2019年3月WEB句会 (第36回)

2019年3月WEB句会 (第36回)

投句数 374句(188名)
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「書 く」
島田 駱舟 選

落書きが芸術性を口にする龍せん
遺言に後はよろしくありがとう大木雅彦
満月に口ひげを書くちぎれ雲折鶴翔
砂浜が羨む僕のラブレター折鶴翔
プロポーズ返事は顔に書いてありやんちゃん
魔女になる決心をして「愛」の文字松本もとこ
その度に反省文が上手くなるおかのみつる
遺言書ケンカするたび書き換えるおかのみつる
十年前の僕から届く遺言書山本進
屑篭へ愛を丸めた書き潰し山本進
魂に悔いを書くのはやめとこうはぐれ雲
花咲けばきっとあなたに出す手紙乙川初音
置き手紙調子悪いな誤字脱字佐藤彰宏
鉛筆で離婚届けを書いてみる冬子
弔問の記名無沙汰を詫びながら山川守
人間を止める感嘆符を書いて森山盛桜
広告の裏に書いても遺言書西山竹里
かすれゆく草書しずかな闇になる田村ひろ子
サムイサムイと百回書けば咲く桜新家完司
試し書きしている 月が眠るまで米山明日歌
春の雪ひとつ残した自己主張柴田比呂志
親バカを育児日記に閉じ込めるたごまる子
ロボットに教えてもらう草書体船岡五郎
個人差があるとは書いてないお酒圦山繁
何か切ない何かやさしい手紙です山本昌乃
書き順は上司の言ったとおりですナッツ池本
シナリオをまた書き直す春の恋真田義子
置き手紙書いてるうちに帰宅されまみどり
我が儘をいっぱい書いている句帳丹下凱夫
愛の字をいくつ書いてもまだ孤独澁谷さくら
ごはん屋と美味そうな字で書いてある
恋文は美術室では書けませんいゆ蘭
佳5啄木鳥の書いた手紙に薔薇を挿すエノモトユミ
佳4命名の筆から雫する未来笹倉良一
佳3大好きと書いて嫌いと読んでいる牧野芳光
佳2学用品名前書くたび親になる松嶋由美子
佳1反対と書いて指紋を消してある板垣孝志
言い訳は半角文字で書きなさい雨森茂喜
違反切符してやったりと書いてある水野奈江子
履歴書を書くと私が消えていく平尾定昭

「書 く」
斉尾くにこ 選

満月に口ひげを書くちぎれ雲折鶴翔
OK Google 論文書いといて雪上牡丹餅
ブロックか既読未読か問う真意松本もとこ
灰色に塗りつぶされて星を書くあやの
尊厳死いとたおやかな草書体板垣孝志
人間を止める感嘆符を書いて森山盛桜
着地点あたりに丸を書いておく森山盛桜
置手紙書いても鍵は持って出る竹中正幸
活字より真心こもる個性文字いいだひでき
饒舌になるパソコンで書く日記樋口眞
手書きだとよく間違える衣偏桔梗庵
鉛筆で書くことなんて句会だけ武良銀茶
類推をして読む友の葉書文フーマー
明日の僕輪郭線は書けている高浜広川
絵手紙へ添えた一句が光り出すまさと
点線をたどれば見えてくる私水木星羅
行間を描く草書のシンフォニー柳田かおる
書き順は上司の言ったとおりですナッツ池本
誓約書自署捺印をゆずらない木田比呂朗
命名の筆から雫する未来笹倉良一
えんぴつに貰う樹だった日の記憶斎藤秀雄
孤独ってなんだろ それからの破線月波与生
シュレッダーが読むあなたがついた嘘月波与生
欠礼の便り来る人来ない人梶原弘光
黒ヤギが満腹になるまで書く手紙松島勇象
捨てられた町が残した君の歌浅井誠章
性別の欄にその他と書く時代上山堅坊
書き留めた言葉ようやく孵化をする丹下凱夫
書き残すことを数える待ち時間くみくみ
虚偽記載修正液が乾かない颯爽
ごはん屋と美味そうな字で書いてある
下書きの下書きをした誓約書いゆ蘭
佳5かすれゆく草書しずかな闇になる田村ひろ子
佳4反省文書いても戻らない命まさと
佳3心から滴り落ちてペンの先居谷真理子
佳2「ここで笑う」とト書きのある自分史さくら草
佳1何か切ない何かやさしい手紙です山本昌乃
取り扱い注意と書いてある親父松島勇象
履歴書に失くしたものを書きました尾崎良仁
愛の字をいくつ書いてもまだ孤独澁谷さくら

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