題
「伸びる」
間瀬田紋章 選
九条の是非に饂飩が伸びている | 板垣孝志 | |
寝返りが打てない鼻が伸びすぎて | 麦乃 | |
あなたの夢に近づきたくて背伸びする | めぐ | |
伸びきったゴムの心がよくわかる | あず | |
誉められた背筋は伸びたままにする | 大木雅彦 | |
病窓の向こうで豆の木が伸びる | 藤澤霧堂 | |
妄想の指から爪が伸びていく | 徳田ひろ子 | |
コップの中覗き天狗の鼻伸びる | 武本碧 | |
伸び伸びと育ち縄文杉になる | 柴崎幸風 | |
ほっとけば伸びると言われ水面下 | 木嶋盛隆 | |
雑草だからゆっくり伸びていいのです | 大内せつ子 | |
百点の鼻はピノキオより伸びる | 高田まさじ | |
ゾワゾワと手足がのびる淋しい日 | 平井美智子 | |
巻きついて幸せそうに伸びている | 平井美智子 | |
鼻の下もゴムも伸びたら捨てられる | まさと | |
生命線あさっての方向に伸び | 由美 | |
本物になりたいサンプルの背伸び | 水たまり | |
入院説流れるほどに伸びた草 | たごまる子 | |
短足を伸ばして見せた月の影 | くみ | |
伸びすぎた先で助けを求めてる | 平尾定昭 | |
届きましたかわたしの胸のビブラート | 岩根彰子 | |
新月だ水晶体が伸びている | 安藤なみ | |
延命をするか献体をするのか | 斉尾くにこ | |
猛犬の鎖が意外にも伸びる | 吉崎柳歩 | |
伸び代がボクを誘惑してくれる | 柴田比呂志 | |
透明になるまで伸びるヨガマット | 美馬りゅうこ | |
打ち解けた頃枝豆に手が伸びる | アゲハ | |
跳ね橋が伸びるもういいかと伸びる | 青砥和子 | |
やじ馬の首がじわじわ伸びてゆく | 昌紀 | |
ヘルパーの手がよく伸びるケアハウス | 片山かずお | |
おずおずと伸ばした指が触れ合った | 野の花 | |
ハチャメチャの方がぐんぐん伸びてくる | 柳田かおる | |
佳 作 | 背伸びして月を盗み行くところ | 徳田ひろ子 |
どこまでも伸びる線路の好奇心 | 十六夜 | |
雨後の草むしりひと日の毒を消す | 澤井敏治 | |
背伸びして平均点にぶら下がる | 大釡洋志 | |
カメレオンの舌は想定外の伸び | アズスン安須 | |
人の句 | ラクレットチーズから伸びてゆく嘘 | あかり |
地の句 | 両手を伸ばして優しさをいただく | 米山明日歌 |
天の句 | 海の底まで人間の手が伸びる | 新家完司 |
題
「伸びる」
古今堂蕉子 選
初孫を抱いて生命線が伸び | やんちゃん | |
ハイティーンつぎつぎ名乗り出る五輪 | 佐藤彰宏 | |
伸び伸びと育ち縄文杉になる | 柴崎幸風 | |
伸びてゆく背中の羽根はやわらかい | 大内せつ子 | |
ほめられて伸びるタイプと子は主張 | 川本真理子 | |
速すぎる出世結えない大銀杏 | 樋口眞 | |
発芽する小さく裂ける音がした | 柳本恵子 | |
背走の頭上を越えてゆくボール | 西山竹里 | |
生命線あさっての方向に伸び | 由美 | |
月を齧る気で爪先立つキリン | 水たまり | |
本物になりたいサンプルの背伸び | 水たまり | |
伸びすぎた先で助けを求めてる | 平尾定昭 | |
伸びしろをはみ出す朝の大あくび | 福村まこと | |
背伸びして平均点にぶら下がる | 大釡洋志 | |
背伸びして猫がのっそり膝の上 | 大西重郎 | |
貧しかった頃は伸び伸び生きていた | 笹倉良一 | |
新月だ水晶体が伸びている | 安藤なみ | |
ラーメンが伸びる味方のいない街 | 月波与生 | |
伸びる芽に添え木も邪魔と反抗期 | 有海静枝 | |
追伸と書いてダルマの絵がひとつ | 斉尾くにこ | |
間引き菜の幾多があって芽が伸びる | 澁谷さくら | |
猛犬の鎖が意外にも伸びる | 吉崎柳歩 | |
伸びてゆく破竹は宇宙だと思う | 柴田比呂志 | |
透明になるまで伸びるヨガマット | 美馬りゅうこ | |
退院の許可が出そうな爪の色 | 長田昇 | |
ふるさとを伸びた道路が切り刻む | 徳重美恵子 | |
高いねえ届かないねと柿たわわ | 山本昌乃 | |
ベテランの背中を借りて伸びゆく芽 | 上村夢香 | |
やじ馬の首がじわじわ伸びてゆく | 昌紀 | |
伸びる道探しあぐねているモヤシ | 初代正彦 | |
内省と意地で技術が磨かれる | いいだひでき | |
カメレオンの舌は想定外の伸び | アズスン安須 | |
佳 作 | よく伸びた脚が小言を踏んづける | あそか |
少し手を伸ばせば届く虹の端 | 糀谷和郎 | |
約束を忘れて伸びをする小指 | 森山文切 | |
君知ってから少し背伸びを覚えたの | あかり | |
おずおずと伸ばした指が触れ合った | 野の花 | |
人の句 | 誉められた背筋は伸びたままにする | 大木雅彦 |
地の句 | 届きましたかわたしの胸のビブラート | 岩根彰子 |
天の句 | 伸びしろも一緒に買ったスニーカー | 関口行雲 |