題
「見 る」
間瀬田紋章 選
| 木を見ても森を見てない永田町 | 氷川の杜 | |
| 盗み見るあなたの中の水鏡 | 徳田ひろ子 | |
| 父はまだ関根恵子の夢を見る | 徳田ひろ子 | |
| 予定など何もないのに見る手帳 | 木嶋盛隆 | |
| 前だけを見て生きてたら落とし穴 | アズ | |
| ひと塩を振れば本心見えてくる | 武本碧 | |
| 一見は百聞よりもつまらない | はぐれ雲 | |
| その日からよそ見しているハネムーン | 山本進 | |
| 私見て笑ってくれる赤ん坊 | 北田のりこ | |
| ジーンズの穴から見えている本音 | 高田まさじ | |
| こぢんまり見える二度目の観光地 | たごまる子 | |
| 叶わない夢を見ているほうが楽 | たごまる子 | |
| 5小節休みでも見ている楽譜 | 加藤当白 | |
| 午前二時夢の続きを見る南瓜 | 白鳥象堂 | |
| 裏表末席からはよく見える | 圦山繁 | |
| マイ・ハートそっと覗くと黴だらけ | 新家完司 | |
| 見たことをすべて忘れてよく眠る | 新家完司 | |
| 胃カメラのみだらツンツン青レモン | 岩根彰子 | |
| 遺影だがしみじみと見る妻の顔 | 山川守 | |
| 黙ってる人と二人で見る夕日 | 平井美智子 | |
| 花火見る妻の横顔少し老け | 石川柳寿 | |
| 老眼で離婚届けを二度見する | 十六夜 | |
| 簡単に見えた話にけつまずく | くじょうまる | |
| 答弁で見てた資料が燃えてゆく | 城崎れい | |
| びりっけつ列の乱れがよく見える | 塚越孝一 | |
| 偽物を見抜く目がわたしを見ている | 斉尾くにこ | |
| 見えぬもの見たくて夜のサングラス | 斉尾くにこ | |
| 僕を刺す文字がヒアリに見えてくる | 森山盛桜 | |
| 犯人は奴だと無駄に見るドラマ | フーマー | |
| だまし絵に隠れた鹿を見つけだす | 澁谷さくら | |
| 透明になってジュゴンを見に行こう | 月波与生 | |
| 竹輪から世界を見ると歪んでる | 丸山進 | |
| 佳 作 | 二度寝して昭和の夢の続き見る | 光畑勝弘 |
| 見たことはあるけど食べたことはない | 橋倉久美子 | |
| 股のぞきして美しくする未来 | 柴田比呂志 | |
| チラチラと見ても美人は美しい | 村田幸夫 | |
| 見てたもの見えなくなってから大人 | 水たまり | |
| 人の句 | 抜け殻に蝉の焦りを見てしまう | 青砥たかこ |
| 地の句 | 女にはおんなの嘘がよく見える | あそか |
| 天の句 | 手の中の海を息子が見せに来る | 青砥和子 |
題
「見 る」
古今堂蕉子 選
| 見ることが聞くに優ることはなし | 安田清一 | |
| 満天の星見ず君の笑顔見る | 茶唄鼓 | |
| 愚痴聞いてじっと顔見る膝の猫 | やんちゃん | |
| ロボットがスマホ見ている無表情 | 細川花門 | |
| 見つめるとシャイな小皺が知らん振り | 武本碧 | |
| その日からよそ見しているハネムーン | 山本進 | |
| のぞき見にちょっとしたコツカンニング | 若芽 | |
| オーロラを見ずには帰れないツアー | 吉崎柳歩 | |
| ねころんで空見る起き上がりこぼし | 田村ひろ子 | |
| 雷神が見える光の矢の上に | 安藤なみ | |
| 馬食べる人だと馬に睨まれる | 板垣孝志 | |
| マイ・ハートそっと覗くと黴だらけ | 新家完司 | |
| うつろな目の先にぼーっとした人 | 雨森茂喜 | |
| よく見るとあちこち穴のあいた恋 | 汐海岬 | |
| 焦点を合わせて見たくない時代 | 森下博史 | |
| 見えそうで見えないところ良いらしい | 徳重美恵子 | |
| ミサイルを横目に沖で立ち泳ぎ | 昌紀 | |
| 写経して少し黄泉路が見えてくる | 木田比呂朗 | |
| 連れ添って見る目がないと思い知る | ふみお | |
| 見たことはあるけど食べたことはない | 橋倉久美子 | |
| 粗探ししてはいけない指眼鏡 | 柴田比呂志 | |
| 偽物を見抜く目がわたしを見ている | 斉尾くにこ | |
| もう少し歩幅を広げ明日を見る | 武良銀茶 | |
| 見た者が石に変わるという孤独 | 西沢葉火 | |
| 顔色を見る行政が腐敗する | 上原稔 | |
| ミクロンを指先に見る町工場 | 水野黒兎 | |
| 自己中の目で台風の進路見る | 上山堅坊 | |
| 正直な顔でジョーカー見せている | 柳田かおる | |
| 茹で上げた月を見上げる熱帯夜 | 岸田万彩 | |
| 時々は後ろも見たい靴の先 | 伊藤良一 | |
| 酷使した目を淡々と見る眼医者 | 黒しま | |
| 見てたもの見えなくなってから大人 | 水たまり | |
| 佳 作 | 見て見ぬふり出来ず飛び込むお節介 | じゅん |
| ほぼ見えた所で正義振りかざす | くじょうまる | |
| 答弁で見てた資料が燃えてゆく | 城崎れい | |
| 夢を見て来たよと土器のひとかけら | 森山盛桜 | |
| 頂上でその他大勢ばかり見る | 月波与生 | |
| 人の句 | 時折は見えない場所で咲いている | 石森あやみ |
| 地の句 | 女にはおんなの嘘がよく見える | あそか |
| 天の句 | 未来だけ見て三輪車走り出す | 川本真理子 |