2016年7月WEB句会 (第4回)

2016年7月WEB句会 (第4回)

投句数 278句(141名)
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「寝 る」
吉崎 柳歩 選

一日のメリハリ付けるために寝る杉山太郎
三日目で朝寝に飽きる定年後かきくけ子
寝るために晩酌二合欠かせないたまき
ガラクタにとられた部屋の隅で寝るあそか
優先席 タヌキ寝入りをするスマホ足立茂
年金で夢の続きをみる昼寝彦翁
寝る場所があって一日羽ばたけるひさし
うたた寝で若いあなたに逢えました富田保子
病人の寝息確かめ横になる八十路坂のアニキ
寝ることは好きだが寝たきりは困る北田のりこ
寝るための酒でますます目が冴える澁谷さくら
いい知恵が浮かばぬときは寝ると決め澁谷さくら
ひとり居のテレビは子守唄になる真田義子
赤ちゃんのうちは寝てれば褒められるツボ
昼寝するだけで元気を取り戻す藤井康信
寝たままで息が止まれば諦める新家完司
昼寝することも日課の老いふたりしげ鈍
寝てる間に枕の皺も足した顔安藤なみ
子の寝息メトロノームが動き出す十六夜
雑巾のかたちでいつも寝てしまう月波与生
狸寝入り聞かなくていいことを聞く竹内いそこ
寝たきりの母にも選挙権がある由美
辛そうな寝言へ返事してしまうちひろ
目的地着くまで眠るバスツアーしょうたろう
眠らない街は秒針だけ動くころのすけ
ごくらくゴクラクと永遠の眠り久保卓子
寝るときにやっと眼鏡はしまわれる彩古
寝て起きてあの世にいるという理想藤井智史
大の字から起き上がるのに一苦労わこう
東京はしばらく眠れないだろう青砥たかこ
寝付けずに返事の来ない手紙書く石森あやみ
寝ころんで尻尾をすこし軽くする水たまり
佳 作八時間寝れば忘れてしまう恋汐海岬
目覚めない朝も小鳥は鳴くだろう有海静枝
爺ちゃんの子守歌では寝付かない村上玄也
風邪で寝る時おふくろの骨休め村上玄也
うたた寝のときは気にせぬ北枕由美
人の句私より夫が好きな抱き枕北田のりこ
地の句寝たふりは目を覚ますのが難しい武良銀茶
天の句一人寝て一人の夢はもの淋し笹倉良一

「寝 る」
西出 楓楽 選

母さんの消灯やっと家も寝る杉山太郎
寝てる人やじる人いて委員会ナフタリン
食材を寝かせたままで期限切れ若林正伸
できすぎた野菜を寝かす糠床につれづれ
布団干し今夜は夢で雲に乗る夢邸
寝に帰るだけの我が家は妻の城よしひさ
ガラクタにとられた部屋の隅で寝るあそか
爺ちゃんの子守歌では寝付かない村上玄也
十代が目覚めて日本画きかえる白瀬白洞
少量の嘘を溶かして飲む寝酒平井美智子
つや肌を夢見て眠る八時間坂本加代
包帯を巻いて寝ました握手の手福西茶子
寝ることは好きだが寝たきりは困る北田のりこ
ひとり居のテレビは子守唄になる真田義子
大の字になって地球を背負ってみる岡本恵
目が覚める保証は明日がしてくれる辻内次根
楯突かず昼寝で猛暑遣り過ごす圦山繁
立ってでも寝られる特技持っている上原稔
添い寝してくれる朝日のやわらかさてまり
昼寝して貴重な余生食い潰す竹中正幸
寝て起きて夢が消えゆく都市砂漠葱坊主
寝入る頃姫は王子と幸せに水野黒兎
一人だがめしふろねると言ってみるぷいこると
ご贔屓のチームが負けて不貞寝する薬寺村池丸
眠らない街は秒針だけ動くころのすけ
平和なり寝そべって見るクーデター西口いわゑ
エコ実践蚊取り線香蚊帳準備つや姫
大の字から起き上がるのに一苦労わこう
寝たままで逝くコースなら申し込む春川秋男
気持ちよく寝たいたっぷり昼の汗平尾定昭
風呂メシ寝るやがて言うかもアンタ誰古屏風
まったりと寝かせた梅酒琥珀色川畑めぐむこ
佳 作眠らない交番の灯よありがとう笹倉良一
食べる寝る不協和音の無い身体うちだあつこ
雑巾のかたちでいつも寝てしまう月波与生
鉛筆がもう寝るのかと聞いてくる徳重美恵子
東京はしばらく眠れないだろう青砥たかこ
人の句ねむくなれ傷にガーゼを貼るように
地の句寝返りの数だけ明日が新しい平井美智子
天の句仰向けでシロツメクサの野を背負う水たまり

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