題
「似 る」
太田紀伊子 選
| その昔ジュゴンが真似た人魚姫 | 龍せん | |
| 父と子の仕草そっくり山歩き | よもやま話 | |
| なんとなく羊に似てる正社員 | 森下博史 | |
| なんとなく親子が分かる参観日 | 氷川の杜 | |
| 父に似た医者でお任せする虫歯 | 相模秋茜 | |
| 横断歩道園児を真似て手をあげる | あそか | |
| 似顔絵の俺の瞳に母が棲み | 石川照夫 | |
| 身代金に似てなくはない保釈金 | 吉崎柳歩 | |
| 似た者の夫婦になってよく笑う | 彦翁 | |
| ヒトに似た猿が人より進化する | 澁谷さくら | |
| 褒め言葉だろうか親に似ず利口 | 八十路坂のアニキ | |
| 父に似た手相で妻に敷かれてる | 中矢長仁 | |
| 父の酒反面教師とはならず | 奥時雄 | |
| 終電車どの首もみな相似形 | 永見心咲 | |
| 肉じゃがに翌日カレールー入れる | 夢邸 | |
| 似たような話前にも聞いてます | 松田聰 | |
| 居酒屋で憂さを晴らせば似る背中 | 福村まこと | |
| 托鉢僧後姿は山頭火 | 山田こいし | |
| 似ていると安心できるお父さん | 坂本加代 | |
| 持ち主に似てる時計がよく進む | 澤井敏治 | |
| 似た傘で同時に触れてから夫婦 | 加藤当白 | |
| おふくろに似てきた妻に逆らえず | 武良銀茶 | |
| 神さまのお顔になったデスマスク | 寺川弘一 | |
| 美しく描けば喜ばれる似顔 | わこう | |
| 家族みなB型ですのマイペース | 美馬りゅうこ | |
| 似顔絵に惚れて犯人自首をした | 丸山進 | |
| 猿山のボスに似てきた安倍総理 | 上山堅坊 | |
| お醤油をかけてプリンをウニにする | 恭子 | |
| 親子ですよく似た顔が証明書 | 森清泰範 | |
| ママだけは双子の違い知っている | 森清泰範 | |
| コピー機が似せねばならぬ誤字脱字 | 怜 | |
| デコポンに似てると言われへこんでる | 水たまり | |
| 佳 作 | 偽物の方が丈夫にできている | 北田のりこ |
| 年寄りの苦言そぼ降る雨に似て | 富田美義 | |
| 両親の好いとこどりをするハーフ | 坂上淳司 | |
| 石鹸の泡に似ていた春の思慕 | 平井美智子 | |
| カニカマが俺が本家と言っている | 竹村紀の治 | |
| 人の句 | 記憶って大したものだモンタージュ | 笹倉良一 |
| 地の句 | ロボットが額の汗を拭いている | 安藤なみ |
| 天の句 | 補助線を引けば似てくる主義主張 | 高浜広川 |
題
「似 る」
新家 完司 選
| サンプルと形だけ似る海老フライ | 杉山太郎 | |
| 身代金に似てなくはない保釈金 | 吉崎柳歩 | |
| 物真似と言われ物真似だと気づく | 甲斐良一 | |
| 立ちしょんで並ぶ親子が瓜二つ | 八十路坂のアニキ | |
| 終電車どの首もみな相似形 | 永見心咲 | |
| 肉じゃがに翌日カレールー入れる | 夢邸 | |
| 親に似て名誉も財もない暮らし | みずえ | |
| この顔に似合いすぎてるヘルメット | 海賊芳山 | |
| 似た手口なのにやっぱりかかる詐欺 | 八十路坂のおっさん | |
| 托鉢僧後姿は山頭火 | 山田こいし | |
| 物忘れまでが似てきた共白髪 | 澤井敏治 | |
| 似ているが越えることない母の味 | 十六夜 | |
| 親指がそっくりだから俺の子だ | よしやる | |
| ばあさまのその後エリマキトカゲふう | 井上一筒 | |
| 容疑者が一字違いの名で困る | 加藤当白 | |
| 人に似た神が数えるお賽銭 | おさ虫 | |
| 似ていても宗派違えば殺し合う | 水野黒兎 | |
| 神さまのお顔になったデスマスク | 寺川弘一 | |
| 生まれたて皆そこそこに猿の顔 | 矢倉五月 | |
| 石鹸の泡に似ていた春の思慕 | 平井美智子 | |
| わたくしに似た人だから大嫌い | 西出楓楽 | |
| あおぞらを仰ぐ誰もがおなじ顔 | 柴田比呂志 | |
| 妖怪に似た人がいる三面鏡 | 木天麦青 | |
| 菜園の曲がり胡瓜は私だろう | 岩根彰子 | |
| 結跏趺坐かたちはすでに仏さま | 辻内次根 | |
| て・に・を・は・を変えコピペではありません | 美馬りゅうこ | |
| お醤油をかけてプリンをウニにする | 恭子 | |
| ふるさとに似た坂道で見る夕日 | 西口いわゑ | |
| カレーとシチュー材料はほぼ同じ | 怜 | |
| 思い出のひとつひとつが風に似て | 真田義子 | |
| ユニクロの隣同士で似てる服 | 石森あやみ | |
| くしゃくしゃの月に似てくる終電車 | 水たまり | |
| 佳 作 | 印影がずれてわたしに似てしまう | 森山文切 |
| 芳香剤トイレのようになる車 | 吉崎柳歩 | |
| バンザイをしてるグリコもキリストも | かつひろ | |
| 温泉のサルもやっぱり目を瞑り | 大橋芳明 | |
| 祈るとき人はだれでも似る背中 | アズスン安須 | |
| 人の句 | がんもどき食べてパワーもがんもどき | 森下博史 |
| 地の句 | 年寄りの苦言そぼ降る雨に似て | 富田美義 |
| 天の句 | 息づかい似た人がいる停留所 | 斉尾くにこ |