…早送り…二人は……豚になり終

投稿者
秘まんぢ


…早送り…二人は……豚になり終  川合大祐

 
一瞬だが、これは無季俳句として通用するかもと思った。切れもあるし、字数もととのった写実の句。がご覧のとおり「・・・」が厄介で、俳句は言葉にならないものは全て詠嘆とみなされる。もちろんそうでないことは「早送り」でわかる。
川柳にせよ俳句にせよ、わたしはギリギリまで攻めている句が好きだ。いわゆる実験句。辺境を求め、断崖を歩き、おのれの影にすがるような17文字の詩が好きだ。
そして「終り」でも「終る」でもなくて「終」。この超現実の表記こそがわたしを打ち負かした。そうだった、川合大祐の川柳はみじんも俳句ではない。どころか川柳以外に居場所はない。
わたしは太った豚にすぎない。痩せた狼にあこがれつつ「終」で〆る才も勇気もなしに、だまって子規のうしろを歩くのである。

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