題
「締める」
Sin 選
| お嫁様ドアは静かに締めましょう | 麦乃 | |
| トルストイの家出を想う締められて | 板谷達彦 | |
| アーメンと一本締めは違うもの | 森下博史 | |
| あのひもももう締めますよいいですか | 四線蛇 | |
| 玉手箱締めたわたしの現在地 | 田村ひろ子 | |
| 引き締める話ばかりで空を見る | 川本真理子 | |
| 襖閉め作法道理に尻締める | 岩根彰子 | |
| 国民を締める手相の坐る椅子 | 忠 | |
| 帯締めを解かせ次の企みへ | 副井ゆたか | |
| レシートはいいですと締めておきます | よる | |
| 抱き締めていないと魔女になるおまえ | 海賊芳山 | |
| ゆっくりとシャツのボタンで締めてゆく | 西沢葉火 | |
| ゴキブリの圧迫痕を見てしまう | 森山盛桜 | |
| √ から抜け出せぬよう締めておく | 森山盛桜 | |
| 八月の蛇口を締める焼野原 | 辻内次根 | |
| 「ん」のネジを締め上げ今日を生き延びる | 三浦蒼鬼 | |
| その男塩で殺して酢で絞めて | 居谷真理子 | |
| なりたかった自分を三杯酢で締める | 月波与生 | |
| 桃を食うほどネジは締まりきらない | 一音乃遥 | |
| 活け〆た後もピクピクする怒り | 小俵鱚太 | |
| すみません締めてください海のふた | 本田こなつ | |
| 締めても締めても濡れる音楽 | 本田こなつ | |
| 縁がない金縛りにも金貨にも | えんどうけいこ | |
| 公式で解ける呪縛はありません | えんどうけいこ | |
| 幸せな愛は六月締めにする | 藤井智史 | |
| 締めすぎた結び目何を聞きたいの | 稲垣康江 | |
| 思いっきり怒り締め出す換気扇 | 稲垣康江 | |
| この曲がないと親父を送れない | 加藤当白 | |
| ネクタイを締める優しい絞首刑 | 怜 | |
| ももいろの吃音昆布締めのことば | 河野潤々 | |
| 白い蝶の棲む前頭葉にスパナ | 水たまり | |
| 締められる首の周囲が大人だね | 浅井誠章 | |
| 佳5 | 肛門をきゅっ蒸し返してどうする | 守田啓子 |
| 佳4 | 1日を背負うあなたも共犯者 | 美春 |
| 佳3 | 帯締める真夏の舌を出しながら | 芍薬 |
| 佳2 | 約束を四の字固めしています | 米山明日歌 |
| 佳1 | みな駄馬で死んでゆく青空の下 | 柴田比呂志 |
| 人 | なぜ強く締めるの捨てる瓶なのに | たごまる子 |
| 地 | 木星で締めて土星で緩む妻 | 朧 |
| 天 | ふらふらと花火 終わりがはじまった | 守田啓子 |
題
「締める」
平井美智子 選
| お嫁様ドアは静かに締めましょう | 麦乃 | |
| 泣き笑い話を締めるコップ酒 | 大木雅彦 | |
| サヨナラの扉は後ろ手で締める | 賢石 | |
| 締切が無くて寂しい定年後 | おかのみつる | |
| 逃げ道をすこし残して締め上げる | 春爺 | |
| 要らんこと言うて自分の首締める | 山本進 | |
| 締め過ぎてするりと抜けた反抗期 | 武本碧 | |
| 十円玉握り締めてた手の匂い | 川本真理子 | |
| 氷あずきで私の透き間をパッキング | 岩根彰子 | |
| ウエストをゴムにしてから自由人 | こみち | |
| はしご酒締めに欠かせぬしじみ汁 | 澤井敏治 | |
| 諦めまいぞまだ伸び代のある八十路 | 澤井敏治 | |
| 境界をでると締まっていく首輪 | 冬子 | |
| 抱き締めていないと魔女になるおまえ | 海賊芳山 | |
| ドレミファで始めてソラシドで締める | 雨森茂喜 | |
| 鯨飲に締めのラーメン午前2時 | アズスン安須 | |
| ネクタイを締めて常識派に入る | 伊藤良一 | |
| 二次会は本音で始め愚痴で締め | 伊藤良一 | |
| 抱き締めて育てた子らは遠く住む | 光畑勝弘 | |
| ゴキブリの圧迫痕を見てしまう | 森山盛桜 | |
| 増税をしましょう首を締めましょう | 尾崎良仁 | |
| ネクタイの締めあと悔いの痣だらけ | 坂本星雨 | |
| 八月の重さ無言が締め括る | 塚越孝一 | |
| バンザイで人の命を締め括る | 平尾定昭 | |
| 優しげに首に巻かれたのは真綿 | 居谷真理子 | |
| 締めすぎて首の回らぬ扇風機 | 月日備人 | |
| 草草で締めて追伸長くなる | 颯爽 | |
| 締めても締めても濡れる音楽 | 本田こなつ | |
| 鐘一つ鳴ってサビまで歌えない | 西山竹里 | |
| エピローグゆるむ絆を締め直す | 木田比呂朗 | |
| ネクタイを締める優しい絞首刑 | 怜 | |
| 白い蝶の棲む前頭葉にスパナ | 水たまり | |
| 佳5 | 木星で締めて土星で緩む妻 | 朧 |
| 佳4 | 締めのあいさつ準備したのに省かれる | 寺井一也 |
| 佳3 | 締めすぎたボルトの山がすり切れる | 龍せん |
| 佳2 | ももいろの吃音昆布締めのことば | 河野潤々 |
| 佳1 | 雇用延長もう抱きしめるものがない | 月波与生 |
| 人 | √ から抜け出せぬよう締めておく | 森山盛桜 |
| 地 | ネジ穴がつぶれて締まらない私 | まさと |
| 天 | 約束を四の字固めしています | 米山明日歌 |