担当 文切 |
同窓会握手が上手くなった彼 居谷真理子 |
大学進学から長く沖縄にいるので、小中高の同窓会の類にはほとんど参加したことがない。
唯一といっていいのが、成人式のとき。
当時のままというくらい変わっていない人もいれば、面影が全くない人もいた。
私は後者。小学校の頃は成績はほぼオール5、生徒会活動もしていた。
そんな私が金髪チャラ男になったのは皆びっくりしただろう。
揚句の「彼」も変わってしまったタイプだ。
ただそれに気が付いたのは「わたし*」だけかもしれない。
「彼」に「変わってないね」と声をかけた人さえいたかもしれない。
「久しぶり」
と笑顔で「わたし」に手を差し出してきた「彼」
目を合わせられず、顔を見ることができないまま「彼」の手を握る。
「わたしの知っている彼じゃない」
その瞬間「彼」は思い出だけの存在となった。
もう別人となった彼と笑顔で昔話をする「わたし」の変化に、「彼」は気が付いただろうか?
*句の主語としての「わたし」