題
「静 か」
くんじろう 選
| (入選取り消し) | ||
| 来し方を編む動の糸静の糸 | 藤澤霧堂 | |
| 長閑に五歩七歩五歩と一行詩 | 藤澤霧堂 | |
| 次の方どうぞ静かな注射針 | 板垣孝志 | |
| 愛されて静かに腐敗する夕日 | まさと | |
| 真夜中の秒針生れ出る奇跡 | 勢藤潤 | |
| 静かなる目玉焼丼韜晦す | いなだ豆乃助 | |
| 鳩はもう帽子の中で臥している | 平井美智子 | |
| ハンカチで包んだ咳を持ち帰る | 平井美智子 | |
| 蝉の声聞こえてきます結跏趺坐 | 山田こいし | |
| 雪虫の無欲とどめを刺しにくる | 岩根彰子 | |
| ぐぁんぐぁんと静かに地球自転する | 平尾定昭 | |
| 黙考を迫るジョン・ケージの無音 | 加藤当白 | |
| じっくりと見ている花の呼吸まで | 辻内次根 | |
| 友の通夜もっと騒ごうではないか | 雨森茂喜 | |
| センターに置かぬと薔薇は香らない | 美馬りゅうこ | |
| 音の無い世界に入る柩です | 寺川弘一 | |
| 路地カメラ夜ごと静かな狩りをする | 斉尾くにこ | |
| 顔ぶれを見れば静かな筈がない | 木嶋盛隆 | |
| 月光の差し込む居間の午前二時 | 浮世っ子 | |
| 給食の一瞬静か一口目 | 浮世っ子 | |
| 警策の音だけ響く座禅堂 | 西山竹里 | |
| 広辞苑二十五万語包み込む | 森山盛桜 | |
| 雪しんしんウサギの足跡が唄う | まろん | |
| 栓抜きを仕舞い宴は閉じられる | 柴田比呂志 | |
| 反り返るバナナ静かに破る春 | 福村まこと | |
| 静かさに片想いする非常ベル | 福村まこと | |
| 一合と大根炊いてただ静か | 徳重美恵子 | |
| 満月に開く静かな毒キノコ | 青砥和子 | |
| 海凪いでテトラポットは無表情 | 若芽 | |
| 一月の国旗零時の火の静か | 斎藤秀雄 | |
| 牡丹の咲くときも牡丹の散るときも | 丹下凱夫 | |
| 佳 作 | ふるさとの橋は静かに拒絶する | かきくけ子 |
| 座禅組む心療内科二号棟 | 板垣孝志 | |
| コインロッカー開く 静かの海に出る | 月波与生 | |
| ぱふっ程の音もださずにビックバン | アズスン安須 | |
| その口にエポキシ樹脂を塗りなはれ | 田口和代 | |
| 人の句 | しずかちゃん、亡命先のパリで死す | いなだ豆乃助 |
| 地の句 | 最後の人類まであと十二人 | 森山文切 |
| 天の句 | しゅんかんの交尾スクランブル交差点 | 月波与生 |
題
「静 か」
居谷真理子 選
| (入選取り消し) | ||
| 温暖化海が静かに肥えてゆく | 荘子隆 | |
| 食卓から静かに愛が消えてゆく | めぐ | |
| この静けさはきっと誰かの企みだ | めぐ | |
| 静けさを活断層の背で愛でる | 前川真 | |
| 次の方どうぞ静かな注射針 | 板垣孝志 | |
| サヨナラと書いて静かにペンをおく | 山本進 | |
| 喧騒が消えた君を見た瞬間 | 大島ともこ | |
| お育ちがほのかに香るもの静か | 武本碧 | |
| お喋りな人を減らしていくスマホ | 北田のりこ | |
| しゅんかんの交尾スクランブル交差点 | 月波与生 | |
| 世の中のお役に立てずただ化石 | 宝花義一 | |
| 張本人だけがしている静かな目 | 川本真理子 | |
| ふくろうになれば聞こえる超音波 | 桔梗庵 | |
| 眠る墓探検隊がこじ開ける | 坂本加代 | |
| 裸木になって静かな息になる | 米山明日歌 | |
| 椀の中餅は静かに正座して | 里山水月 | |
| 友の通夜もっと騒ごうではないか | 雨森茂喜 | |
| 路地カメラ夜ごと静かな狩りをする | 斉尾くにこ | |
| 静かです大群衆はみなスマホ | 福多郎 | |
| 月光の差し込む居間の午前二時 | 浮世っ子 | |
| 広辞苑二十五万語包み込む | 森山盛桜 | |
| 夜の更ける音が聞こえてくる独り | あかり | |
| こんなにも静かひとりが欠けた家 | 澁谷さくら | |
| おしゃべりなふたりが手話でする会話 | 澁谷さくら | |
| 夕暮れのたった一人の美術館 | 森廣子 | |
| 許そうか静かに雪が降るように | 伊藤良一 | |
| 米と北静かに黒い砂時計 | 関口行雲 | |
| 日中は静かな仏間なんですが | 田口和代 | |
| 静かには飲んでおれない寂しがり | 橋倉久美子 | |
| 牡丹の咲くときも牡丹の散るときも | 丹下凱夫 | |
| 水もらう列の静粛日本人 | 怜 | |
| 佳 作 | 最後の人類まであと十二人 | 森山文切 |
| じっくりと見ている花の呼吸まで | 辻内次根 | |
| 静かさは卑怯とみなす声上げよ | 右田俊郎 | |
| 落ち着いた人だ賛否に手を上げず | 両澤行兵衛 | |
| 本物の流儀静かに燃えている | 柳田かおる | |
| 人の句 | 犬死んで寂しいわねと嘘を言う | たごまる子 |
| 地の句 | しんとしてただしんとして寒い | 田村ひろ子 |
| 天の句 | ふるさとの橋は静かに拒絶する | かきくけ子 |