題
「何 か」
なかはられいこ 選
| 何かする何かしたいと日が暮れる | 渡辺勇三 | |
| AIが何の略かが分からない | 佐藤彰宏 | |
| 人生の匂いってのは何だろう | 白瀬白洞 | |
| 葬儀屋の何かわからぬ手数料 | 原洋志 | |
| うなずく時の何かわたしと違う音 | 米山明日歌 | |
| 何かと問えば何かと返事する木霊 | 糀谷和郎 | |
| 何か食べておいてという置き手紙 | 菊池文徳 | |
| 無理やりに言葉にしたく無い な.に.か. | まつもともとこ | |
| ポケットの拳の中にある何か | 平井美智子 | |
| 疑問符がポロリポロリと頭蓋骨 | 山田こいし | |
| おっとっと何か私に引っかかる | 青砥たかこ | |
| サックスの何かざわざわさせる音 | 安藤なみ | |
| 袋から何か這い出し宙に浮く | 甘酢あんかけ | |
| 何しても何かしこりが残る梅雨 | 小俵鱚太 | |
| 欲しいもの何もないので独り居る | 樋口眞 | |
| 懐かしい何かに呼ばれ土を掘る | 四ツ屋いずみ | |
| 何か怒って何か食べてる母がいた | 昌紀 | |
| 胸に棲む何かに操られている | 居谷真理子 | |
| わたくしは何かと問うて喜寿となる | すずき善作 | |
| 二丁目で何かを待っている夕日 | 乙川初音 | |
| もあもあに手足を付けるまで何か | 斉尾くにこ | |
| 兵馬俑何か言いたい顔連ね | 寺川弘一 | |
| 何かないかと覗かれる冷蔵庫 | 西山竹里 | |
| 青空へ何か言いたいのはわかる | 柴田比呂志 | |
| 何見てるビールグラスの梅雨の月 | 慈雨 | |
| 何かしら品切れのある美容室 | 芍薬 | |
| 何かあるときに限って来る用事 | 松長一歩 | |
| ずっしりと重いが正体は不明 | 颯爽 | |
| ちょこまかと何かやらかすおじいちゃん | 髙橋千賀子 | |
| 何か零れて何か溢れて待ち時間 | 真島久美子 | |
| 何があったのだろうページが飛んでいる | 柳田かおる | |
| 雲梯の途中何かに握られる | 斎藤秀雄 | |
| 佳5 | 何か何かといってるうちに老後 | 松島勇象 |
| 佳4 | 何や知らんけどとおばちゃんの噂 | 山本進 |
| 佳3 | 目の前に過去には何かだったもの | 三好光明 |
| 佳2 | えびせんに仕掛けられている何か | ナッツ池本 |
| 佳1 | 散るたびに何かを捨てている桜 | 冬子 |
| 人 | 手話の指ゆるく何から伝えよう | 青砥和子 |
| 地 | くたくたにされて何だかズッキーニ | 岸井ふさゑ |
| 天 | Wi-Fiと青いもの何かください | 怜 |
題
「何 か」
川上 大輪 選
| また今日も何か忘れている私 | やんちゃん | |
| ふかくてくらいかわ妻が又泣いた | 板谷達彦 | |
| ポケットをたたけば増えていく何か | 朧 | |
| 今朝もまた何か忘れて動き出す | かきくけ子 | |
| 目が覚めて何か決まった会議室 | かきくけ子 | |
| 満たされた分だけ何か無くす羽目 | 雨径 | |
| 鳩尾の何かがボクを走らせる | 武本碧 | |
| 何かある 金庫開ければ錆びた過去 | 汐海岬 | |
| 何かが足りないすべてが足りない | 横山閲治郎 | |
| 龍安寺何か落ちてる石の下 | 数男 | |
| 何や知らんけどとおばちゃんの噂 | 山本進 | |
| 海苔弁は普通盛りですけど何か | 森下博史 | |
| もう止そう何かと金がいるばかり | 穂口正子 | |
| 生きている何か足りない穴の中 | むらのひとり | |
| 何か食べておいてという置き手紙 | 菊池文徳 | |
| 何かあるそう思わせる語り口 | 素人 | |
| 丸い月なのに何かが足りぬまま | 平井美智子 | |
| ダイエット何か食べたいときは寝る | こみち | |
| この顔に何か文句がありますか | 圦山繁 | |
| そのトーン秘密が何かありますね | 松嶋由美子 | |
| 二丁目で何かを待っている夕日 | 乙川初音 | |
| 見ても嗅いでも食べても何かわからない | 橋倉久美子 | |
| もあもあに手足を付けるまで何か | 斉尾くにこ | |
| 一歳児何かしゃべってくれている | 西上遊二 | |
| 正座して何かが崩れはじめる日 | 芍薬 | |
| 何かまだ出来ると主張する十指 | 伊藤良一 | |
| 黄身返しですが不都合ありますか | 美春 | |
| では何ができるのだろう下を向く | 美馬りゅうこ | |
| 追いつめてしまったワタクシの何か | 真島久美子 | |
| ぼーっとしていますのでお構いなく | まみどり | |
| 午後五時のわたし何かが嘘っぽい | 河野潤々 | |
| もがいてもがいて何かが見えてきた | 柳田かおる | |
| 佳5 | 何か言いたいことのある冷蔵庫 | 松島勇象 |
| 佳4 | 何でかなアタマいいのにウソをつく | 佐藤彰宏 |
| 佳3 | 何かしら追いかけられているゆとり | 渡辺勇三 |
| 佳2 | 釣り糸は何かあるまで垂れておく | 荘子隆 |
| 佳1 | 伝書鳩来て朝礼に何か言う | 斎藤秀雄 |
| 人 | 何か何かといってるうちに老後 | 松島勇象 |
| 地 | 補助輪はまだつけていますが何か | 吉田くみこ |
| 天 | あの世よりこの世が何かいい感じ | 春川秋男 |
天の句について、選者のなかはられいこさんがブログに書いてくださいました。
https://soratokito.exblog.jp/27661782/