2018年5月WEB句会 (第26回)

2018年5月WEB句会 (第26回)

投句数 347句(175名)
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「落ち着く」
青砥たかこ 選

ワンコそば落ち着いてなどいられない荘子隆
落ちつきがちょっと出てきた傘寿前のひろ
定位置にどっかり腰がおさまった柳谷益弘
夜桜や妻のうなじに落ち着かず氷川の杜
電話待ち 鼓膜が落ち着きをなくす汐海岬
落ち着いた顔でカラスはごみの中絹田あさ
もの忘れ増えて落ち着く夫婦仲富田保子
退職後混濁未だ落ち着かず上平祥
落ち着いて同意する旨タップするさとち
吹き溜まり ここで芽を出すことにする川本真理子
落ち着いて見ればなんでもない仕掛け沢田正司
転がらぬ石です苔が生えましたホッと射て
美食家も〆の茶漬けで胃を洗う前川真
心臓の爆音閉じ込めるコルク
落ち着いて風向きを読む出世凧白鳥象堂
落着のお白洲に舞う花吹雪光畑勝弘
下り坂すぎて落ち着くふくらはぎ田村ひろ子
やんちゃして落ち着く先は妻の膝内田志津子
落ち着きをなくした負けたなと悟る西口いわゑ
そわそわもドキドキも消す深呼吸高浜広川
落ち着いて選んでいれば別のひと石川柳寿
鮒釣りの腕時計から針の音斎藤秀雄
落ち着きは西方浄土見てるよう中内孚彦
もう誰も喧嘩は売らぬ棺の中勢藤潤
煩悩をもぐらたたきで落ち着かす藤井智史
新緑に落ち着きが出るランドセル安西建次
結局は生まれ故郷の酒を酌む村田博
不味いけどなぜか落ち着くレストラン船岡五郎
仮面一枚脱いでお茶漬け食べて居る森廣子
とにかくも落ち着くために淹れるお茶澁谷さくら
病状が落ち着き直ぐに欲しい酒伊藤良一
披露宴で挨拶終えた主賓席門田吉雄
佳 作落ち着かせたいので弱火からトロ火橋倉久美子
祭囃子落ち着いてなどいられない大島ともこ
いつもの席でいつもの人と飲んでいる平井美智子
落ち着こう今ジョーカーが手の中に西口いわゑ
落ち着くね復讐なんか思うとき柴田比呂志
人の句落ち着くと面白くない人になる城崎れい
地の句落ち着いているが時々不整脈大木雅彦
天の句落ち着いて詐欺師を諭すおばあちゃん松岡篤

「落ち着く」
石橋 芳山 選

横たわる円周率のど真ん中なお
定位置にどっかり腰がおさまった柳谷益弘
吹き溜まり ここで芽を出すことにする川本真理子
転がらぬ石です苔が生えましたホッと射て
大仏の尻のほくろに諸説あり西沢葉火
ウインクも流し目もない家で飲む安藤なみ
シャガールの馬がなんだか肥えてきた米山明日歌
流されて妙に落ち着く橋の下板垣孝志
スポンジが落ち着くまでの三日間たごまる子
恋破れまた図書館の奥の席居谷真理子
落ち着かせたいので弱火からトロ火橋倉久美子
残り香を着て過去も抱きしめている荒牧千晴
削除押し消してゆくただ消えてゆく荒牧千晴
深呼吸わたしはひとりきりじゃない尾崎良仁
冷静に見るとそうでもない美人すずき善作
メビウスの輪を走る川内優輝山田こいし
行く先は昔ながらの喫茶店フーマー
父親のような顔したブルドック上原稔
姿見に落ち着く場所がない比丘尼福村まこと
高鳴りがゆっくり沈む「ぐりとぐら」大内せつ子
鮒釣りの腕時計から針の音斎藤秀雄
落ち着きも限度があろう「ナマケモノ」塚越孝一
待っていた雨へ農夫は手を伸ばす野平光太郎
ウォシュレットたばこ一服いい気分若芽
駆けつけ三杯ほど飲みましたので雨森茂喜
先着の後方左はしの席徳重美恵子
仮面一枚脱いでお茶漬け食べて居る森廣子
猥雑な言葉が消える無菌室森山盛桜
ぼんやりとペンダコといる24時久保卓子
欠けていたピースようやくはまった絵澁谷さくら
鼻高いランチのあとのソーダ水稲垣康江
胡坐かく父はやっぱり畳の間山本昌乃
佳 作いつもの席でいつもの人と飲んでいる平井美智子
落ち着いた暮らし退屈とも思ううちだあつこ
落ち着くと面白くない人になる城崎れい
落ち着いているというより無関心森下博史
味噌よりも豚骨よりも醤油だな稲垣康江
人の句水になる前の湿りのなかにいる
地の句断定の助動詞にそう云われたら雨森茂喜
天の句珈琲は濃い目にひとりきりの午後新家完司

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