題
「だんだん」
真島久美子 選
| だんだんと軍靴の音が近くなる | 荘子隆 | |
| だんだんと君を嫌いになる予感 | 汐海岬 | |
| 告白の語尾がだんだん弱くなる | やんちゃん | |
| だんだんとまぁるくなって星になる | めぐ | |
| だんだんと減って一人のカゴメの輪 | 里山水月 | |
| だんだんと大人になっていく石榴 | 間瀬田紋章 | |
| 突然に開かないから香る百合 | 青砥たかこ | |
| だんだんがあって貴方に行き着けぬ | 米山明日歌 | |
| だんだんと無口になった指狐 | 米山明日歌 | |
| だんだんと近づいていますお母さん | 大内せつ子 | |
| グラデーションに輝くわたし見ていてね | まろ子 | |
| すこしずつ命が痩せてきたようだ | こみち | |
| ふる里の段々坂は猫ばかり | 上原稔 | |
| にんげんという坂道の七合目 | 柴田比呂志 | |
| ではまたのまたがだんだん減ってゆく | アズスン安須 | |
| だんだんと守りに入る冬囲 | 辻内次根 | |
| だんだんと話は雲になってくる | 岩根彰子 | |
| 黙祷でまた始まった同期会 | 竹中正幸 | |
| 紅の色変えて女が強くなる | 真田義子 | |
| 親子から親友になる娘たち | たごまる子 | |
| 段々の屋上ごとに月の影 | 西沢葉火 | |
| 心音を聞いてだんだん母の顔 | 船岡五郎 | |
| 年々に縮む背中のランドセル | 由美 | |
| 僕という像がベールを脱いでゆく | 加藤当白 | |
| 未来図へ満ちる今今今の画素 | 加藤当白 | |
| だんだんと死ぬ気がしなくなる長寿 | 竹中えぼし | |
| 歳を取るたびにヤンチャになってきた | 新家完司 | |
| 母に添いながらわたしも老いてゆく | 澁谷さくら | |
| 特徴の無さがだんだん好きになる | 徳重美恵子 | |
| 生きている証がひとつずつ消える | ちゃくし | |
| こいびとがだんだん雪になる聖夜 | 月波与生 | |
| 「俺サア」と孫は少年ぽくなって | 柳田かおる | |
| 佳 作 | 空席を埋めゆく手荷物とコート | 安藤なみ |
| 手と手と手つないで森になってゆく | 平井美智子 | |
| 息を吐くたびに深まる悩み事 | 蕎麦酔人 | |
| 負けたかな声がだんだんでかくなる | 高浜広川 | |
| 身を削り素数になってゆく安堵 | 白瀬白洞 | |
| 人の句 | だんだんと鮮明になる句読点 | 葱坊主 |
| 地の句 | 銭形とルパンになった恋の果て | 斉尾くにこ |
| 天の句 | 傷口がだんだん広くなる日暮れ | 内田志津子 |
題
「だんだん」
森山 盛桜 選
| 車間距離だんだん狭くなる老後 | よもやま話 | |
| 輝きを減らし続ける朝となる | かきくけ子 | |
| 老いた目にだんだん物が見えてきた | かきくけ子 | |
| 挑戦の靴が熱気を帯びてくる | 藤澤霧堂 | |
| 告白の語尾がだんだん弱くなる | やんちゃん | |
| だんだんと色褪せたから愛おしい | なお | |
| 出来たはず言い訳だけが増えていく | やっこ | |
| 老いるのも進化まあるく形変え | 糀谷和郎 | |
| 甘噛みのだんだん強くなる羽音 | 間瀬田紋章 | |
| だんだんと育ち一本杉になる | 柴崎幸風 | |
| 突然に開かないから香る百合 | 青砥たかこ | |
| 熟成がすすむワインもワタクシも | 勢藤潤 | |
| 虚を実に上手く仕立ててゆく詐欺師 | 白鳥象堂 | |
| スマホ握りだんだん空を見なくなる | 尾崎良仁 | |
| だんだんと心が空に浮きたがる | 川本真理子 | |
| にんげんという坂道の七合目 | 柴田比呂志 | |
| 人生の盛りも過ぎた先を見る | 駿河 | |
| ダイエットせぬのに痩せる一大事 | 坂本加代 | |
| 老人にだんだん重くなる年貢 | 光畑勝弘 | |
| 次々と老化を攻める病垂れ | 笹倉良一 | |
| だんだんと悪人になり生き易い | 平尾定昭 | |
| 婚活のハードル少しずつ下がる | まさと | |
| だんだんと薄れて楽になる日暮れ | 田村ひろ子 | |
| 息を吐くたびに深まる悩み事 | 蕎麦酔人 | |
| 昨日までスキップ2回出来たのに | 内田志津子 | |
| 身を削り素数になってゆく安堵 | 白瀬白洞 | |
| 少年は鰤に少女は桜鯛 | 斉尾くにこ | |
| いつの間にやら恋も嫉妬も褪せている | 山本昌乃 | |
| 歳を取るたびにヤンチャになってきた | 新家完司 | |
| 膿を出しだんだんつまらない人に | 徳重美恵子 | |
| わたくしの首まで迫る温暖化 | 颯爽 | |
| 孤独ですスマホますます離せない | 木田比呂朗 | |
| 佳 作 | 引き摺った影がだんだん枷になる | 藤澤霧堂 |
| グラデーションに輝くわたし見ていてね | まろ子 | |
| 日の丸を振るとだんだんハイになる | 笹倉良一 | |
| 黙祷でまた始まった同期会 | 竹中正幸 | |
| 負けたかな声がだんだんでかくなる | 高浜広川 | |
| 人の句 | 毒食べてだんだん大人へとなった | うちだあつこ |
| 地の句 | 目も耳も老いて無敵になってゆく | 平井美智子 |
| 天の句 | 声高な祝意の順に胡蝶蘭 | 美馬りゅうこ |