2017年1月WEB句会 (第10回)

2017年1月WEB句会 (第10回)

投句数 248句(125名)
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「 幻 」
門脇かずお 選

幻の方がくっきり見えてます龍せん
幻を愛したことにしておこうやっこ
幻を抱くことさえも拒む海永見心咲
幻影の向こうは今日も自爆テロ森山盛桜
カロリーオフ幻ばかり追っている海賊芳山
幻の自分の色が掴めない大内せつ子
甘かった自己採点は幻にめぐむこ
胸に棲むちちろは夜を泣き止まず光畑勝弘
幻の一品という新手詐欺竹中正幸
幸せな日々は現実感がない青砥たかこ
幻にまた寸前で逃げられる吉崎柳歩
追いかけていたい幻だとしても吉崎柳歩
にんじんではなくて幻ぶら下げる川本真理子
子を産んだ痛み幻だったのかうちだあつこ
幻想のなかをくるくるまわる母田村ひろ子
モナリザが手を握ってた手術中澤井敏治
幻を求め続けてヒト科ヒト武良銀茶
幻の桜の花も散りました明日歌
幻の酒が量販店にある西山竹里
幻聴に耳を塞いでいるムンク闘句朗
つかめないゴールテープを追いかけるアゲハ
幻となる母さんの玉子焼たまき
幻が今現実となった国船岡五郎
幻を見てるモグラは叩かれるよけだ
幻を追ってる母に今日も添う城崎れい
幻をピクルス液に浸けました柳田かおる
幻影に怯え偽ニュースに怯え颯爽
幻のレシピになった土瓶蒸し宮井いずみ
お誘いと思い込んでた女文字小林祥司
トンネルは吹雪幻へと続く勝又恭子
幻をしっかり見れば俺だった凡凡爺
幻はプレビュー画面から開く
佳 作燗つけて遠い幻あそばせる山路橙葉
幻の酒がネットでやって来るうちだあつこ
まぼろしをたしかめたくて葛が原丹下凱夫
まぼろしを食べる ますます腹が減る平井美智子
まぼろしを詰め込んでいる小引出しさなえ
人の句幻をたたむとパンが焼けました久保卓子
地の句幻を匿っている一字空け
天の句どんぶらこまだ幻の中にいる雨森茂喜

「 幻 」
木本 朱夏 選

幻ではないノドンが飛んで来る大木雅彦
ゆうべ戸を叩いた風は君ですか山路橙葉
夢で逢うあなたはいつも若いままやっこ
夢か幻か 警報鳴り響く村上玄也
子も孫も痩せた肋をすり抜ける板垣孝志
幻の鳥を見ているブーメラン森山盛桜
百超えて母にこの世はみな夢幻水野黒兎
胸に棲むちちろは夜を泣き止まず光畑勝弘
幻覚も幻聴もあり少女像月波与生
にんじんではなくて幻ぶら下げる川本真理子
子を産んだ痛み幻だったのかうちだあつこ
幻でいいの砂絵のさらさらら田村ひろ子
幻聴が続く ボタンはずれてから明日歌
まぼろしをたしかめたくて葛が原丹下凱夫
脱デフレ暮らしが楽になりますか大原文夫
リーダーの目に幻影が見えている西山竹里
幻の鰯と呼ぶ日やがて来るアズスン安須
恋ダンスダンスこの世はふたりきり斉尾くにこ
さわったらすうっと消えていった花森山文切
まぼろしを見たのか俺がまぼろしか石川柳寿
青春の彷徨あれは蜃気楼上原稔
人形の幻を抱く母を看る有海静枝
まなうらに父母の昭和が生きているたまき
群れの中確かに君は立っていた小松くみ子
又三郎戻ったような風が吹く岸井ふさゑ
たらればと幻想ばかり抱くニート颯爽
幸福って幻の福袋だね寺川弘一
逆さまに嘘をついてる幻灯機西沢葉火
幻のあの世とこの世交差点青砥和子
亡母が手を振るパレードを追いかける栃尾奏子
逆走の逃げ水を追うハイウエイ美馬りゅうこ
幻を匿っている一字空け
佳 作幻影の向こうは今日も自爆テロ森山盛桜
カロリーオフ幻ばかり追っている海賊芳山
まぼろしを食べる ますます腹が減る平井美智子
幻から現に戻るとき痛み雨森茂喜
幻をたたむとパンが焼けました久保卓子
人の句幻肢痛よりもジョニーは心病む龍せん
地の句戸籍簿にアンドロイドが載っている白瀬白洞
天の句百均という幻滅を買いに行く古今ちゃん

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