題
「時 計」
門脇かずお 選
| 卒寿です時間を止めてくれないか | 大塚久子 | |
| 掛け時計昭和を溜めたまま止まる | 山路橙葉 | |
| 砂時計過去も未来もお見通し | めぐ | |
| 日時計は立ってるだけでいいのです | まろ子 | |
| 長針に追われた汗が懐かしい | 大木雅彦 | |
| 日時計がそのうち狂うかも知れぬ | 辻内次根 | |
| 百均時計腕にはピタリ合うんだが | 糀谷和郎 | |
| 鳩時計ぽっぽぽっぽと恨み言 | 平井美智子 | |
| 怒鳴ったらしぶしぶ動き出す時計 | 平井美智子 | |
| 腕時計外し自分を取り戻す | 夢香 | |
| 職決まり正しい場所に時計置く | 福村まこと | |
| クオーツを勧めず修理してくれた | 樋口眞 | |
| 小賢しい人を嗤っている時計 | 森山盛桜 | |
| 時計台の下でやっぱり待たされる | 青砥たかこ | |
| 目覚ましと格闘をした若かった | 澤井敏治 | |
| 腹時計正直すぎて困りもの | 中田尚 | |
| 生真面目で裏返されている時計 | 森山文切 | |
| アリバイを知った時計が動かない | こきんちゃん | |
| 段々と精度を上げる腹時計 | 武良銀茶 | |
| 子は巣立ち鳴かなくなった鳩時計 | 光畑勝弘 | |
| ネジ巻けば俺も時計もまだ動く | 高田まさじ | |
| 一秒の長さが違うキミとボク | アゲハ | |
| おたがいにチラチラ見てた腕時計 | 田村ひろ子 | |
| もうなにも言わなくなった古時計 | 田村ひろ子 | |
| 乾電池外して時間止めてやる | 平尾定昭 | |
| 3時にはハハハと笑う鳩時計 | 雨森茂喜 | |
| 1秒のずれさえ許さない時代 | ペースかめ | |
| 時計からまだ慰めをもらえない | 加藤当白 | |
| 相手より時計とばかりする対話 | 加藤当白 | |
| わたしにもバブルがあってこの時計 | アズスン安須 | |
| 寿命まで時計の機嫌とっている | やひろ | |
| 内臓のひとつに針のない時計 | 怜 | |
| 佳 作 | しあわせの手前で返る砂時計 | 山路橙葉 |
| 天空の竹田城にも掛け時計 | 青砥たかこ | |
| 秒針の速さで削られる余命 | 笹倉良一 | |
| おもちゃ箱ここは時計のない小部屋 | 澁谷さくら | |
| タイマーはソフトクリーム すぐに来て | 怜 | |
| 人の句 | ボーンボンどうやら僕も古時計 | 新家完司 |
| 地の句 | 何度でも起こしてくれるいい時計 | 橋倉久美子 |
| 天の句 | 落馬する前には戻れない時計 | 吉崎柳歩 |
題
「時 計」
木本 朱夏 選
| 眠りこけつぼみのままの花時計 | よもやま話 | |
| 異国にて住む子を思い見る時計 | 小林祥司 | |
| 古里で時計大きく巻き戻す | 星野睦悟朗 | |
| 食べ盛りいつも正午の腹時計 | 坪ようこ | |
| 王と民時計は同じ時を打つ | はぐれ雲 | |
| 四次元のダリの時計は眠らない | 大内せつ子 | |
| シナリオの通り遊んでいる時計 | まろ子 | |
| 日時計がそのうち狂うかも知れぬ | 辻内次根 | |
| 職決まり正しい場所に時計置く | 福村まこと | |
| クオーツを勧めず修理してくれた | 樋口眞 | |
| ボーンボンどうやら僕も古時計 | 新家完司 | |
| 冤罪が晴れても時計知らぬ振り | 圦山繁 | |
| 針のない時計春には動き出す | うちだあつこ | |
| 沈黙の夜に時計のビブラート | 斉尾くにこ | |
| 二人の夜のっぺらぼうになる時計 | 米山明日歌 | |
| 目ざましに夢の続きを奪われる | すずき善作 | |
| もうなにも言わなくなった古時計 | 田村ひろ子 | |
| 家族みな違うリズムの時計持つ | ちひろ | |
| 砂時計落ちて妥協を迫られる | 高浜広川 | |
| 乾電池外して時間止めてやる | 平尾定昭 | |
| きみへの想い編みこんでいる時間 | つぼいあらた | |
| 鳩時計父13回忌2時をつげ | 宮井いずみ | |
| 地球の最後見るのはきっと時計だね | 寺川弘一 | |
| 時計からまだ慰めをもらえない | 加藤当白 | |
| 命って時間なんですよね 生きる | 前田楓花 | |
| 服を脱ぐように時計を外す夜 | 上村夢香 | |
| デジタルになっておやつの夢が無い | 柳田かおる | |
| ネジを巻くたびに昭和が蘇る | 鹿野椿 | |
| ご機嫌な時計が起こす不整脈 | 青砥和子 | |
| 子育ての時計はある日狂いだす | 彩古 | |
| タイマーはソフトクリーム すぐに来て | 怜 | |
| 内臓のひとつに針のない時計 | 怜 | |
| 佳 作 | 旅人を笑顔で送る花時計 | 落犀庵 |
| 卒寿です時間を止めてくれないか | 大塚久子 | |
| 目覚ましと格闘をした若かった | 澤井敏治 | |
| ネジ巻けば俺も時計もまだ動く | 高田まさじ | |
| サバンナに赤く大きな掛け時計 | 斉尾くにこ | |
| 人の句 | 思い出はおぼろ時計は右回り | まさと |
| 地の句 | わたしにもバブルがあってこの時計 | アズスン安須 |
| 天の句 | おおらかな先祖日時計水時計 | 森廣子 |