2017年11月WEB句会 (第20回)

2017年11月WEB句会 (第20回)

投句数 304句(153名)
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「だんだん」
真島久美子 選

だんだんと軍靴の音が近くなる荘子隆
だんだんと君を嫌いになる予感汐海岬
告白の語尾がだんだん弱くなるやんちゃん
だんだんとまぁるくなって星になるめぐ
だんだんと減って一人のカゴメの輪里山水月
だんだんと大人になっていく石榴間瀬田紋章
突然に開かないから香る百合青砥たかこ
だんだんがあって貴方に行き着けぬ米山明日歌
だんだんと無口になった指狐米山明日歌
だんだんと近づいていますお母さん大内せつ子
グラデーションに輝くわたし見ていてねまろ子
すこしずつ命が痩せてきたようだこみち
ふる里の段々坂は猫ばかり上原稔
にんげんという坂道の七合目柴田比呂志
ではまたのまたがだんだん減ってゆくアズスン安須
だんだんと守りに入る冬囲辻内次根
だんだんと話は雲になってくる岩根彰子
黙祷でまた始まった同期会竹中正幸
紅の色変えて女が強くなる真田義子
親子から親友になる娘たちたごまる子
段々の屋上ごとに月の影西沢葉火
心音を聞いてだんだん母の顔船岡五郎
年々に縮む背中のランドセル由美
僕という像がベールを脱いでゆく加藤当白
未来図へ満ちる今今今の画素加藤当白
だんだんと死ぬ気がしなくなる長寿竹中えぼし
歳を取るたびにヤンチャになってきた新家完司
母に添いながらわたしも老いてゆく澁谷さくら
特徴の無さがだんだん好きになる徳重美恵子
生きている証がひとつずつ消えるちゃくし
こいびとがだんだん雪になる聖夜月波与生
「俺サア」と孫は少年ぽくなって柳田かおる
佳 作空席を埋めゆく手荷物とコート安藤なみ
手と手と手つないで森になってゆく平井美智子
息を吐くたびに深まる悩み事蕎麦酔人
負けたかな声がだんだんでかくなる高浜広川
身を削り素数になってゆく安堵白瀬白洞
人の句だんだんと鮮明になる句読点葱坊主
地の句銭形とルパンになった恋の果て斉尾くにこ
天の句傷口がだんだん広くなる日暮れ内田志津子

「だんだん」
森山 盛桜 選

車間距離だんだん狭くなる老後よもやま話
輝きを減らし続ける朝となるかきくけ子
老いた目にだんだん物が見えてきたかきくけ子
挑戦の靴が熱気を帯びてくる藤澤霧堂
告白の語尾がだんだん弱くなるやんちゃん
だんだんと色褪せたから愛おしいなお
出来たはず言い訳だけが増えていくやっこ
老いるのも進化まあるく形変え糀谷和郎
甘噛みのだんだん強くなる羽音間瀬田紋章
だんだんと育ち一本杉になる柴崎幸風
突然に開かないから香る百合青砥たかこ
熟成がすすむワインもワタクシも勢藤潤
虚を実に上手く仕立ててゆく詐欺師白鳥象堂
スマホ握りだんだん空を見なくなる尾崎良仁
だんだんと心が空に浮きたがる川本真理子
にんげんという坂道の七合目柴田比呂志
人生の盛りも過ぎた先を見る駿河
ダイエットせぬのに痩せる一大事坂本加代
老人にだんだん重くなる年貢光畑勝弘
次々と老化を攻める病垂れ笹倉良一
だんだんと悪人になり生き易い平尾定昭
婚活のハードル少しずつ下がるまさと
だんだんと薄れて楽になる日暮れ田村ひろ子
息を吐くたびに深まる悩み事蕎麦酔人
昨日までスキップ2回出来たのに内田志津子
身を削り素数になってゆく安堵白瀬白洞
少年は鰤に少女は桜鯛斉尾くにこ
いつの間にやら恋も嫉妬も褪せている山本昌乃
歳を取るたびにヤンチャになってきた新家完司
膿を出しだんだんつまらない人に徳重美恵子
わたくしの首まで迫る温暖化颯爽
孤独ですスマホますます離せない木田比呂朗
佳 作引き摺った影がだんだん枷になる藤澤霧堂
グラデーションに輝くわたし見ていてねまろ子
日の丸を振るとだんだんハイになる笹倉良一
黙祷でまた始まった同期会竹中正幸
負けたかな声がだんだんでかくなる高浜広川
人の句毒食べてだんだん大人へとなったうちだあつこ
地の句目も耳も老いて無敵になってゆく平井美智子
天の句声高な祝意の順に胡蝶蘭美馬りゅうこ

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