題
「 桜 」
青砥たかこ 選
豪雪もなかったように桜咲く | 荘子隆 | |
出不精の母も浮かれる花便り | たまき | |
風が描く路上アートの花吹雪 | 白鳥象堂 | |
二次元に戻りたがっているサクラ | 森山文切 | |
飽きるほど四、五年分の桜見る | 穂口正子 | |
葉桜になってあなたに会いました | 乙川初音 | |
満月に満開ディレクターは誰 | 新家完司 | |
街中の家空っぽにする桜 | 安西建次 | |
桜見の出ばな挫いた名残雪 | はなぶさ | |
魂は軽く 沈まぬ花筏 | 川本真理子 | |
ひと駅を歩かせる今夜のさくら | こみち | |
酒あればアカペラ楽し花の下 | 富田保子 | |
改竄を告白潔い桜 | 森山盛桜 | |
空っぽの校庭に満開の花 | 由美 | |
国訛り乗せて別れる花筏 | 葱坊主 | |
葉脈を仄かに印す桜餅 | 西沢葉火 | |
バーべキュー桜がやめてと鼻つまむ | 藤井康信 | |
葉桜に茶屋の亭主が下ろす腰 | 福村まこと | |
画用紙を零れる花の写生会 | 野平光太郎 | |
前ならえソメイヨシノは行儀良い | アゲハ | |
さくらからさくら百歳なんてすぐ | 斉尾くにこ | |
盲導犬さくら愛でずに主見る | やひろ | |
ケンカして枝垂桜に諭される | 彩古 | |
見たかった桜に停まる霊柩車 | 光畑勝弘 | |
枝ぶりをとやかく言われない桜 | awaji | |
再検に向かう道のり花吹雪 | 汎陀 | |
跡継ぎのない過疎の村にも桜さく | 上山堅坊 | |
咲いて散る誰のためでもない桜 | ちゃくし | |
さくら咲く除染袋のそばで咲く | 柳田かおる | |
新発見熊野桜を見て育ち | 上平祥 | |
あやかしが居て桜の下は無重力 | 水たまり | |
夜桜に奪われてゆく喉仏 | 怜 | |
佳 作 | 逝く春のあとがき葉ざくらの風情 | 澤井敏治 |
議事堂の前の桜もうつくしい | こみち | |
人間の我がまま見飽き散る桜 | 富田保子 | |
歳時記に背を向けながら散る桜 | 笹倉良一 | |
さくら散るなにか文句がありますか | 丹下凱夫 | |
人の句 | 蝉ほどの寿命と知らず咲く桜 | 圦山繁 |
地の句 | あんパンの臍で桜がまだ匂う | 西沢葉火 |
天の句 | 桜はいつもオープンカーでやって来る | 寺川弘一 |
題
「 桜 」
石橋 芳山 選
偏屈なさくらも褒めるのが礼儀 | 心咲 | |
散ってなお葉桜などとおだてられ | 岡野満 | |
桜には綺麗な嘘がよく似合う | 穂口正子 | |
葉桜になってあなたに会いました | 乙川初音 | |
酔って候いろはにほへと散る桜 | 澤井敏治 | |
後始末考えないで散る桜 | 竹中正幸 | |
パッと散る例えを否定するさくら | 木田比呂朗 | |
年ごとにあわてん坊になる桜 | 圦山繁 | |
おならする旦那は誘わない花見 | たごまる子 | |
静脈をしずかになでてゆく桜 | 田村ひろ子 | |
今日もまたサクラに釣られパチンコ屋 | 木嶋盛隆 | |
満開の桜が儚いと漏らす | うちだあつこ | |
幾筋もためらい傷のある櫻 | 平井美智子 | |
葉桜の下へと辿り着く迷路 | 平井美智子 | |
人の行く後をぞろぞろ八重桜 | 福多郎 | |
ソメイヨシノ心惑わす魔女に似る | 片山かずお | |
あんパンの臍で桜がまだ匂う | 西沢葉火 | |
堕落した桜未だに咲いている | 勢藤潤 | |
花の下チキンラーメン煮るもよし | 柴田比呂志 | |
桜満開金持ちの気にさせられる | 春川秋男 | |
次の方どうぞと桜散っていく | 平尾定昭 | |
桜サクラまた日本がおかしいぞ | 平尾定昭 | |
さくらひらひらまだ幻想を抜けられず | 藤井智史 | |
桜舞う何も言わない言わせない | 久保卓子 | |
枝ぶりをとやかく言われない桜 | awaji | |
神様に咲き人間に散る桜 | 居谷真理子 | |
カウントダウンしましょうひとひらの桜 | 大内せつ子 | |
桜はいつもオープンカーでやって来る | 寺川弘一 | |
深追いはいたしませんと花吹雪 | 美馬りゅうこ | |
桜はらはら私にも言えぬ恋 | 水たまり | |
花吹雪やさしい威嚇だと思う | 怜 | |
夜桜に奪われてゆく喉仏 | 怜 | |
佳 作 | さくら散る甘酸っぱさを連れながら | 三好光明 |
二次元に戻りたがっているサクラ | 森山文切 | |
春の雪しだれ桜の腹上死 | 森山文切 | |
約束の桜とモルヒネの追加 | まさと | |
さくら散るなにか文句がありますか | 丹下凱夫 | |
人の句 | 花は咲いたのかドモホルンリンクル | 田口和代 |
地の句 | あやかしが居て桜の下は無重力 | 水たまり |
天の句 | アドレス変えました葉桜になりました | 美馬りゅうこ |