題
「寝 る」
吉崎 柳歩 選
一日のメリハリ付けるために寝る | 杉山太郎 | |
三日目で朝寝に飽きる定年後 | かきくけ子 | |
寝るために晩酌二合欠かせない | たまき | |
ガラクタにとられた部屋の隅で寝る | あそか | |
優先席 タヌキ寝入りをするスマホ | 足立茂 | |
年金で夢の続きをみる昼寝 | 彦翁 | |
寝る場所があって一日羽ばたける | ひさし | |
うたた寝で若いあなたに逢えました | 富田保子 | |
病人の寝息確かめ横になる | 八十路坂のアニキ | |
寝ることは好きだが寝たきりは困る | 北田のりこ | |
寝るための酒でますます目が冴える | 澁谷さくら | |
いい知恵が浮かばぬときは寝ると決め | 澁谷さくら | |
ひとり居のテレビは子守唄になる | 真田義子 | |
赤ちゃんのうちは寝てれば褒められる | ツボ | |
昼寝するだけで元気を取り戻す | 藤井康信 | |
寝たままで息が止まれば諦める | 新家完司 | |
昼寝することも日課の老いふたり | しげ鈍 | |
寝てる間に枕の皺も足した顔 | 安藤なみ | |
子の寝息メトロノームが動き出す | 十六夜 | |
雑巾のかたちでいつも寝てしまう | 月波与生 | |
狸寝入り聞かなくていいことを聞く | 竹内いそこ | |
寝たきりの母にも選挙権がある | 由美 | |
辛そうな寝言へ返事してしまう | ちひろ | |
目的地着くまで眠るバスツアー | しょうたろう | |
眠らない街は秒針だけ動く | ころのすけ | |
ごくらくゴクラクと永遠の眠り | 久保卓子 | |
寝るときにやっと眼鏡はしまわれる | 彩古 | |
寝て起きてあの世にいるという理想 | 藤井智史 | |
大の字から起き上がるのに一苦労 | わこう | |
東京はしばらく眠れないだろう | 青砥たかこ | |
寝付けずに返事の来ない手紙書く | 石森あやみ | |
寝ころんで尻尾をすこし軽くする | 水たまり | |
佳 作 | 八時間寝れば忘れてしまう恋 | 汐海岬 |
目覚めない朝も小鳥は鳴くだろう | 有海静枝 | |
爺ちゃんの子守歌では寝付かない | 村上玄也 | |
風邪で寝る時おふくろの骨休め | 村上玄也 | |
うたた寝のときは気にせぬ北枕 | 由美 | |
人の句 | 私より夫が好きな抱き枕 | 北田のりこ |
地の句 | 寝たふりは目を覚ますのが難しい | 武良銀茶 |
天の句 | 一人寝て一人の夢はもの淋し | 笹倉良一 |
題
「寝 る」
西出 楓楽 選
母さんの消灯やっと家も寝る | 杉山太郎 | |
寝てる人やじる人いて委員会 | ナフタリン | |
食材を寝かせたままで期限切れ | 若林正伸 | |
できすぎた野菜を寝かす糠床に | つれづれ | |
布団干し今夜は夢で雲に乗る | 夢邸 | |
寝に帰るだけの我が家は妻の城 | よしひさ | |
ガラクタにとられた部屋の隅で寝る | あそか | |
爺ちゃんの子守歌では寝付かない | 村上玄也 | |
十代が目覚めて日本画きかえる | 白瀬白洞 | |
少量の嘘を溶かして飲む寝酒 | 平井美智子 | |
つや肌を夢見て眠る八時間 | 坂本加代 | |
包帯を巻いて寝ました握手の手 | 福西茶子 | |
寝ることは好きだが寝たきりは困る | 北田のりこ | |
ひとり居のテレビは子守唄になる | 真田義子 | |
大の字になって地球を背負ってみる | 岡本恵 | |
目が覚める保証は明日がしてくれる | 辻内次根 | |
楯突かず昼寝で猛暑遣り過ごす | 圦山繁 | |
立ってでも寝られる特技持っている | 上原稔 | |
添い寝してくれる朝日のやわらかさ | てまり | |
昼寝して貴重な余生食い潰す | 竹中正幸 | |
寝て起きて夢が消えゆく都市砂漠 | 葱坊主 | |
寝入る頃姫は王子と幸せに | 水野黒兎 | |
一人だがめしふろねると言ってみる | ぷいこると | |
ご贔屓のチームが負けて不貞寝する | 薬寺村池丸 | |
眠らない街は秒針だけ動く | ころのすけ | |
平和なり寝そべって見るクーデター | 西口いわゑ | |
エコ実践蚊取り線香蚊帳準備 | つや姫 | |
大の字から起き上がるのに一苦労 | わこう | |
寝たままで逝くコースなら申し込む | 春川秋男 | |
気持ちよく寝たいたっぷり昼の汗 | 平尾定昭 | |
風呂メシ寝るやがて言うかもアンタ誰 | 古屏風 | |
まったりと寝かせた梅酒琥珀色 | 川畑めぐむこ | |
佳 作 | 眠らない交番の灯よありがとう | 笹倉良一 |
食べる寝る不協和音の無い身体 | うちだあつこ | |
雑巾のかたちでいつも寝てしまう | 月波与生 | |
鉛筆がもう寝るのかと聞いてくる | 徳重美恵子 | |
東京はしばらく眠れないだろう | 青砥たかこ | |
人の句 | ねむくなれ傷にガーゼを貼るように | 怜 |
地の句 | 寝返りの数だけ明日が新しい | 平井美智子 |
天の句 | 仰向けでシロツメクサの野を背負う | 水たまり |