本社句会秀句2023

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川柳塔 2023年12月本社句会秀句    
席題 「 天 」 澤井 敏治 選    
人の句 天命と思う妻との五十年 木嶋盛隆  
地の句 天秤棒担いだ父の立志伝 西出楓楽  
天の句 天仰ぐ確かな答欲しいから 西出楓楽  
兼題 「笑 う」 今井万紗子 選    
人の句 泣きなさい笑いなさいと母の墓 伊達郁夫  
地の句 湯たんぽのような笑顔を持っている 吉道あかね  
天の句 皺くちゃの笑顔に百歳の誇り 荻野浩子  
兼題 「まぶしい」 木本 朱夏 選    
人の句 一病を生き抜く覚悟できた顔 平井美智子  
地の句 今もなおまぶしいハーレーダビットソン 新家完司  
天の句 冬眠明けの熊よまぶしくはないか 鈴木いさお  
兼題 「妥 協」 川上 大輪 選    
人の句 この辺で妥協 ともだちなんだもの 冨永恭子  
地の句 「まあええか」座右の銘にして生きる 西出楓楽  
天の句 12月と妥協をすると楽になる 立蔵信子  
兼題 「宝の持ち腐れ」 島田 握夢 選    
人の句 友だちのまんまでいいの私たち 上田ひとみ  
地の句 奥さんをなんで粗末にしてはんの 奥澤洋次郎  
天の句 次の世で使えぬ金を貯めこむか 松岡篤  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 昼風呂に浸かり いい感じの孤独 桒原道夫  
地の句 妻と見たこの景色ともさようなら 奥澤洋次郎  
天の句 連れ添った歳月にある波の音 居谷真理子  
月間賞  居谷真理子    

 

川柳塔 2023年11月本社句会秀句    
席題 「 靴 」 居谷真理子 選    
人の句 まっすぐに歩ける靴を探してる 廣田和織  
地の句 八十五靴下だけを派手にする 上田和宏  
天の句 今日も元気靴音高く生きてます 敏森廣光  
兼題 「あなどる」 敏森 廣光 選    
人の句 あなどりの心の中にある油断 大浦初音  
地の句 侮って恋の深さに落ちている 中村 惠  
天の句 知れば知るほど侮れること何もない 上田和宏  
兼題 「ガチャン」 村田  博 選    
人の句 遮断機がガチャンと降りて永い冬 木本朱夏  
地の句 町工場今日も生きてる音がする 居谷真理子  
天の句 連結器ガチャンと揺る気ない絆 吉道航太郎  
兼題 「華やか」 矢倉 五月 選    
人の句 華やかな蝶は毛虫の時忘れ 藤田雪菜  
地の句 震災の霊も見に来るルミナリエ 村田 博  
天の句 華やかと遠いところにボランティア 水野黒兎  
兼題 「家 族」 新家 完司 選    
人の句 妻逝って優しくなった子供たち 石田孝純  
地の句 胃潰瘍と家族は言うが癌らしい 川端六点  
天の句 運動会やはり息子は足遅い 加藤江里子  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 地下街へまぎれ老人Aになる 藤井宏造  
地の句 父さんは泣かない 泣ける場所がない 平井美智子  
天の句 初霜降りる痛むところはないですか 島田明美  
月間賞  島田明美    
川柳塔 2023年10月(第29回塔まつり)本社句会秀句    
兼題 「刻 む」 藤井 智史 選    
人の句 振り向いてくれた瞳を目に刻む 牧野芳光  
地の句 イニシャルも薄れた指輪ゆるぎなし 金子美千代  
天の句 満月を刻めば人恋いの雫 平井美智子  
兼題 「まっすぐ」 藤田 武人 選    
人の句 まっすぐな愛です ひとりよがりでも 片岡加代  
地の句 まっすぐ言った まっぷたつに割れた 反橋政典  
天の句 かあちゃんの喜ぶ顔を見たくって 上田ひとみ  
兼題 「揺れる」 大久保眞澄 選    
人の句 たまらんな新酒に揺れる休肝日 浅井典子  
地の句 呑兵衛の大工が建てたゆれる家 青木隆一  
天の句 貴方にはあなたの良さがあるじゃない 前中知栄  
兼題 「未 来」 桒原 道夫 選    
人の句 未来から来たと言い張る酔っぱらい 青木隆一  
地の句 土地だけは月と火星に買ってある 両澤行兵衛  
天の句 非常口からは未来がよく見える 川上大輪  
兼題 「 笛 」 片岡 加代 選    
人の句 本棚の鳩笛たまにポーと鳴く 新家完司  
地の句 ピーヒャララ今年は御輿出るそうな 小川賀世子  
天の句 笛が鳴るまで生きていていいですか 青砥たかこ  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 独りめしを助けてくれる純米酒 森中惠美子  
地の句 今ここで許せば君は花と散る 吉村久仁雄  
天の句 時過ぎて幸せでした介護の日 森田旅人  
月間賞  森田旅人    
川柳塔 2023年9月本社句会秀句    
席題 「 稀 」 上田 和宏 選    
人の句 杜甫が今居たなら古稀は百二十 西出楓楽  
地の句 露天市で見つけた僕の忘れ傘 佐々木満作  
天の句 古稀の娘にまだ気配りの母は百 山野寿之  
兼題 「使 う」 きとうこみつ 選    
人の句 使うには惜しい綺麗な五円玉 青木ゆきみ  
地の句 愛用の万年筆よペン胼胝よ 小島蘭幸  
天の句 乱暴に使われ泣いている地球 初代正彦  
兼題 「ぼんやり」 森松まつお 選    
人の句 名人のぼんやりした手後で効く 川端一歩  
地の句 激暑の日半分とけた顔が行く 古今堂蕉子  
天の句 足元がぼんやり消えているが美女 川端六点  
兼題 「壊れる」 藤井 宏造 選    
人の句 静寂を壊してしまう蚊の羽音 きとうこみつ  
地の句 壊れそうな妻には薬よりも愛 初代正彦  
天の句 水のようなつきあいだから壊れない 居谷真理子  
兼題 「色 色」 新家 完司 選    
人の句 性別はその他の欄に○をする 平井美智子  
地の句 遺失物係へ入れ歯お骨まで 片岡加代  
天の句 逆立ちもピエロも出来るお姫様 木嶋盛隆  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 長生きの蟬が十日目に死んだ 鈴木いさお  
地の句 死にかけた今年の夏を忘れない 新家完司  
天の句 待っているうちにハシビロコウになる 髙杉 力  
月間賞  髙杉 力    
川柳塔 2023年8月本社句会秀句    
席題 「 車 」 栃尾 奏子 選    
人の句 車座になって他愛のない話 阪本秀子  
地の句 乳母車押した娘が押す車椅子 酒井健二  
天の句 癒えるまで雨が止むまで風車 山野寿之  
兼題 「ショック」 長谷川崇明 選    
人の句 円安で二の足を踏むパスポート 柚木涼子  
地の句 ライバルはお肌年齢三十歳 加藤江里子  
天の句 カルチャーショック受けて戸惑う帰国子女 鈴木いさお  
兼題 「戦う(闘う)」 森田 旅人 選    
人の句 闘病の妻の腰もむ眠るまで 澤井敏治  
地の句 閃光の怖さ知ってる戦中派 柴本ばっは  
天の句 両手をあげて戦う呱呱の声 津守柳伸  
兼題 「遠 い」 内藤 憲彦 選    
人の句 名優もはじめ通行人だった 川端一歩  
地の句 遠い日の記憶へ絵本繰るように 荻野浩子  
天の句 真珠湾ヒロシマ遠くしてならぬ 西出楓楽  
兼題 「責 任」 古今堂蕉子 選    
人の句 責任の重さ理事長の重さ 小島蘭幸  
地の句 世が世なら切腹ものもいる議員 西出楓楽  
天の句 良い声で啼くカッコウーの無責任 谷口東風  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 起こさないで ただいま夏眠中ですの 木本朱夏  
地の句 猛暑日の焼酎のあてガリガリ君 新家完司  
天の句 猛暑の広島忌 雨の長崎忌 鈴木いさお  
月間賞  鈴木いさお    
川柳塔 2023年7月路郎忌本社句会秀句    
席題 「 座 」 上田ひとみ 選    
人の句 どっこいしょ座席違いを指摘され 飛永ふりこ  
地の句 下座に控えているのがボスらしい 奥野健一郎  
天の句 座布団の下に夫の顔写真 古今堂蕉子  
兼題 「 千 」 冨永 恭子 選    
人の句 千軍の敵へ一人の友がいる 奥澤洋次郎  
地の句 何千回食べても飽きぬ妻の味 敏森廣光  
天の句 千に一つそれでも夢はだいている 永田紀惠  
兼題 「キラキラ」 石橋 芳山 選    
人の句 オキナワをキラキラ食べる海ぶどう 森中惠美子  
地の句 五十年前オレだって光ってた 江島谷勝弘  
天の句 太陽を味方に無敵白ビキニ 栃尾奏子  
兼題 「ずるい」 新家 完司 選    
人の句 すき焼きの肉を九割食べる妻 折田あきこ  
地の句 お先にともう仏壇の中に居る 山田耕治  
天の句 赤ちゃんの時の写真を持ち歩く 上田ひとみ  
兼題 「日 本」 前中 知栄 選    
人の句 男女平等 125位だって 江島谷勝弘  
地の句 白浜のパンダは日本語で喋る 川上大輪  
天の句 睡蓮もはすも日本の水にあう 森中惠美子  
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選    
人の句 何もできなくて静かに側に居る 宇都満知子  
地の句 白椿歳を重ねて白く咲く 森中惠美子  
天の句 暑中見舞い点字覚えてくれたんだ 川端六点  
月間賞  川端六点    
       
川柳塔 2023年6月本社句会秀句    
席題 「 肩 」 江島谷勝弘 選    
人の句 肩の凝る話はやめて酒や酒 藤井宏造  
地の句 右肩が痛い左肩はだるい 新家完司  
天の句 肩の荷を降ろしてゆるり棺の中 鈴木いさお  
兼題 「あふれる」 近兼 敦子 選    
人の句 あふれ出るフェイクニュースを見極める 新家完司  
地の句 もういいよ全部わかった受けとめた 上田ひとみ  
天の句 逢えただけで胸いっぱいになりました 冨永恭子  
兼題 「ドラマ」 宇都満知子 選    
人の句 監督は妻ボクは夫を演じてる 居谷真理子  
地の句 人生ドラマ百態積んでゆくこの世 今井万紗子  
天の句 梅雨あい間老いのドラマを干しておく 伊達郁夫  
兼題 「もろい」 平井美智子 選    
人の句 四角くて固くてもろいお父ちゃん 居谷真理子  
地の句 耳掃除されると心太になる 藤井宏造  
天の句 やんわりとガラスの母を抱き起す 山﨑武彦  
兼題 「焼 く」 川端 一歩 選    
人の句 父の日だ秋刀魚きれいに姿焼き 柴本ばっは  
地の句 焼け跡に耳を澄ませばゲンの声 澤井敏治  
天の句 戦争は人のこころも焼き尽くす 内藤憲彦  
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選    
人の句 皇族は一人もいない飲み仲間 新家完司  
地の句 ピヤノを弾いていた母の日のひとり 宇都満知子  
天の句 父親になった何かをあきらめた 居谷真理子  
月間賞  居谷真理子    
       
川柳塔 2023年5月本社句会秀句    
席題 「 気 」 山野 寿之 選    
人の句 百歳の元気も昔粗衣粗食 長谷川崇明  
地の句 つばくらめ夏の気配の空を飛ぶ 水野黒兎  
天の句 陽気です森の小人と喋れます 澤井敏治  
兼題 「通 す」 廣田 和織 選    
人の句 湯通しをしたら笑顔の春野菜 初代正彦  
地の句 通せんぼマイナカードを見せなさい 居谷真理子  
天の句 春風を臍まで通す深呼吸 新家完司  
兼題 「バランス」 原田すみ子 選    
人の句 子悪人たまに仏の顔をする 饗庭風鈴  
地の句 笑いこけ一度バランス崩したい 安福和夫  
天の句 愛します君が愛してくれたなら 居谷真理子  
兼題 「湿 る」 内田志津子 選    
人の句 かびぬよう心の窓を開けておく 冨永恭子  
地の句 湿り気を帯びて女が出来上がる 青木ゆきみ  
天の句 つないだ手じっとり湿る十五の春 古今堂蕉子  
兼題 「景 色 」 新家 完司 選    
人の句 オーシャンビュー聞こえは良いが崖っぷち 斎藤隆浩  
地の句 養花天京都は円い山ばかり 稲葉良岩  
天の句 逆上がりできた 地球がころがった 島田明美  
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選    
人の句 まんまるい月のかたちをした孤独 平井美智子  
地の句 渚にてこころの粒粒を拾う 桒原道夫  
天の句 転ぶのは神の戒めではないか 初代正彦  
月間賞  初代正彦    
       
川柳塔 2023年4月本社句会秀句    
席題 「 癖 」 糀谷 和郎 選    
人の句 ひらめきは無いがとことん粘るクセ 内藤憲彦  
地の句 晩年の旅は西へと行きたがる 山﨑武彦  
天の句 一徹を通すへそ曲がりの癖字 荻野浩子  
兼題 「片 方」 野口真桜子 選    
人の句 ワイヤレス片方ずつで聞く二人 宇都満知子  
地の句 片足は君の陣地に入れておく 桒原道夫  
天の句 隣席に部長右肩だけが凝る 森松まつお  
兼題 「あきれる」 平賀 国和 選    
人の句 妊婦を前にスマホ夢中の長い脚 澤井敏治  
地の句 底辺の蟻の涙は知らぬ国 出口セツ子  
天の句 人間にあきれて桜散っていく 新家完司  
兼題 「とろり」 鈴木いさお 選    
人の句 冷汗とろり油汗とろとろり 藤村亜成  
地の句 舌の上で暫く弄ぶマグロ 島田握夢  
天の句 ふたりならとろり堕ちたい花の闇 木本朱夏  
兼題 「簡 単 」 木本 朱夏 選    
人の句 簡単に親になってからのいばら 古今堂蕉子  
地の句 切って盛るトマトと豆腐いい子です 冨永恭子  
天の句 言い訳は百字以内で願います 大久保眞澄  
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選    
人の句 お日様も淋しい家に帰るのか 居谷真理子  
地の句 余命七万時間を想う花吹雪 木本朱夏  
天の句 少し飲みませんか 桜は散りました 平井美智子  
月間賞  平井美智子    
       
川柳塔 2023年3月本社句会秀句    
席題 「 父 」 髙杉  力 選    
人の句 フィリピンをついに語らず逝った父 稲葉良岩  
地の句 ふる里の駅舎降りるといつも父 山下じゅん子  
天の句 アメリカも見えそう父の肩車 川端六点  
兼題 「学 ぶ」 石田ひろ子 選    
人の句 おっぱいを飲むのが初めての学び 青木ゆきみ  
地の句 遠まわり学べば怖いものは無い 米田利惠子  
天の句 老いて尚学びつづける虫眼鏡 酒井紀華  
兼題 「かけら」 山下じゅん子 選    
人の句 嵐の予感 女雛の花は欠けていた 島田明美  
地の句 一ピース足りずに愛はまだ未完 木本朱夏  
天の句 大河の一滴されど濁らぬ正義感 澤井敏治  
兼題 「ノー」 吉村久仁雄 選    
人の句 権力に白紙揚げて屈しない 両澤行兵衛  
地の句 挑発をしているらしいノーガード 中岡千代美  
天の句 ノーと言うただそのために逢いに行く 髙杉力  
兼題 「好 意 」 江畑 哲男 選    
人の句 勘違いしそう優しくしないでね 青砥たかこ  
地の句 ご好意の便座が少し熱すぎる 平井美智子  
天の句 人妻であろうと好きな人は好き 藤井宏造  
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選    
人の句 裏表のない人味もなさそうだ 青砥たかこ  
地の句 モーイイカイと土筆マーダダヨと蓬 川端六点  
天の句 逢えぬ子に十五センチの靴を買う 島田明美  
月間賞  島田明美    
       
川柳塔 2023年3月本社句会秀句    
席題 「 父 」 髙杉  力 選    
人の句 フィリピンをついに語らず逝った父 稲葉良岩  
地の句 ふる里の駅舎降りるといつも父 山下じゅん子  
天の句 アメリカも見えそう父の肩車 川端六点  
兼題 「学 ぶ」 石田ひろ子 選    
人の句 おっぱいを飲むのが初めての学び 青木ゆきみ  
地の句 遠まわり学べば怖いものは無い 米田利惠子  
天の句 老いて尚学びつづける虫眼鏡 酒井紀華  
兼題 「かけら」 山下じゅん子 選    
人の句 嵐の予感 女雛の花は欠けていた 島田明美  
地の句 一ピース足りずに愛はまだ未完 木本朱夏  
天の句 大河の一滴されど濁らぬ正義感 澤井敏治  
兼題 「ノー」 吉村久仁雄 選    
人の句 権力に白紙揚げて屈しない 両澤行兵衛  
地の句 挑発をしているらしいノーガード 中岡千代美  
天の句 ノーと言うただそのために逢いに行く 髙杉力  
兼題 「好 意 」 江畑 哲男 選    
人の句 勘違いしそう優しくしないでね 青砥たかこ  
地の句 ご好意の便座が少し熱すぎる 平井美智子  
天の句 人妻であろうと好きな人は好き 藤井宏造  
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選    
人の句 裏表のない人味もなさそうだ 青砥たかこ  
地の句 モーイイカイと土筆マーダダヨと蓬 川端六点  
天の句 逢えぬ子に十五センチの靴を買う 島田明美  
月間賞  島田明美    
       
川柳塔 2023年2月本社句会秀句    
席題 「 外 」 緒方美津子 選    
人の句 コメンテーター部外者だから好きなこと 両澤行兵衛  
地の句 外は雨うちは嵐の遺産分け 水野黒兎  
天の句 外野からぼかり吠えてるアカンタレ 荻野浩子  
兼題 「近 い」 中村  惠 選    
人の句 あの世など公民館の裏あたり 新家完司  
地の句 退院は間もなく放つ千の鶴 山野寿之  
天の句 子の未来近道だけは教えない 油谷克己  
兼題 「不 良」 初代 正彦 選    
人の句 ジェームスディーン拗ねた瞳が好きだった 加藤江里子  
地の句 不良餓鬼の悲しそうな目夕間暮れ 奥澤洋次郎  
天の句 ぶってるが本当は親が好きなんだ 坂裕之  
兼題 「売 り」 鴨谷瑠美子 選    
人の句 押し売りもへっちゃら妻がいてくれる 川端六点  
地の句 肩書きを裏面にまでも刷って売る 洒井健二  
天の句 売れるかも知れぬ鑑定団に出る 小島蘭幸  
兼題 「しらける 」 新家 完司 選    
人の句 悪口の途中本人やってきた 青木ゆきみ  
地の句 いつもすぐどういう意味と訊いてくる 稲葉良岩  
天の句 号泣の隣で雲を追っている 中村惠  
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選    
人の句 サユリスト六十年も浮気せず 谷口東風  
地の句 赤ちゃんがわらった桃の花咲いた 木本朱夏  
天の句 ありがとうと言ったら日溜りになった 平井美智子  
月間賞  平井美智子    
       
川柳塔 2023年1月本社句会秀句  
席題 「 B 」 石田 隆彦 選  
人の句 ウクライナ地下にひしめく避難民 磯島福貴子
地の句 B6で核廃絶の署名する 川端一歩
天の句 次点でもチャンスはあるさ陽は登る 両澤行兵衛
兼題 「祝 う」 岩佐ダン吉 選  
人の句 地球からいつか戦が終わったら      栃尾奏子
地の句 再々婚だし一万円でいいだろう      島田握夢
天の句 ゼレンスキーに早くブラボー言わせたい  西出楓楽
兼題 「大 変」 大久保眞澄 選  
人の句 後から追いかけてくるえんま様 折田あきこ
地の句 今からは白紙あなたが決めなさい 小野雅美
天の句 分身が良からぬ方へ行きたがる 木本朱夏
兼題 「情 け」 大内 朝子 選  
人の句 路地裏に人の情けが落ちている 木嶋盛隆
地の句 同情から生まれる愛もあるのです 澤井敏治
天の句 鬼にもなる情けを抱いて親でいる 原田すみ子
兼題 「きりり 」 鈴木 かこ 選  
人の句 ぱっと灯がともりましたよ君の瞳に 上田ひとみ
地の句 ちょっと辛口です僕の人間味 藤井宏造
天の句 ダイヤモンドダスト別れを決めました 中岡千代美
兼題 「 自由吟 」 新家 完司 選  
人の句 融通のきかぬ同士の僕と葱 桒原道夫
地の句 時々は自分を褒めて換気する 内藤憲彦
天の句 蜜柑剥く間も世の中を憂う 桒原道夫
月間賞  桒原道夫