題
「書 く」
島田 駱舟 選
| 落書きが芸術性を口にする | 龍せん | |
| 遺言に後はよろしくありがとう | 大木雅彦 | |
| 満月に口ひげを書くちぎれ雲 | 折鶴翔 | |
| 砂浜が羨む僕のラブレター | 折鶴翔 | |
| プロポーズ返事は顔に書いてあり | やんちゃん | |
| 魔女になる決心をして「愛」の文字 | 松本もとこ | |
| その度に反省文が上手くなる | おかのみつる | |
| 遺言書ケンカするたび書き換える | おかのみつる | |
| 十年前の僕から届く遺言書 | 山本進 | |
| 屑篭へ愛を丸めた書き潰し | 山本進 | |
| 魂に悔いを書くのはやめとこう | はぐれ雲 | |
| 花咲けばきっとあなたに出す手紙 | 乙川初音 | |
| 置き手紙調子悪いな誤字脱字 | 佐藤彰宏 | |
| 鉛筆で離婚届けを書いてみる | 冬子 | |
| 弔問の記名無沙汰を詫びながら | 山川守 | |
| 人間を止める感嘆符を書いて | 森山盛桜 | |
| 広告の裏に書いても遺言書 | 西山竹里 | |
| かすれゆく草書しずかな闇になる | 田村ひろ子 | |
| サムイサムイと百回書けば咲く桜 | 新家完司 | |
| 試し書きしている 月が眠るまで | 米山明日歌 | |
| 春の雪ひとつ残した自己主張 | 柴田比呂志 | |
| 親バカを育児日記に閉じ込める | たごまる子 | |
| ロボットに教えてもらう草書体 | 船岡五郎 | |
| 個人差があるとは書いてないお酒 | 圦山繁 | |
| 何か切ない何かやさしい手紙です | 山本昌乃 | |
| 書き順は上司の言ったとおりです | ナッツ池本 | |
| シナリオをまた書き直す春の恋 | 真田義子 | |
| 置き手紙書いてるうちに帰宅され | まみどり | |
| 我が儘をいっぱい書いている句帳 | 丹下凱夫 | |
| 愛の字をいくつ書いてもまだ孤独 | 澁谷さくら | |
| ごはん屋と美味そうな字で書いてある | 怜 | |
| 恋文は美術室では書けません | いゆ蘭 | |
| 佳5 | 啄木鳥の書いた手紙に薔薇を挿す | エノモトユミ |
| 佳4 | 命名の筆から雫する未来 | 笹倉良一 |
| 佳3 | 大好きと書いて嫌いと読んでいる | 牧野芳光 |
| 佳2 | 学用品名前書くたび親になる | 松嶋由美子 |
| 佳1 | 反対と書いて指紋を消してある | 板垣孝志 |
| 人 | 言い訳は半角文字で書きなさい | 雨森茂喜 |
| 地 | 違反切符してやったりと書いてある | 水野奈江子 |
| 天 | 履歴書を書くと私が消えていく | 平尾定昭 |
題
「書 く」
斉尾くにこ 選
| 満月に口ひげを書くちぎれ雲 | 折鶴翔 | |
| OK Google 論文書いといて | 雪上牡丹餅 | |
| ブロックか既読未読か問う真意 | 松本もとこ | |
| 灰色に塗りつぶされて星を書く | あやの | |
| 尊厳死いとたおやかな草書体 | 板垣孝志 | |
| 人間を止める感嘆符を書いて | 森山盛桜 | |
| 着地点あたりに丸を書いておく | 森山盛桜 | |
| 置手紙書いても鍵は持って出る | 竹中正幸 | |
| 活字より真心こもる個性文字 | いいだひでき | |
| 饒舌になるパソコンで書く日記 | 樋口眞 | |
| 手書きだとよく間違える衣偏 | 桔梗庵 | |
| 鉛筆で書くことなんて句会だけ | 武良銀茶 | |
| 類推をして読む友の葉書文 | フーマー | |
| 明日の僕輪郭線は書けている | 高浜広川 | |
| 絵手紙へ添えた一句が光り出す | まさと | |
| 点線をたどれば見えてくる私 | 水木星羅 | |
| 行間を描く草書のシンフォニー | 柳田かおる | |
| 書き順は上司の言ったとおりです | ナッツ池本 | |
| 誓約書自署捺印をゆずらない | 木田比呂朗 | |
| 命名の筆から雫する未来 | 笹倉良一 | |
| えんぴつに貰う樹だった日の記憶 | 斎藤秀雄 | |
| 孤独ってなんだろ それからの破線 | 月波与生 | |
| シュレッダーが読むあなたがついた嘘 | 月波与生 | |
| 欠礼の便り来る人来ない人 | 梶原弘光 | |
| 黒ヤギが満腹になるまで書く手紙 | 松島勇象 | |
| 捨てられた町が残した君の歌 | 浅井誠章 | |
| 性別の欄にその他と書く時代 | 上山堅坊 | |
| 書き留めた言葉ようやく孵化をする | 丹下凱夫 | |
| 書き残すことを数える待ち時間 | くみくみ | |
| 虚偽記載修正液が乾かない | 颯爽 | |
| ごはん屋と美味そうな字で書いてある | 怜 | |
| 下書きの下書きをした誓約書 | いゆ蘭 | |
| 佳5 | かすれゆく草書しずかな闇になる | 田村ひろ子 |
| 佳4 | 反省文書いても戻らない命 | まさと |
| 佳3 | 心から滴り落ちてペンの先 | 居谷真理子 |
| 佳2 | 「ここで笑う」とト書きのある自分史 | さくら草 |
| 佳1 | 何か切ない何かやさしい手紙です | 山本昌乃 |
| 人 | 取り扱い注意と書いてある親父 | 松島勇象 |
| 地 | 履歴書に失くしたものを書きました | 尾崎良仁 |
| 天 | 愛の字をいくつ書いてもまだ孤独 | 澁谷さくら |