題
「ふさぐ」
吉崎 柳歩 選
口ふさぐ手からはみ出る大あくび | 落犀庵 | |
逃げ道をふさがぬ父のお説教 | はいじ | |
泥水の流れに土嚢立ち向かう | 龍せん | |
世の無情初めて知ったペットロス | 竹中正幸 | |
綻びをふさぐ詭弁が空回り | 北田のりこ | |
ふさがらぬピアスの穴と恋の傷 | 汐海岬 | |
ガムテープではとても塞げぬすきま風 | 足立茂 | |
逃げ道を閉じていたのは血の絆 | 平井美智子 | |
隙間風孫がふさぎにやって来る | 颯爽 | |
子があけた財布の穴がふさげない | さなえ | |
目も耳も塞ぎ嵐を遣り過ごす | 新家完司 | |
目と耳を一日ふさぎ生き返る | 船岡五郎 | |
看板がお辞儀している通せんぼ | 坂本加代 | |
我先に席が塞がる始発駅 | 春川秋男 | |
涙腺は無理して塞がなくていい | 森山文切 | |
とりあえず塞ぐ正月過ぎるまで | 青砥和子 | |
逃げ道を塞げば部下は育たない | 森清泰範 | |
ど忘れの多さで秋をふさがれる | 美馬りゅうこ | |
満員車涼しい顔のイヤホーン | わこう | |
暗幕でふさがれていた新市場 | 中田尚 | |
積ん読の部屋で寝ころぶ隙もない | ころのすけ | |
覗き見を誘うゆるめのふさぎ方 | 橋倉久美子 | |
耳栓も呆れるほどの大鼾 | 白鳥象堂 | |
一本のロープを張った事故現場 | 蕎麦用人 | |
孫台風が去って障子の穴塞ぐ | たまき | |
酒タバコ止めてしょんぼり生きますか | 岡本恵 | |
ジーンズの穴をふさいで叱られる | 澁谷さくら | |
引き際が下手で逃げ道塞がれる | 伊藤良一 | |
おしゃべりなお口は目配せでふさぐ | 怜 | |
手荷物でふさがってるが出す切符 | 黒しま | |
わだかまり残し柩はふさがれる | 石森あやみ | |
血栓は心臓に来る脳に来る | アズスン安須 | |
佳 作 | 一強が塞ぐ庶民の耳と口 | 圦山繁 |
家計簿の穴がふさがらない格差 | さなえ | |
胸の穴ふさぐ含蓄ある言葉 | たかこ | |
泥舟の穴に詰め込む新聞紙 | 白鳥象堂 | |
当て布に見せない母のアップリケ | 水たまり | |
人の句 | 規制委にナマズの穴は塞げない | 澤井敏治 |
地の句 | レンコンの穴ふさいでからの悲劇 | 井丸昌紀 |
天の句 | マニュアルの穴をふさいだ気働き | 高浜広川 |
題
「ふさぐ」
西出 楓楽 選
口塞ぐそれは無理です女性なら | しゅういち | |
口ふさぐ手からはみ出る大あくび | 落犀庵 | |
断捨離のおすすめ本が棚ふさぐ | よもやま話 | |
塞ぐよりショパンを真似て雨を聴き | あら松 | |
近道をするなと父のバリケード | おおがまひろし | |
傷口ふさぐ瘡蓋という鎧 | 北田のりこ | |
綻びをふさぐ詭弁が空回り | 北田のりこ | |
片耳をふさいで三世代同居 | あそか | |
ふさがない傷口さらし生きている | 光畑勝弘 | |
無理に塞ぐと憤懣が破裂する | 森廣子 | |
逃げ道を閉じていたのは血の絆 | 平井美智子 | |
子があけた財布の穴がふさげない | さなえ | |
目も耳も塞ぎ嵐を遣り過ごす | 新家完司 | |
臆病が夢の入り口ふさいでる | 三好光明 | |
自分ではふさげない人様の口 | 斉尾くにこ | |
気がふさぐ時には二倍飲むビール | 水野黒兎 | |
涙腺は無理して塞がなくていい | 森山文切 | |
ふさいでもふさいでもまた汚染水 | 西山竹里 | |
口ふさぎ出来ぬ無邪気な孫の口 | わこう | |
口止めをしなきゃオウムにばらされる | 森山盛桜 | |
逃げ道をたくさん作りふさぐ罪 | 武良銀茶 | |
とおせんぼガキ大将がしたイジメ | えぼし | |
失恋の穴をふさいだ甘いもの | かしくらゆう | |
父だけがふさぐ娘の披露宴 | たまき | |
孫台風が去って障子の穴塞ぐ | たまき | |
いつまでも塞ぎの虫が羽化しない | 伊藤良一 | |
居酒屋で友に打ち明けふさぐ傷 | 上山堅坊 | |
ふさぐ気をナース笑顔で吹き飛ばす | 片山かずお | |
靴下の穴をふさいではいていた | やひろ | |
虫が鳴くふさぐ心をノックする | 久保卓子 | |
すぐ詫びてふさぐ炎上せぬうちに | うちだあつこ | |
ぎこちない笑顔の奥にある孤独 | あやちゃん | |
佳 作 | イヤホンを付けて独りの小宇宙 | 笹倉良一 |
空を見てふさぎの虫を手なずける | 川本真理子 | |
封をするしあわせ零さないように | 柴田比呂志 | |
ジーンズの穴をふさいで叱られる | 澁谷さくら | |
包帯でふさいだ傷が疼きだす | 黒しま | |
人の句 | アンパンでふさいでいます淋しさを | 米山明日歌 |
地の句 | 胸の穴ふさぐ含蓄ある言葉 | たかこ |
天の句 | ふさぎ込む心に海を見せに行く | 水たまり |