだしたがっている
わたしがとびだしたら
あなたはまた、わたしを叱りますか?
(このエッセイはフィクションです)
担当:智史 |
一輪が跳ねて野の花らしくなる |
ついつい人と比べて自分を苦しめていませんか
人と比べることなんて、止めましょう
比べない己の好きな道を行く 藤井智史
なんだか、体が軽くなってきたなあ
幸せになれそう
その後、自分らしく生き、人生楽しめるように
なってきた
「川柳塔若手同人ミニエッセイ」は昨年12月から始めました。
みなさまの温かい励ましのお言葉のもと無事1周年を迎えることができました。
今後も若手3名精一杯努めてまいります。ご声援よろしくお願い申し上げます。
担当:奏子 |
月明かり優しい手紙書けました |
担当:文切 | 人間の色を薄めているスマホ 森山文切 |
カーナビ、ビデオ、ICレコーダー…
様々な機能がスマホ1台で利用できる。
海外を含めた遠方でも密なコミュニケーションが可能で、子供の頃はドラえもんの世界だったテレビ電話も現実となった。
普段会えない人や会ったことがない人との距離は劇的に縮まった。
でも近い人との距離はどうか。
二人目の子供が初めて寝返りを打った時のこと。
数日前から兆候があり、今にもという動きをしていた。
反射的に「スマホで撮らなきゃ」と思い、急いで準備をした。
数秒後見た時には、もううつ伏せになっていた。
「できたぞ~」と言わんばかりの満面の笑み。
私がやるべきことはスマホの準備ではなく、じっと見守り応援することではなかったのか。
最近は公園で子供と遊ぶ親(私も含め)が、ずっとスマホをいじっているのをよく目にする。
遠い人との距離は縮めているスマホだけど、近くにいるべき近くの人との距離は広げているように思うのである。