本社句会秀句2022

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川柳塔 2022年12月本社句会秀句  
席題 「 鏡 」 佐々木満作 選  
人の句 万華鏡くるくる僕の生き写し 藤田武人
地の句 成田屋の鏡獅子いい年を呼ぶ 西出楓楽
天の句 お手本は母さんだった倹約家 両澤行兵衛
兼題 「 謎  」 森田 旅人 選  
人の句 謎めいた過去はどうあれ今の君 山﨑武彦
地の句 勝ったのは謎だが負けたのは確か 古今堂蕉子
天の句 しっかりと命の謎を抱きしめる 平井美智子
兼題 「動 く」 冨永 恭子 選  
人の句 いい風が吹くまでここを動くまい 初代正彦
地の句 世の動き三歩遅れてついて行く 斎藤隆浩
天の句 まだ少し欲へ動いてゆく命 平井美智子
兼題 「ひやり」 松岡  篤 選  
人の句 検査結果見ながら医者が首を振る 敏森廣光
地の句 上書きをせぬうち画面急に消え 原田すみ子
天の句 お風呂場が静かになった出て来ない 今井万紗子
兼題 「風物詩 」 森松まつお 選  
人の句 成人の日毎年アホをやらかして 松岡篤
地の句 通天閣干支の引き継ぎ縁起物 青木ゆきみ
天の句 科学の進歩一つずつ消す風物詩 西出楓楽
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選  
人の句 ブラボーに包まれている生きている 小山紀乃
地の句 戦争は終わるもうすぐクリスマス 鈴木かこ
天の句 指狐コーンと啼かせ忘れよう 木本朱夏
月間賞  木本朱夏  
川柳塔 2022年11月本社句会秀句  
席題 「 裏 」 坂  裕之 選  
人の句 表裏なくつき合う友は有り難い 平賀国和
地の句 諭吉さんいれば裏口すっと開く 長谷川崇明
天の句 裏方に徹して光るいぶし銀 山﨑武彦
兼題 「 わざと 」 敏森 廣光 選  
人の句 仲裁の出る幕わざと開けてある 柿花和夫
地の句 ライバルに花を持たせているゆとり 木本朱夏
天の句 強くなりたくて強気の振りをする 内藤憲彦
兼題 「 インテリア 」 村田  博 選  
人の句 また失恋したなカーテン色変わる 糀谷和郎
地の句 アスリート部屋いっぱいの楯カップ 内田志津子
天の句 ローソクの光でロゼを酌み交わす 坂上淳司
兼題 「敬 う」 澤井 敏治 選  
人の句 敬えば路傍の石も神さまに 荻野浩子
地の句 ばあちゃんは魔法使いに違いない 上田ひとみ
天の句 師を思う そして六大家を想う 小島蘭幸
兼題 「混 沌 」 木本 朱夏 選  
人の句 混沌の浮世を泳ぐ二枚舌 山野寿之
地の句 このカオス抜ければ終わる更年期 栃尾奏子
天の句 諸説紛々邪馬台国は何処ですか 安福和夫
兼題 「 自由吟 」 新家 完司 選  
人の句 もの忘れふっと出てくる時が好き 原田すみ子
地の句 山ほどの履けない靴をまたしまう 大久保眞澄
天の句 梅干しにも朝昼晩の味がある 柿花和夫
月間賞  柿花和夫  
     
川柳塔 2022年10月(第28回塔まつり)本社句会秀句  
席題 「楽しみ」 上田ひとみ 選  
人の句 人生も敗者復活あるそうな         宗和夫
地の句 楽しみにしときと遺言書に封        居谷真理子
天の句 楽しみを長持ちさせるため咀嚼       穐山常男
兼題 「とける」 藤井 宏造 選  
人の句 清流で溶けるハートを持っている      森茂俊
地の句 秋空へメゾソプラノがとけてゆく 西出楓楽
天の句 赤ちゃんが笑うと溶けてゆく空気      羽奈和子
兼題 「再 び」 伊達 郁夫 選  
人の句 思い出を武器に燃やしてきた命      山内迪
地の句 再びを信じ一会を噛み締める       長島敏子
天の句 復活の狼煙は虹になりました       小島蘭幸
兼題 「 味 」 居谷真理子 選  
人の句 手料理を味わっているのは心       柏原夕胡
地の句 苦虫の苦さ慣れると乙なもの       新家完司
天の句 恋の味わすれてなんかいませんよ     藤井宏造
兼題 「 点 」 天根 夢草 選  
人の句 点描画やがては動き出すだろう      川上大輪
地の句 小数点切り捨てさせぬ点である      森田旅人
天の句 日の丸の大きな点は魂か         森中恵美子
兼題 「自由吟」 小島 蘭幸 選  
人の句 歩けますように食べられますように  島田明美
地の句 ティーシャツの大統領の力瘤      山田耕治
天の句 今はもう金魚命という美魔女       片岡加代
月間賞  片岡 加代  
     
川柳塔 2022年9月本社句会秀句  
席題 「 歯 」 江島谷勝弘 選  
人の句 総入れ歯外して孫をおどろかす 片山かずお
地の句 歯医者さんに行こうと決めてから3月 大久保眞澄
天の句 道路工事の現場に似てる歯科医院 きとうこみつ
兼題 「 土壇場 」 長谷川崇明 選  
人の句 土壇場の涙が嘘であるものか 長髙俊雄
地の句 土壇場で人は生き様試される 長髙俊雄
天の句 土壇場が人の器量を炙り出す 敏森廣光
兼題 「 まるで 」 宇都満知子 選  
人の句 亡くなった父が鏡の中にいる 八木幸彦
地の句 古里は未だ両親居るようだ 石田隆彦
天の句 今の世のスマホのような父でした 石田孝純
兼題 「どっしり」 山﨑 武彦 選  
人の句 最後まで相手の意見聞く器 八木幸彦
地の句 どっしりと赤ちゃんポスト子の命 立蔵信子
天の句 どっしりと天下見渡す大鳥居 青木隆一
兼題 「 悔しい 」 古今堂蕉子 選  
人の句 悔しいと金切り声になるのです 小島蘭幸
地の句 献血も献体さえも断られ 平井美智子
天の句 昼間から好きで飲んでる訳じゃない 髙杉力
兼題 「 自由吟 」 小島 蘭幸 選  
人の句 定年の次の日ウクレレを買った      居谷真理子
地の句 虫の目で気付かず鳥の目で気付く     藤田 武人
天の句 アクリル板立ててひとりのオムライス    平井美智子
月間賞  平井美智子  
     
川柳塔 2022年8月本社句会秀句  
席題 「 間 」 内田志津子 選  
人の句 どうしても真似が出来ない恩師の間 小島蘭幸
地の句 行間に思慕がにじんでいる手紙 平井美智子
天の句 阿と呍の間に人は喜怒を生き 水野黒兎
兼題 「 お 金 」 きとうこみつ 選  
人の句 恐いものなしポケットに五万円 新家完司
地の句 めでたい時悲しい時もいるお金 柴本ばっは
天の句 国民はみなさん自費で葬儀する 江島谷勝弘
兼題 「 いつも 」 藤田 武人 選  
人の句 言いたくて言えないいつもありがとう 髙杉力
地の句 あきらめをいつも聞かされてる枕 小野雅美
天の句 忍の字をいつも握っている拳 木本朱夏
兼題 「 若 い 」 上田 和宏 選  
人の句 年金も欲しいが若い血もっと欲し     山﨑武彦
地の句 八月六日若い二人の宣誓文        加藤江里子
天の句 今が旬ふたたびの無い今を生き      糀谷和郎
兼題 「とろとろ」 桒原 道夫 選  
人の句 納豆とオクラ山芋夏の恋         平井美智子
地の句 とろとろと平仮名ばかり書く日記     上田和宏
天の句 各駅でとろとろ進む私小説       鈴木かこ
兼題 「 自由吟 」 新家 完司 選  
人の句 ドア閉める音でもベンツだと分かる    髙杉力
地の句 手相みる易者人相悪かった        青木ゆきみ
天の句 もう悪女には戻れない腰まわり      片岡加代
月間賞  片岡加代  
     
川柳塔 2022年7月路郎忌本社句会秀句  
席題 「 列 」 内藤 憲彦 選  
人の句 最前列にいるのは味方ではないな 小島蘭幸
地の句 若返る列なら一人目に並ぶ 山野寿之
天の句 行列を乱さぬ僕も日本人 新家完司
兼題 「決める」 藤井 智史 選  
人の句 神さまが決めるいのちの句読点 美馬りゅうこ
地の句 OKは出さぬ首振り扇風機 石田孝純
天の句 決心も載せて雲間の観覧車 島田明美
兼題 「意 外」 栃尾 奏子 選  
人の句 おにぎりが意外なことをつぶやいた 桒原道夫
地の句 ボクの尻尾愛に踏まれる為にある 藤井智史
天の句 爺ちゃんがBTSを知っていた 宇都満知子
兼題 「いとしい」 平井美智子 選  
人の句 真夜中の金魚の寝相こそ愛し 木本朱夏
地の句 泳げない木魚飛べない風見鶏 石田孝純
天の句 いとしさがだんだんダマになってきた 桒原道夫
兼題 「ダメージ」 銭谷まさひろ選  
人の句 ひと言が刺さり翼が畳めない 糀谷和郎
地の句 第九完成失聴を乗り越えて 加藤江里子
天の句 目が泳ぐ勝負あったと見ておこう 上田和宏
兼題 「時 々」 小島 蘭幸 選  
人の句 時々ボケて少しずつ透けてゆく 中岡千代美
地の句 特効薬のように恋文読み返す 島田明美
天の句 時々は遊びに行きたいねあの世 栃尾奏子
月間賞  栃尾奏子  
     
川柳塔 2022年6月本社句会秀句  
席題 「 餌 」 鈴木いさお 選  
人の句 禁酒禁煙わたしの餌が減りました 柴本ばっは
地の句 喜んであなたのえさになりましょう 上田ひとみ
天の句 手作りのチョコに媚薬を混ぜておく 木本朱夏
兼題 「 痛  い 」 髙杉  力 選  
人の句 失恋の痛みに耐えてから大人 坂上淳司
地の句 この頃の妻は本気でつねりよる 森松まつお
天の句 ほんとうの痛みを知らぬ司令官 内藤憲彦
兼題 「 砂 」 原田すみ子 選  
人の句 砂漠にオアシスわが家に妻がいる 平賀国和
地の句 神さまの足跡だけがある砂丘 澤井敏治
天の句 砂丘へは風に吹かれに行くのです 立蔵信子
兼題 「 ポロリ 」 初代 正彦 選  
人の句 時時のお箸をポロリ娘に内緒 川端一歩
地の句 ライバルの涙一粒には勝てぬ 小野雅美
天の句 幸運がポロリと指の間から 鈴木いさお
兼題 「あっぱれ」 木本 朱夏 選  
人の句 九回の裏に隠れていた女神 酒井紀華
地の句 小麦に喝をおにぎりにあっぱれを 銭谷まさひろ
天の句 銃捨てた兵士にあっぱれをやろう 髙杉 力
兼題 「 衣 服 」 小島 蘭幸 選  
人の句 母よりも生きて形見の派手な帯 木本朱夏
地の句 行くところないので家で背広着る 青木ゆきみ
天の句 お下がりを着ても輝く瞳があった 北野哲男
月間賞  北野哲男  
     
川柳塔 2022年5月本社句会秀句  
席題 「 肉 」 松原 寿子 選  
人の句 肉声を拾うマイクも濡れている 小野雅美
地の句 朝から肉パワー全開さあやるぞ 小川賀世子
天の句 晩学の血肉にする広辞苑 山野寿之
兼題 「こっそり」 石田ひろ子 選  
人の句 予報官こっそり下駄を投げ上げる 井丸昌紀
地の句 こっそりと不能にしたい核ボタン 平松かすみ
天の句 これでいいのかこっそり流す汚染水 澤井敏治
兼題 「 煙 」 糀谷 和郎 選  
人の句 薫製器 言うてはならぬ事吊す 冨永恭子
地の句 雲煙過眼あすのことには悩むまい 澤井敏治
天の句 このランプこすれば君と夢一夜 栃尾奏子
兼題 「ハードル」 山野 寿之 選  
人の句 ハードルはくぐるものだと決めている 井丸昌紀
地の句 引っ掛けても倒していい跳びなさい 大久保眞澄
天の句 春風とハードル越えた紋白蝶 鴨谷瑠美子
兼題 「惜しい」 川端 一歩 選  
人の句 恋も絵も未完 無念の無言館 山野寿之
地の句 惜別の国境線に降るなみだ 内田志津子
天の句 一粒の麦惜しまれて地に還る 木本朱夏
兼題 「関 心」 新家 完司 選  
人の句 食べること以外に何も興味ない 坂裕之
地の句 関心は竹輪の穴が丸いこと 青木隆一
天の句 死ぬ話好きで元気なおばあちゃん 石田ひろ子
月間賞  石田ひろ子  
     
川柳塔 2022年4月本社誌上句会秀句  
兼題 「 買 う 」 中村  惠 選  
人の句 そのケンカ値引きするなら買ってやる 水野黒兎
地の句 新車ですローン満載して走る 太田扶美代
天の句 花を買う優しいひとになるために 上田ひとみ
兼題 「 語 る 」 吉村久仁雄 選  
人の句 栄枯盛衰語る生家の鬼瓦 小川賀世子
地の句 露の世の残りを語る老い二人 冨田保子
天の句 全身で今日を報告する園児 萩原狸月
兼題 「エネルギー」 片山かずお 選  
人の句 母の愛乳房に満ちるエネルギー 原田すみ子
地の句 活力の一翼担う一行詩 糀谷和郎
天の句 ニンゲンが持つには重い原子力 上田和宏
兼題 「つるつる」 水野 黒兎 選  
人の句 つるつるがしわしわ生き切った証 山端なつみ
地の句 つるつると朝が転がるゆで卵 槇田次郎
天の句 駅中のうどんまたたく間の戦士 山野寿之
兼題  「 記 録 」 小島 蘭幸 選  
人の句 坦々と翔平がゆくけもの道 井丸昌紀
地の句 病臥筆録子規の残したもの数多 黒田茂代
天の句 自己記録更新年齢に勝った 居谷真理子
月間賞  居谷真理子  
     
第十回 春の川柳塔まつり誌上大会特選句  
課題 「 声 」 広瀬ちえみ 選  
特選句 傾いていないか話しかけてみる 真島久美子
特選句 帰ります栗きんとんな声出して 守田啓子
課題 「 声 」 桒原 道夫 選  
特選句 帰ります栗きんとんな声出して 守田啓子
特選句 愛してると最後に言えた腹話術 佐藤雅秀
課題 「 軽 い」 濱山 哲也 選  
特選句 風が来てひょいと私を裏返す 小林すみえ
特選句 天国へは手ぶらでまいるつもりです 山田耕治
課題 「 軽 い」 大久保眞澄 選  
特選句 次の世は紋白蝶になるからね 中山春代
特選句 生ききって死にきってこの軽い骨 居谷真理子
  (自由吟) 大西 泰世 選  
特選句 新刊の匂い蛇穴そそのかす 黒田弥生
特選句 春帽子ふわりと夢をつかまえる  澤井敏治
  (自由吟) 小島 蘭幸 選  
特選句 五十年後の顔を見たくて添いました 居谷真理子
特選句 里山の絶滅危惧種子どもたち 斉尾くにこ
     
川柳塔 2022年1月本社句会秀句  
席題 「 艶 」 上田ひとみ 選  
人の句 艶消しになってきた私の魅力 中岡千代美
地の句 艶っぽい姑でいけずで小金持ち 平井美智子
天の句 靴磨きピカ一だった妻が逝く 藤井宏造
兼題 「置 く」 石田 隆彦 選  
人の句 お邪魔せぬ位置に老体そっと置く 新家完司
地の句 ランドセル置いて飛び込む母の胸 柿花和夫
天の句 背伸びして届くところに置いた嘘 桒原道夫
兼題 「怪しい」 藤井 宏造 選  
人の句 半眼がどうも怪しい盧舎那仏 居谷真理子
地の句 マスク外せば二年前より高い鼻 小野雅美
天の句 この風は敵か味方か嗅いでみる 居谷真理子
兼題 「パートナー」 松岡  篤 選  
人の句 パートナーは何てったって諭吉さん 西出楓楽
地の句 異業種をパートナーとし生き残り 萩原狸月
天の句 俺お前 程好い距離のパートナー 中村惠
兼題   「たかが」 西出 楓楽 選  
人の句 たかが草笛だけど「故郷」忘れ得ず 澤井敏治
地の句 ジェンダーフリー「たかが女」は死語になる 片山かずお
天の句 老いるとは畳の縁も敵になる 谷口東風
兼題 「気合い」 新家 完司 選  
人の句 かか様の気合いがないと動かない 榎本舞夢
地の句 老いの足気合いで渡る交差点 平井美智子
天の句 赤ちゃんが気合いを入れて泣いている 鴨谷瑠美子
月間賞  鴨谷瑠美子