真夜中に薔薇千本のプロポーズ


担当:奏子

真夜中に薔薇千本のプロポーズ
藤田武人

「お付き合いして下さい。」
「お断りします。」

「ドライブしましょう。」
「嫌です。」

「好きです。」
「そうですか…。」

私達が夫婦になるずっとずっと前の会話だ。
明らかに私ではなく、武ちゃんが私を気に入っていたのだ。
何十回もアタックを受け、何十回もカウンターを返し続け、いい加減にしろ!と思った。
もう本当にお断りしようと考えていた日、こう言われた。

「僕はあなたでないとダメなんです。」

私に誰かが囁いた
「あなたも彼でないとダメなんじゃないの?」

武ちゃんが涙ぐんでいるような気がしたが、泣いていたのは私だったのだろう。

友達には相撲に例えて、「寄り切り婚」と言われている。
もちろんアンタが負けね、と。
解っている。
負けたのを承知の上で私は今日も「アンタが私でないとアカン言うたんや。」と偉そうにリビングに君臨している。
ちなみに武ちゃんから薔薇の花束はもらったことが無い。
ただ、あの日の一言が鮮烈な赤で私を貫いて今に至るのは事実だ。

若手同人ミニエッセイトップ

3 Comments

  1. 返信
    奏子 2018年2月13日

    敏治さん、ありがとうございます
    武人さんがかわいそう。
    奏子さん、武ちゃんに優しくしてあげて‼️と柳会の先輩方(女性)に言われます。
    奏子さん偉そう。奏ちゃんの尻に敷かれている武ちゃん。
    まあ、色々言われます笑。
    でも私はあの日から、何だか武ちゃんに手放しで優しく出来ないんですよね〜。
    そう。良く言うとツンデレなんです。
    次に夫婦2人で会場にいる時は又、今までと違う目で私達を見て笑って下さいね。

  2. 返信
    澤井敏治 2018年2月11日

    「見直し」はミスタイプ。『飲みなおし』です。ゴメン。

  3. 返信
    澤井敏治 2018年2月11日

    極寒の雪も顔負けのろけ節・・・いやあ参った!参った! まあ、もう一遍の見直しまっさ。

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