平井美智子ミニ句集

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平井美智子ミニ句集「LIVE」

略歴
平井美智子(ひらい みちこ)

1996年  時実新子「川柳大学」会員
2007年  「川柳大学」終刊
     大阪市生涯学習インストラクターとして川柳講座開講
2017年  川柳塔社同人

出版物
平井美智子川柳集(窓)

平井美智子句集(なみだがとまるまで)
平井美智子川柳句集(凌霄花)
平井美智子編(時実新子の川柳と慟哭)

PDF版:下の画像かここをクリック


師・時実新子が好きで彼女の(追っかけ)から始めた川柳。
だが今、その川柳に救われている自分がいるのは確かである。


ごほうびのように優しい雨がふる

きのう
飛べたらねえ飛べたらねえと仰ぐ空

泣かんとき 大きい方をあげるから
私を好きで嫌いでキムチ鍋
本心を隠す修正液の白
ほほ笑んだ気がして乗った昼のバス
捨てて来たはずの匂いを持ち帰る
コンニャクは苦手 悟りはほど遠い
もう次のオモチャが欲しくなっている
1000円を足して飲み放題にする
神様と遊び悪酔いしてしまう
「別れ時でっせ」と秋の風が吹く
二百円分だけ動く観覧車
軽い順ですと後回しにされる
大泣きの途中で舐めてみる涙
屋根に雨 誘眠剤が効いてくる
灯を点けて両手で猫を抱いて寝る

おととい
淋しさの形 時々熱が出る

いつもの椅子にいつもの人がいない秋
破り捨てて欲しいと書いてある手紙
裏返しのままで浮かんでいる豆腐
赤だった日がアルバムの中にある
美しい思い出という解毒剤
波の音だけが流れてくる電話
聞きわけのない淋しさを抱く夜更け
傷口に重ね塗りする矢代亜紀
女ひとり毛玉のついたシャツで寝る
優しさを演じ続ける糖衣錠
珍獣のビラが貼られている背中
虫ピンが刺さったあたりから発火
紅組の籠に入った白い玉
石の願いは石であること 家族の輪
窓際にゴメンナサイが吊ってある

あさって
浮くことをまだ諦めていない石

大きめの袋に入れる自画自賛
道連れは笑い袋と二枚舌
泣くもんか一人抱えるおでん鍋
座ろうか立とうかバスという世間
企みを抱いておいしい牡蠣フライ
余ってるからと回ってきた主役
一生一善 たとえば君を愛し抜く
風になる切符が添えてある手紙
鳥になる日と書いてある予定表
突然の冤罪 神に試される
盗まれた月を探している浜辺
逃げ出した檻が恋しくなる日暮れ
白になるゲーム ゴールはまだ遠い
生きてゆく重さぶらりと象の鼻
椅子ひとつ机ひとつを置く野原

タイトルは「生きる」 私を演じ切る

(平成29年8月22日掲載)

14 Comments

  1. 返信
    月波与生 2017年10月2日

    仙台では一期一会の夜をありがとうございました。大会後、校舎の裏に呼ばれ説教されることもなく無事におわりました。(*´∀`*)フフフ

    泣かんとき 大きい方をあげるから
    軽い順ですと後回しにされる

    久保田紺さんの句を思い出しました。
    紺さんとも会えぬままでした。

    • 返信
      大阪二番 2017年10月3日

      与生さんのお顔を拝見するのも仙台行の楽しみの一つでした。新幹線の都合でご挨拶もしないで帰阪しました。
      皆さんのおかげで楽しかったです。ありがとうございました。
      紺さんは日本酒が大好きで私より強かったです。美智子さんと違って(?)全然乱れないで綺麗な飲み方でした。

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