題
「 草 」
間瀬田紋章 選
| 身の丈に合ってる妻よ春の草 | あーさまま | |
| 天婦羅にすると草とは思えない | 大木雅彦 | |
| くやしさも思い起こさす草いきれ | くみ | |
| 除草剤に毒殺された色で枯れ | 北田のりこ | |
| 草むらのどこに落とした 過去の恋 | 汐海岬 | |
| 草の花 通りすがりの風といる | 川本真理子 | |
| 俺の墓草ぼうぼうのままでいい | 柊無扇 | |
| 魚河岸の跡ですここのススキ原 | 柊無扇 | |
| 草を刈る母が小さくなってゆく | 森山文切 | |
| 幸せの形をさがすカスミ草 | 田村ひろ子 | |
| 頑張らぬ形で揺れる猫じゃらし | 平井美智子 | |
| 雑草のみんな一緒でない背丈 | 西山竹里 | |
| 草むらに隠す私の下心 | 西山竹里 | |
| 岩場から草原に出てケアホーム | 新家完司 | |
| 八月の真うしろにいる泡立ち草 | 岩根彰子 | |
| 面白い事件ないかと伸びる草 | 圦山繁 | |
| 雑草が抜くなら抜けと炎天下 | 穂口正子 | |
| ツユクサの青やあやあと肩を抱く | 柴田比呂志 | |
| 群衆のように湧き立つ草いきれ | 森山盛桜 | |
| 草引きをしながら無我になってゆく | 由美 | |
| 踏まれるからもっときれいに咲くアザミ | 大内せつ子 | |
| 命絶つ意識手にない草むしり | 福村まこと | |
| 枯れぬよう水に潜ったままの草 | 福村まこと | |
| 雑草に薔薇の孤独は解るまい | うちだあつこ | |
| 当分は生きていけそう草ぼうぼう | ポルテーニョ | |
| かすみ草何があっても笑ってる | 真田義子 | |
| 記念樹の側に生えると目立つ草 | くじょうまる | |
| 隣との境界線を仕切る草 | やひろ | |
| いちばんに貧乏草が生えてくる | 丹下凱夫 | |
| 雑草の根はスクラムを組んでいる | 塚越孝一 | |
| 脱ぎ捨てた子らの服から草いきれ | 颯爽 | |
| 揺れながら折れない草として生きる | 澁谷さくら | |
| 佳 作 | 神様が歩いた跡の花ハコベ | 徳田ひろ子 |
| 草を抜くうしろめたさと妬ましさ | 素人 | |
| 平穏に生きていたいと思う草 | 圦山繁 | |
| 共生を草はいつでも拒まない | 徳重美恵子 | |
| 草もみじ素敵な人と会う予感 | 山本昌乃 | |
| 人の句 | ひとつずつ私も裁く草むしり | 大内せつ子 |
| 地の句 | 過去帳をめくると草が生えていた | 海賊芳山 |
| 天の句 | 若草は火薬の匂い持て余す | 塚越孝一 |
題
「 草 」
古今堂蕉子 選
| 長い留守正直過ぎる庭の草 | よもやま話 | |
| 天婦羅にすると草とは思えない | 大木雅彦 | |
| 神様が歩いた跡の花ハコベ | 徳田ひろ子 | |
| 切ったこと風呂で気付いたススキの葉 | たごまる子 | |
| GPS道草できぬランドセル | 田中章子 | |
| 言い合いのあとはふたりで草むしり | 汐海岬 | |
| 抜かれてもまた来年もここに咲く | 川本真理子 | |
| 草臥れた生命線が蛇行する | 佐藤彰宏 | |
| 弟切草摘んで見上げる曇り空 | 鈴鳴うた猫 | |
| 黙々と墓の草抜く終戦日 | 水野黒兎 | |
| 雑草のみんな一緒でない背丈 | 西山竹里 | |
| 蓬摘み草餅作った春朧 | 横山閲治郎 | |
| 雑草と戦い湿布ばかり買う | なごみ | |
| 夏草が枯れて今年の恋終わる | 小林祥司 | |
| 敵方に選手を借りる草野球 | 三好光明 | |
| 面白い事件ないかと伸びる草 | 圦山繁 | |
| トンネルもバンザイもある草野球 | 蕎麦酔人 | |
| 道草が無駄でなかった老いの風 | 佐々木弘子 | |
| 雑草の雑草なりに持つ矜恃 | 吉崎柳歩 | |
| 草の根の平和運動飽きもせず | 桔梗庵 | |
| 木も草も花も無口になる猛暑 | ちゃくし | |
| 野焼きあと命芽生える音がする | まろ子 | |
| 道草でチャンスもらった古い靴 | 真田義子 | |
| 放牧で草とゆったり優しい目 | くじょうまる | |
| 豚草も自分の花を咲かしている | 丹下凱夫 | |
| 雑草の広場が生んだ大スター | 中内孚彦 | |
| 球かくす外野の草のど根性 | awaji | |
| 草臥れた日傘が仰ぐいわし雲 | 颯爽 | |
| 脱ぎ捨てた子らの服から草いきれ | 颯爽 | |
| 露草で描いた下絵はもう見えぬ | 澁谷さくら | |
| 草を食む馬は雲など眺めない | アズスン安須 | |
| 二輪草出会い別れはいつも不意 | 伊藤良一 | |
| 佳 作 | 母の手で征伐された草しげる | 武良銀茶 |
| 雑草の中に紛れていた誤算 | 武本碧 | |
| 草を抜く心のトゲを抜いていく | 加藤当白 | |
| 若草山に置いてきたのは青い夏 | 永見心咲 | |
| 血脈をたしかめにいく野草園 | 岩根彰子 | |
| 人の句 | 草刈機その他大勢なぎ倒す | 平尾定昭 |
| 地の句 | 雑草に薔薇の孤独は解るまい | うちだあつこ |
| 天の句 | 草もみじ素敵な人と会う予感 | 山本昌乃 |