居谷真理子ミニ句集

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居谷真理子ミニ句集

居谷真理子(いたにまりこ)
川柳塔社(同人、常任理事)

略歴
2000年  川柳塔社 同人

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存分に狂うて満開の桜
いつか死ぬそう思えればみな喜劇
辛い夜は胎児の形して眠る
花が降る二人を少し狂わせて
みな独り歩幅合わせてみな独り
青春の輝きあれは割れガラス
あアあアと泣く一人だし酔ってるし
本物の銃でないからすぐ飽きる
してはならぬ我慢ばかりをして汚れ
道化者十五で泣いたあの日から
踏みつけてみても卑怯の柔らかさ
肩書きはにんげん文句ありますか

ほほえんで下さい 開きたいのです

虹はすぐ消えて豆腐と葱を買う
老人ホームみんな母から生まれた子
誕生日汚れた海を見て帰る
一枚の布を男は旗と呼ぶ
人の世に縛られたくて腕時計
電球のあかり 愛のようなもの
飛んだのよ紙飛行機もわたくしも
消えそうな母と大きな虹を見る
ここでなら泣けるこの樹の下でなら
サワルナッ コレハワタシノ悲シミダ
不眠症きっと死ぬのも下手だろう
古日記かほど私は愛された
空がいい行方不明になるのなら
ライバルはひょいと跨いださて私
銀色のあれは悲しみだったもの
からっぽの手の平息を吹きかける
巧すぎる男で贋作者になった
本を読む発光体になっている
闘えと爪愛せよと髪が伸び
幸運の女神は意地悪な老婆
少年よ五月の空を打ち鳴らせ
ぼんやりとしてたら銃を持たされる
人間てすごい泣いたあと笑う
ゼロですがひょいとねじれば無限大
真心のやるせなさ知る一円貨
へのへのの顔で見ている昼の月
しょうがない男で今日もピーヒョロロ
髪を梳くそりゃあいつかは死ぬけれど
酒で消す火もあるちちろ鳴いている
また来たか淋しいのかとカバが言う
雨なんか降るから君が好きになる
マッチ一瞬あかるいあたたかい
砕け散ってこれがコップの答です
愛したら花火になれたのに菊よ
友が逝く腹の底から寒気団
細胞の一つ一つに先祖様

目覚めれば光あふれているこの世

(平成29年12月16日掲載)

17 Comments

  1. 返信
    奥 時雄 2018、4,15 2018年4月15日

    川柳塔誌も完読しなくなった小生ですが、居谷さんの「初歩教室」はいつも感心しながら読んでいます、やさしく鋭く巧みです。
    ここ川柳塔HPも殆ど見ませんが、今、たまたま居谷さんの句を発見して喜んでいます、どの句も素晴らしく感嘆するしかありません。
    完司さんの「川柳の理論と実践」が教科書なら、居谷さんの川柳は珠玉の文学書ですね。

  2. 返信
    恵子 2018年3月16日

    句集発刊おめでとうございます。見つけてしまいました。
    私が知らなかった面に対面した感じです…

  3. 返信
    居谷真理子 2018年1月8日

    怜依子さん 
     コメントありがとうございます。お互い、川柳と同時にパソコンも学ばねばなりませんね。
    脳にムチ打って頑張りましょう。

  4. 返信
    山下怜依子 2018年1月5日

    こんばんは。教えてもらってやっと探しあてました。流石!まりちゃん!胸にツンとくる句でかんどうしました。とても勉強になります。

  5. 返信
    居谷真理子 2018年1月1日

    ちさとさんを泣かせちゃったか。私もたいしたのです。
    今年もあなたの個性的な句を楽しみにしております。
    どうぞどうぞどうぞよろしく!

  6. 返信
    川﨑ちさと 2018年1月1日

    真理子さんの句は大好きです。真理子さんは話し言葉もすてきな句になっています。
    これからもお慕い申し上げますので宜しくお願い致します。

    一番好きなのは老人ホームみんな母から生まれた子 です。泣かせますよね~。

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