2016年9月WEB句会 (第6回)

2016年9月WEB句会 (第6回)

投句数 246句(125名)
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「ふさぐ」
吉崎 柳歩 選

口ふさぐ手からはみ出る大あくび落犀庵
逃げ道をふさがぬ父のお説教はいじ
泥水の流れに土嚢立ち向かう龍せん
世の無情初めて知ったペットロス竹中正幸
綻びをふさぐ詭弁が空回り北田のりこ
ふさがらぬピアスの穴と恋の傷汐海岬
ガムテープではとても塞げぬすきま風足立茂
逃げ道を閉じていたのは血の絆平井美智子
隙間風孫がふさぎにやって来る颯爽
子があけた財布の穴がふさげないさなえ
目も耳も塞ぎ嵐を遣り過ごす新家完司
目と耳を一日ふさぎ生き返る船岡五郎
看板がお辞儀している通せんぼ坂本加代
我先に席が塞がる始発駅春川秋男
涙腺は無理して塞がなくていい森山文切
とりあえず塞ぐ正月過ぎるまで青砥和子
逃げ道を塞げば部下は育たない森清泰範
ど忘れの多さで秋をふさがれる美馬りゅうこ
満員車涼しい顔のイヤホーンわこう
暗幕でふさがれていた新市場中田尚
積ん読の部屋で寝ころぶ隙もないころのすけ
覗き見を誘うゆるめのふさぎ方橋倉久美子
耳栓も呆れるほどの大鼾白鳥象堂
一本のロープを張った事故現場蕎麦用人
孫台風が去って障子の穴塞ぐたまき
酒タバコ止めてしょんぼり生きますか岡本恵
ジーンズの穴をふさいで叱られる澁谷さくら
引き際が下手で逃げ道塞がれる伊藤良一
おしゃべりなお口は目配せでふさぐ
手荷物でふさがってるが出す切符黒しま
わだかまり残し柩はふさがれる石森あやみ
血栓は心臓に来る脳に来るアズスン安須
佳 作一強が塞ぐ庶民の耳と口圦山繁
家計簿の穴がふさがらない格差さなえ
胸の穴ふさぐ含蓄ある言葉たかこ
泥舟の穴に詰め込む新聞紙白鳥象堂
当て布に見せない母のアップリケ水たまり
人の句規制委にナマズの穴は塞げない澤井敏治
地の句レンコンの穴ふさいでからの悲劇井丸昌紀
天の句マニュアルの穴をふさいだ気働き高浜広川

「ふさぐ」
西出 楓楽 選

口塞ぐそれは無理です女性ならしゅういち
口ふさぐ手からはみ出る大あくび落犀庵
断捨離のおすすめ本が棚ふさぐよもやま話
塞ぐよりショパンを真似て雨を聴きあら松
近道をするなと父のバリケードおおがまひろし
傷口ふさぐ瘡蓋という鎧北田のりこ
綻びをふさぐ詭弁が空回り北田のりこ
片耳をふさいで三世代同居あそか
ふさがない傷口さらし生きている光畑勝弘
無理に塞ぐと憤懣が破裂する森廣子
逃げ道を閉じていたのは血の絆平井美智子
子があけた財布の穴がふさげないさなえ
目も耳も塞ぎ嵐を遣り過ごす新家完司
臆病が夢の入り口ふさいでる三好光明
自分ではふさげない人様の口斉尾くにこ
気がふさぐ時には二倍飲むビール水野黒兎
涙腺は無理して塞がなくていい森山文切
ふさいでもふさいでもまた汚染水西山竹里
口ふさぎ出来ぬ無邪気な孫の口わこう
口止めをしなきゃオウムにばらされる森山盛桜
逃げ道をたくさん作りふさぐ罪武良銀茶
とおせんぼガキ大将がしたイジメえぼし
失恋の穴をふさいだ甘いものかしくらゆう
父だけがふさぐ娘の披露宴たまき
孫台風が去って障子の穴塞ぐたまき
いつまでも塞ぎの虫が羽化しない伊藤良一
居酒屋で友に打ち明けふさぐ傷上山堅坊
ふさぐ気をナース笑顔で吹き飛ばす片山かずお
靴下の穴をふさいではいていたやひろ
虫が鳴くふさぐ心をノックする久保卓子
すぐ詫びてふさぐ炎上せぬうちにうちだあつこ
ぎこちない笑顔の奥にある孤独あやちゃん
佳 作イヤホンを付けて独りの小宇宙笹倉良一
空を見てふさぎの虫を手なずける川本真理子
封をするしあわせ零さないように柴田比呂志
ジーンズの穴をふさいで叱られる澁谷さくら
包帯でふさいだ傷が疼きだす黒しま
人の句アンパンでふさいでいます淋しさを米山明日歌
地の句胸の穴ふさぐ含蓄ある言葉たかこ
天の句ふさぎ込む心に海を見せに行く水たまり

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