本社句会秀句2024

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川柳塔 2024年11月本社句会秀句    
席題 「 時 」 長谷川崇明 選    
人の句 しらふでも時を忘れて困ります 青木隆一  
地の句 さぼりたい気持時々ある介護 鈴木栄子  
天の句 散る時を知っているから咲き誇る 伊達郁夫  
兼題 「ふれあう」 酒井 健二 選    
人の句 猫カフェのふれあい時間二千円 北川時子  
地の句 闘病の君から届く五・七・五 島田明美  
天の句 初恋は砂のトンネル手が触れる 青木ゆきみ  
兼題 「屋 台」 石橋 芳山 選    
人の句 そう言えばチャルメラ音色消えている 江島谷勝弘  
地の句 屋台は奢るからスナックは頼む 鈴木いさお  
天の句 マルクスが時折顔を出す屋台 髙杉  力  
兼題 「警 報」 居谷真理子 選    
人の句 警報のような真っ赤な夕焼けだ 桒原道夫  
地の句 ボクの顔を線状降水帯が去らぬ 小島蘭幸  
天の句 狼が来るぞ来たぞとひとりボチ 藤田武人  
兼題 「白 線」 新家 完司 選    
人の句 真っ白でなければならぬ停止線 藤井宏造  
地の句 九条を教えた白墨の熱さ 居谷真理子  
天の句 白線で仕切って家庭内別居 鈴木いさお  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 臨終を孫にもみせて妻が逝く 藤井宏造  
地の句 虫眼鏡で捜す私の良いところ 新家完司  
天の句 秋刀魚一尾秋を綺麗に戴いた 木本朱夏  
月間賞  木本朱夏    

 

川柳塔 2024年10月(第30回塔まつり川柳雑誌・川柳塔100周年記念)本社句会秀句  
兼題 「 姿 」 平井美智子 選    
人の句 生きてきた色です今の私です 田賀八千代  
地の句 人が人想う音です火打石 栃尾奏子  
天の句 父の貌して一升瓶は立っていた 小島蘭幸  
兼題 「きっと」 髙瀨 霜石 選    
人の句 カルメンの帰る故郷はきっと虹 大西泰世  
地の句 この人と居れば雨には濡れません 稲葉良岩  
天の句 静かだね地球最後の日のごはん 栃尾奏子  
兼題 「困 る」 川上 大輪 選    
人の句 困らない世界あの世と呼ぶのです 栃尾奏子  
地の句 生きているのだから少しなまぐさい 髙瀨霜石  
天の句 爺さんになってしまった水たまり 桒原道夫  
兼題 「 熱 」 木本 朱夏 選    
人の句 今思えば知恵熱だった堕落論 片岡加代  
地の句 肉食の女子恋愛はカロリーだ 栃尾奏子  
天の句 熱が冷めるとすっからかんになっていた 小島蘭幸  
兼題 「知 る」 新家 完司 選    
人の句 気が付けば年を重ねただけと知る 河内谷恵  
地の句 消しゴムの屑はわたしを知り尽くす 浅井典子  
天の句 人間はアホやと知っているカラス 栃尾奏子  
兼題 「穏やか」 田中 新一 選    
人の句 釣舟にひとり無になり空になり 小島蘭幸  
地の句 少少のことにびっくりしなくなる 森菊枝  
天の句 穏やかな空だ落書きしたくなる 田賀八千代  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 百年史に小さく光るわたしの名 木本朱夏  
地の句 オオタニは天使 バットは羽根である 髙瀨霜石  
天の句 二十年後の君と乾杯したい 藤井智史  
月間賞  藤井智史    
川柳塔 2024年9月本社句会秀句    
席題 「 細 」 村田  博 選    
人の句 総裁選みんな細かいヤツばかり 江島谷勝弘  
地の句 アイドルが踊るフラミンゴが踊る 栃尾奏子  
天の句 浮世絵の雨はみごとな細い線 青木隆一  
兼題 「世 界」 佐々木満作 選    
人の句 野良仕事汗で背中に世界地図 村田博  
地の句 音の無い世界を繋ぐ手話の指 平井美智子  
天の句 子に還る母には母が住む世界 鈴木栄子  
兼題 「浮 く」 上田 和宏 選    
人の句 残されたスイカの浮き輪夏終わる 青木ゆきみ  
地の句 歯の浮くお世辞おばちゃんの得意技 荻野浩子  
天の句 フッと浮かぶこれだこれだの五七五 長谷川崇明  
兼題 「進 路」 内藤 憲彦 選    
人の句 仕付け糸切って進路は子に任す 柿花和夫  
地の句 戦争をしないさせない国づくり 江島谷勝弘  
天の句 青春の進路を焦るオートバイ 木本朱夏  
兼題 「弁 当」 鴨谷瑠美子 選    
人の句 残りもの弁当箱で花が咲く 柴本ばっは  
地の句 反抗期たった一言「旨かった」 中井萠  
天の句 弁当も自分で作る釣りの朝 川端六点  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 穏やかな波の形をした孤独 平井美智子  
地の句 句碑はみな無欲賽銭箱がない 谷口東風  
天の句 掛け時計見る 見えていた頃の癖 川端六点  
月間賞  川端六点    
   
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
川柳塔 2024年8月本社句会秀句    
席題 「 机 」 栃尾 奏子 選    
人の句 夢を見る僕の宇宙となる机 鈴木栄子  
地の句 引っ越しの度に恋人めく机 矢倉五月  
天の句 飴色の父の机とモンブラン 加藤江里子  
兼題 「パワー」 廣田 和織 選    
人の句 二ヶ月のパワーをもらう年金日 片岡加代  
地の句 何事もお金の威力には勝てぬ 江島谷勝弘  
天の句 引力は人にもあって恋に落ち 水野黒兎  
兼題 「構える」 今井万紗子 選    
人の句 一本足で構えているかかし 鴨谷瑠美子  
地の句 酷暑にも耐えて構える鬼瓦 藤井宏造  
天の句 嘘まこと月は構えず人照らす 青木隆一  
兼題 「何と」 藤井 宏造 選    
人の句 男ひとり何と質素な昼ごはん 小島蘭幸  
地の句 酒いらん夫の顔を二度見する 中井萠  
天の句 何となく恋が生まれる傘の中 山野寿之  
兼題 「おこぼれ」 木嶋 盛隆 選    
人の句 おこぼれは貴女の残すイカの足 太田昭  
地の句 拾った玉からパチンコの運開く 島田握夢  
天の句 朝ドラのロケ地になって陽が当たる 山下じゅん子  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 軽井沢に越しても暑い日は暑い 山﨑武彦  
地の句 原爆忌聖火と戦火交鎖する 油谷克己  
天の句 荷造りを見ている母が少し泣く 平井美智子  
月間賞  平井美智子    
川柳塔 2024年7月第60回路郎忌本社句会秀句    
席題 「 軟 」 大久保眞澄 選    
人の句 噛み切れる嘘だ本気じゃない嘘だ 栃尾奏子  
地の句 ナメクジもボクも背骨が無いのです 吉道航太郎  
天の句 「ジジダイシュキ」にふにゃふにゃになりました 鈴木いさお  
兼題 「タワー」 藤井 智史 選    
人の句 尖りが過ぎると炎上のタワー 柴田桂子  
地の句 タワーの天辺で足元が見えぬ 中村 惠  
天の句 タワマンの向こう大雨かもしれぬ 稲葉良岩  
兼題 「流れる」 米田 泰昌 選    
人の句 下積みの流した汗が光り出す 吉道あかね  
地の句 もうひと花流れる汗はいとわない 内藤憲彦  
天の句 ボランティアの流れる汗が頼もしい 鈴木栄子  
兼題 「節目」 古今堂蕉子 選    
人の句 いつか来る今日が終わりという節目 松下英秋  
地の句 甲子園も川柳塔も百年目 佐々木満作  
天の句 変容の節目となったあのコロナ 初代正彦  
兼題 「のぞみ」 柴田 桂子 選    
人の句 富士のぞむ席に老母を座らせる 伊達郁夫  
地の句 五十年経っても妻に恋したい 筧 靖夫  
天の句 見込みある燃えてるもんを掴んだぞ 柴本ばっは  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 地酒から地酒を渡るひとり旅 山野寿之  
地の句 つつみかくさず海の向って喋ったわ 柴本ばっは  
天の句 自分史に渦巻くたらればともしも 髙杉 力  
月間賞  髙杉 力    
川柳塔 2024年6月本社句会秀句    
席題 「 王 」 中村  惠 選    
人の句 王になる気概はいつも持っている 野口 龍  
地の句 王様を五人育てた肝っ玉 木本朱夏  
天の句 零歳と百歳わが家取りしきる 柴本ばっは  
兼題 「唸 る」 森田 旅人 選    
人の句 駆けつけたら鼻唄だった唸り声 大久保眞澄  
地の句 内視鏡のぞいて唸りだす主治医 平井美智子  
天の句 ママチャリが唸る無敵の四人乗り 栃尾奏子  
兼題 「ぐらり」 山﨑 武彦 選    
人の句 一瞬でぐらり一途な恋でした 片岡加代  
地の句 騙し合いぐらり来たのはその笑顔 西村哲夫  
天の句 今日こそと思うが履けぬピンヒール 藤田武人  
兼題 「挽 回」 伊達 郁夫 選    
人の句 百寿まで生きて挽回してやろう 新家完司  
地の句 私にもある九回とロスタイム 吉道あかね  
天の句 挽回のチャンスもらった徳俵 髙杉 力  
兼題 「無 限」 新家 完司選    
人の句 武器輸出底なし沼が待っている 澤井敏治  
地の句 限りある命へやりたいこと無限 鈴木いさお  
天の句 物欲は無限長生きしなければ 川端六点  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 思い切り笑い哀しくなりました 平井美智子  
地の句 雨垂れが奏でてくれた鎮魂歌 島田明美  
天の句 とうめいになりゆくボクの過去の駅 たむらあきこ  
月間賞  たむらあきこ    
川柳塔 2024年5月本社句会秀句    
席題 「 頭 」 鈴木いさお 選    
人の句 なんぼでも下げます頭くらいなら 髙杉 力  
地の句 いつからか飾りになっている頭 中村 惠  
天の句 しゃれこうべもう泣かなくていいんだよ 栃尾奏子  
兼題 「泳 ぐ」 斎藤 隆浩 選    
人の句 大海に出て身の丈を知るカエル 内藤憲彦  
地の句 少子化へエールを贈る鯉のぼり 山野寿之  
天の句 大海を泳ぐ雑魚にもある気概 敏森廣光  
兼題 「ぬるぬる」 岩佐ダン吉 選    
人の句 ぬるぬるの汗が尊いボランティア 内藤憲彦  
地の句 蛞蝓の足跡残すのも律儀 藤井宏造  
天の句 頑張った汗だぬるぬるこそ誇り 小野雅美  
兼題 「担 ぐ」 油谷 克己 選    
人の句 子等の背に担がれながらいく浄土 今井万紗子  
地の句 もうヒト科背負えませんと泣く地球 小野雅美  
天の句 お互いを背負う最後の最後まで 吉道あかね  
兼題 「裏 技」 川端 一歩選    
人の句 裏技無しただただ素振りくり返す 内藤憲彦  
地の句 裏技は使わぬ正面から挑む きとうこみつ  
天の句 土壇場で逆転になるいい笑顔 吉道あかね  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 父の日を仲間外れにする五月 藤井宏造  
地の句 抽斗の奥は昭和のままである 川上大輪  
天の句 ブランコが揺れたあなたの影だった 片岡加代  
月間賞  片岡加代    
川柳塔 2024年4月本社句会秀句    
席題 「 式 」 平賀 国和 選    
人の句 平安のロマン式部の冴える筆 鈴木いさお  
地の句 表彰式はチョン髷結った尊富士 坂上淳司  
天の句 ランドセル夢の詰まった入学式 斎藤隆浩  
兼題 「初めて」 坂  裕之 選    
人の句 ビギナーの竿にマグロが喰い付いた 藤田武人  
地の句 入社して初めて知った世間の目 内藤憲彦  
天の句 初めてが好き天国も楽しみだ 新家完司  
兼題 「よもや」 山野 寿之 選    
人の句 快晴の笑顔信じた日の誤算 栃尾奏子  
地の句 信じてた分だけよもやが深くなる 古今堂蕉子  
天の句 ハグをしたその手で銃を握るのか 木本朱夏  
兼題 「部 品」 宇都満知子 選    
人の句 五臓六腑みんな大切な部品 鈴木いさお  
地の句 じいちゃんのとっても大切な入れ歯 きとうこみつ  
天の句 コロナ五年顔のパーツとなるマスク 澤井敏治  
兼題 「火 傷」 平井美智子選    
人の句 火遊びの跡です今もピンクです 川上大輪  
地の句 花びらのかたちに癒えた火傷痕 木本朱夏  
天の句 抱きしめて火傷突き放して火傷 栃尾奏子  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 ステージ四を生き抜く君へ桜咲く 島田明美  
地の句 病室のベッドを城と父は呼ぶ 小野雅美  
天の句 令和六年四月五日に会う桜 居谷真理子  
月間賞  居谷真理子    
       
川柳塔 2024年3月本社句会秀句    
席題 「 羽 」 上田ひとみ 選    
人の句 羽のばしてるのに誰も気づかない 初代正彦  
地の句 一羽二羽飛び立ったって次がある 坂 裕之  
天の句 蜜蜂の羽音 恋しい人が来る 平井美智子  
兼題 「カット」 加藤江里子 選    
人の句 別れ話は傘の雫を切ってから 藤井宏造  
地の句 某国のテレビ操作に騙される 川端一歩  
天の句 切り取り線の上でうろうろする本音 髙杉 力  
兼題 「図 面」 野口真桜子 選    
人の句 縮尺を間違えポチの家となる 糀谷和郎  
地の句 図面引く前に匠は木と対話 失 明  
天の句 蜘蛛の巣のかたちになってきた図面 桒原道夫  
兼題 「座 る」 内田志津子 選    
人の句 辛酸を舐めて男の座る肝 長谷川崇明  
地の句 半世紀老舗守った座り胼胝 柴本ばっは  
天の句 AIが人の上座にあぐらかく 酒井健二  
兼題 「貫 く」 中岡千代美選    
人の句 貫通をしてるか見たくなる小穴 糀谷和郎  
地の句 ハンカチを白で通した父の意地 柿花和夫  
天の句 片思いだけどあきらめたりしない 片岡加代  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 春風を掴んだ 君の腕だった 平井美智子  
地の句 まるひとつ描いた あなたをつかまえた 栃尾奏子  
天の句 健康な人で賑わう葬儀場 新家完司  
月間賞  新家完司    
       
川柳塔 2024年2月本社句会秀句    
席題 「 志 」 初代 正彦 選    
人の句 折り返し地点に置いて来た大志 髙杉 力  
地の句 夢あまた能登にかかった虹の先 森田旅人  
天の句 プラス志向不時に備えて磨く靴 澤井敏治  
兼題 「ポツン」 飛永ふりこ 選    
人の句 「ありがとう」ポツンと言って逝くつもり 敏森廣光  
地の句 被災地の電柱線を待っている 川端一歩  
天の句 点滴のポツンに生きている命 山野寿之  
兼題「端布(端切れ)」 原田すみ子 選    
人の句 存在の意義私にも歯切れにも 出口セツ子  
地の句 端切れ同志肩組みあって労働歌 吉村久仁雄  
天の句 パッチワークで出来ている世界地図 川上大輪  
兼題 「厳しい」 藤村 亜成 選    
人の句 大寒波丹頂の紅冴えかえる 野口真桜子  
地の句 えべっさんの顔が一番厳しいぞ 桒原道夫  
天の句 八冠が更に最善目指してる 安福和夫  
兼題 「磨く」 新家 完司 選    
人の句 スリップドレスが似合うようにと磨きます 中岡千代美  
地の句 八十路来て磨いています黙秘術 藤原大子  
天の句 嫁はんに負けじと磨く肝っ玉 栃尾奏子  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 頑張れと今は言えない能登の里 松下英秋  
地の句 生まれ変わったの駅ピアノになって 藤井宏造  
天の句 揺れた地の二月の空の青の青 平井美智子  
月間賞  平井美智子    
       
川柳塔 2024年1月本社句会秀句    
席題 「 光 」 山下じゅん子 選    
人の句 七光り一気に蹴って一人立ち 柴本ばっは  
地の句 残り火を燃やしレジェンド光りだす 酒井健二  
天の句 初春の光を消した能登地震 敏森廣光  
兼題 「ポ チ」 髙杉  力 選    
人の句 散歩道ポチに知り合いたんとあり 森田旅人  
地の句 緩んでる首輪とポチは知っている 平井美智子  
天の句 曲がったらイカン道やとポチが言う 柴本ばっは  
兼題 「玩 具」 糀谷 和郎 選    
人の句 裏山がおもちゃの宝庫だった里 石田孝純  
地の句 おもちゃに国でマトリョーシカが孤立する 鈴木いさお  
天の句 手作りのおもちゃに父が生きている 片岡加代  
兼題 「重 い」 松岡  篤 選    
人の句 重いもの父の言葉と母の愛 青木隆一  
地の句 国ちがい命の重さちがう国 酒井健二  
天の句 書き溜めた秘密が重い日記帳 小野雅美  
兼題 「輝 く」 荻野 浩子 選    
人の句 つららの中で冬の妖精輝いた 水野黒兎  
地の句 現役で今も輝く白寿の手 平松かすみ  
天の句 子らの目の輝き奪い去る戦 坂上淳司  
兼題 「自由吟」 新家 完司 選    
人の句 死に方の中でも餓死だけはご免 鈴木いさお  
地の句 人生の夕暮れ時に虹が欲し 矢倉五月  
天の句 皆帰り柱時計がよく響く 原田すみ子  
月間賞  原田すみ子