投稿者 藤井智史 |
「 ! 、 。」 西沢葉火 |
「 ! 、 。」
びっくりした。「おおっ、これは凄い」と心の中で思った。
初めは、悲しい句かと思っていたが、翌日読んでみると、楽しい句にも見えた。更に次の日読むと、怒っているように見えた。
日によって、読み手の感じ方が変わる句なのか。
この句の虜になってしまった。
音楽の世界で、演奏者がストップウォッチを持って、一定の時間になったら、ピアノの蓋の開け閉めのみを行い、一切演奏しなくて三楽章を表現する、ある海外の楽曲も浮かんできた。
当然のことながら、客は、大怒りしたとのこと。「会場の客の怒り声も赤ん坊の泣き声も全て音楽なのである」と作曲者は語っている。
句とこの曲が少し似ている感じがした。
ある川柳大会の懇親宴にもこの句が話題になった。柳友の言葉に、誰かから柳友に相談があったとの事だが、「あなたがどう捉えるかによるんじゃないの」と答えたと言われた。
柳友が言われる通り、この句は読み手によって感じ方が変わるオールマイティーな句だと思った。
懇親宴の話題にのぼるくらい印象に残る句という事は、人の心を掴んだ非常に良い句なのである。
斬新なこの句の作者に感謝。そして、この句を抜句した選者にも感謝である。