2017年3月WEB句会 (第12回)

2017年3月WEB句会 (第12回)

投句数 281句(142名)
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「鳴 る」
門脇かずお 選

目覚ましを鳴らして朝の身を削るかきくけ子
思い出を刻む汽笛がボーと鳴る大木雅彦
号砲へこの先自分との戦竹中正幸
雀荘に届かないのか除夜の鐘水月
反対を言えない椅子がギーと鳴る大内せつ子
鳴きまねをして鶯に応答すつれづれ
たこ焼きと苺が鳴らす愛の鐘藤井智史
胡同を抜けて悲しい風が鳴る森廣子
聞き流すわけにもいかぬ非常ベル吉崎柳歩
大きく鳴る方へ傾く多数決糀谷和郎
楽しかったあの頃が鳴るオルゴール川本真理子
家電から知らない人の声が鳴る川本真理子
おかえりとスリッパの音愛の音米山明日歌
鳴き砂の音ラッピングしたくなる笹倉良一
リズムよく鳴る必要がある木魚西山竹里
現役で鳴らした腕にかかる声小林祥司
死者だけが聞く退場のホイッスルアズスン安須
さみしさの底で背骨を軋ませる柴田比呂志
二つ目の目覚まし鳴って朝になる由美
もう少し手の鳴るほうで生きてみる高田まさじ
手の鳴る方へ介護の足が揃わないあそか
独り居に朝昼晩の電子音澤井敏治
背骨鳴る初めて生まれ出たように月波与生
詩画集の行間に鳴る鈴の音春川秋男
遮断機が祈りの音で降りてくる青砥たかこ
本当の平和の鐘はいつ鳴るかペースかめ
ハーモニカ鳴らせば父が近くなる十六夜
止めてもらえずいつまでも鳴っている橋倉久美子
時折は亡夫に貰うホイッスル矢倉五月
マナーモードなのにあなたへの動悸美馬りゅうこ
戦わず指を鳴らしてばかりいる城崎れい
擦りガラスこすると春の空が鳴る水たまり
佳 作開演のベルが鳴ったような春野山路橙葉
銅鑼が鳴り金正男が殺される森山文切
としよりの鐘はギンゴンガンと鳴る新家完司
マナーモードもそれなりに鳴っている由美
トランペット鳴らして星をまき散らす青砥和子
人の句王様の気分にさせるファンファーレポルテーニョ
地の句ペコポコと鳴って手足が老いてゆく平井美智子
天の句指パッチンおとこの夢のたわいない美馬りゅうこ

「鳴 る」
木本 朱夏 選

ぽきぽきと指を鳴らして春を待つよもやま話
目覚ましを鳴らして朝の身を削るかきくけ子
ポケットに飴玉一個靴が鳴るめぐ
軍靴高鳴るスーダンへ石垣へ山本進
黒鍵のエチュード恋の風が鳴る大内せつ子
反対を言えない椅子がギーと鳴る大内せつ子
駆け上がる癖が抜けない発車ベル坪ようこ
適齢期進軍ラッパ鳴り響く大釜洋志
耳鳴りの耳で聴いてるボブディラン吉崎柳歩
大きく鳴る方へ傾く多数決糀谷和郎
線量計戻りたい地が鳴き止まぬ糀谷和郎
ここからはロボットになる始業ベル笹倉良一
たそがれに人恋しげな鐘が鳴る石川柳寿
待てなくて園児が跳ねる床が鳴るアズスン安須
としよりの鐘はギンゴンガンと鳴る新家完司
目覚ましが鳴る日曜の青い空柴田比呂志
さみしさの底で背骨を軋ませる柴田比呂志
テロ悼む鐘に地球は無反応森山盛桜
サイレンを聞かぬ日は無い街に棲む両澤行兵衛
シナリオにない踏切の鐘が鳴るあそか
そうかそうかと天空で鳴る父の鐘田村ひろ子
窓際の電話が鳴って欠伸する熊内繁生
春のベル鳴って始まる花粉症岩崎誠治
十三回打って途絶えた古時計光畑勝弘
遅い春古い時計が鳴り終える板垣孝志
海鳴りの響き答えは出ていない海賊芳山
閻魔さままだ呼び鈴は押さないで上山堅坊
王様の気分にさせるファンファーレポルテーニョ
そっぽ向きながら夫婦が鳴らす鈴うちだあつこ
春眠を蹴飛ばしアラームが響く片山かずお
骨揚げの夜は独りの骨が鳴る岸井ふさゑ
指パッチンおとこの夢のたわいない美馬りゅうこ
佳 作路地裏に胸が高鳴る秘密基地白鳥象堂
ペコポコと鳴って手足が老いてゆく平井美智子
雷鳴に負けずに叫ぶ愛してる雨森茂喜
さくら咲き日本人の胸が鳴る水野黒兎
トランペット鳴らして星をまき散らす青砥和子
人の句死者だけが聞く退場のホイッスルアズスン安須
地の句忘れないでと夜に鳴りだすオルゴールアゲハ
天の句ぺんぺん草 鳴る寂しさにいるこの世丹下凱夫

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