チューニングは完璧。
 衣装もバッチリ決まっている。
 この日までに、何度喧嘩をしたかわからない。
 喧嘩の原因はいつも、どうしたらもっと良いステージになるか。
 それだけだった。
 さあ、もう口論する暇はない。
 出番だ!!
 野外ステージから歓声が沸き上がる。
 僕たちが生み出す音と混ざり合いながら旋律が舞い上がる。
 拳を高く掲げれば真っ青な空が。
 舞い上がったメロディーはエネルギーを纏い降り注ぐ。
 秋の1日は若さとともに駆け抜けた。
 どこからか軽音部の練習が聞こえる。
 学祭シーズンは間近だ。
 若かりし日を重ねて空を見上げると、あの日と同じ真っ青な空が僕にウィンクして来た。