題
「 畳 」
吉崎 柳歩 選
どっかりと西日居座る四畳半 | 喜屋武白雨 | |
父ちゃんがひょいと担いでいた畳 | 杉山太郎 | |
ご先祖も舞い降りやすい畳部屋 | 春爺 | |
強かった畳の下の巨人軍 | 石川照夫 | |
風通す畳は春の野の一部 | かきくけ子 | |
畳部屋孫とザコ寝の夏休み | 落犀庵 | |
青春の涙を知っている畳 | みぢんこ | |
畳替え済んで襖も気にかかる | やっこ | |
はらからの息災集う夏座敷 | つれづれ | |
初盆の母をもてなす畳替え | あそか | |
大の字に寝ると畳に癒される | 彦翁 | |
八畳の馬場をくるくる孫の騎手 | おおがまひろし | |
雑草に縁どられてる石畳 | 安藤なみ | |
初孫がコロコロ笑う畳部屋 | はぐれ雲 | |
プランから遂に消された畳の間 | 木田比呂朗 | |
湯めぐりへ下駄が行き交う石畳 | 颯爽 | |
退院の父を待ってる青畳 | 平井美智子 | |
夜中まで騒いで雑魚寝した畳 | 村上玄也 | |
和の心プラスチックの畳にも | 森山文切 | |
神妙な顔を知ってる奥座敷 | 十六夜 | |
フルムーン宿の畳に足伸ばす | ツボ | |
石畳手を添えられたハイヒール | 加藤当白 | |
六畳の大海原で遊んだ日 | 川本真理子 | |
仏間だけ畳を残しリニューアル | 新家完司 | |
畳叩きは男に限る大掃除 | 森廣子 | |
一畳は担架の広さ 昼寝する | 月波与生 | |
寝る食べる遊ぶ昭和の畳部屋 | わこう | |
三畳の庭に手を焼く草むしり | 森清泰範 | |
もの足らぬ畳あげない大掃除 | アズスン安須 | |
経を聴く四十九日の青畳 | 大橋芳明 | |
練習量畳の縁は知っている | 城崎れい | |
座布団の枕を畳嬉しがる | 佐藤千四 | |
佳 作 | 手を伸ばし何でも取れる四畳半 | 彦翁 |
大の字がうまくおさまる四畳半 | 汐海岬 | |
一大事ベッドを入れる畳部屋 | 竹中正幸 | |
こころざし斯くあるべしと青畳 | 新家完司 | |
本性を隠しきれない四畳半 | 上山堅坊 | |
人の句 | 正方形にならねばならぬ四畳半 | 由美 |
地の句 | 本堂の畳も椅子に慣れてくる | 北田のりこ |
天の句 | 座り直して父の小言を聞く畳 | 平井美智子 |
題
「 畳 」
西出 楓楽 選
本畳猫の額の父の城 | 麦乃 | |
畳替え済んで襖も気にかかる | やっこ | |
本堂の畳も椅子に慣れてくる | 北田のりこ | |
四畳半の暮らしに明日の詩がある | 笹倉良一 | |
晩酌に疊み鰯が媚を売る | たまき | |
ばあちゃんは数えたらしい畳の目 | ぷいこると | |
大の字がうまくおさまる四畳半 | 汐海岬 | |
いつの間に気が付かぬうち古畳 | 川畑めぐむこ | |
ベッドより畳の夢は壮大だ | はぐれ雲 | |
プランから遂に消された畳の間 | 木田比呂朗 | |
湯めぐりへ下駄が行き交う石畳 | 颯爽 | |
青畳ご先祖様を迎え入れ | 鹿野椿 | |
神妙な顔を知ってる奥座敷 | 十六夜 | |
生も死も畳一畳あれば足る | 光畑夢色 | |
フルムーン宿の畳に足伸ばす | ツボ | |
密談をいろいろ聞いた四畳半 | 竹内いそこ | |
思い出を置いて巣立ちの六畳間 | ころのすけ | |
たたいたらほこり畳も私も | 橋倉久美子 | |
折り畳み要るか思案の空模様 | 富田美義 | |
母さんを待っているよと畳部屋 | 岡本恵 | |
青畳ニッポン人で良かったな | 岡本恵 | |
畳屋の縁縫う姿粋だった | やひろ | |
大の字は畳の温さ知っている | 西山竹里 | |
大掃除畳叩いた遠い夏 | 坂上淳司 | |
畳屋が元気で錆びつかない町 | かっぱ堂 | |
どの部屋も畳ふるさと遠くなり | 西口いわゑ | |
寝る食べる遊ぶ昭和の畳部屋 | わこう | |
三畳の庭に手を焼く草むしり | 森清泰範 | |
四畳半ぐらいはほしい俺の部屋 | 丹下凱夫 | |
お見合いで畳ばかりを見てました | 城崎れい | |
仕合せな人ね畳で看取られて | 水たまり | |
畳に直したらよく分かる広さ | 水たまり | |
佳 作 | 畳まれて陽が当たらない弐千圓 | 荘子隆 |
女房より早めに歳をとる畳 | 足立茂 | |
まだいける畳み直してみる私 | 永見心咲 | |
畳消え短足消えてゆく日本 | 有海静枝 | |
練習量畳の縁は知っている | 城崎れい | |
人の句 | 座り直して父の小言を聞く畳 | 平井美智子 |
地の句 | はらからの息災集う夏座敷 | つれづれ |
天の句 | 八畳の馬場をくるくる孫の騎手 | おおがまひろし |