川柳塔 2020年12月本社誌上句会秀句 | ||
兼題 「味わう」 | 小野 雅美 選 | |
人の句 | 老いらくの恋は入れ歯で噛みしめる | 田辺与志魚 |
地の句 | コロナには勝てぬ朝昼晩読書 | 髙瀨霜石 |
天の句 | 平穏を味わいながらでるあくび | 原田すみ子 |
兼題 「ルール」 | 桒原 道夫 選 | |
人の句 | ルールからちょっと外れそうな吐息 | 笹重耕三 |
地の句 | ルールブックひしめき合っている花野 | 永見心咲 |
天の句 | 少年のルールに帽子欠かせない | 岩本笑子 |
兼題 「ばっさり」 | 福士 慕情 選 | |
人の句 | ばっさりと戦力外の首を斬る | 小畑定弘 |
地の句 | マンション建った桜三本泣きました | 緒方美津子 |
天の句 | 不都合な論は無用と切り捨てる | 田桑恵子 |
兼題 「沈 む」 | 赤松ますみ 選 | |
人の句 | 図書館の地下に深海魚が泳ぐ | 居谷真理子 |
地の句 | 深海の貝は今でも泣いてるか | 今村和男 |
天の句 | 沈殿が済むまで地底湖で眠る | 田辺与志魚 |
兼題 「生 涯」 | 小島 蘭幸 選 | |
人の句 | 生涯のライバル僕の影法師 | 稲見則彦 |
地の句 | 生涯一句ただそれだけの道なりき | 杉野羅天 |
天の句 | 生涯の半分はおばあさんだった | 谷口義 |
月間賞 | 谷口義 |
川柳塔 2020年11月本社誌上句会秀句 | ||
兼題 「ショック」 | 森山 文基 選 | |
人の句 | カメラ壊れた恋人に逃げられた | 新家完司 |
地の句 | 小さいショック与え続けて手懐ける | 井丸昌紀 |
天の句 | 二黒土星ショックに弱くなりました | 谷口義 |
兼題 「探 す」 | 松本 文子 選 | |
人の句 | うなずいて赦す言葉を探す箸 | 工藤千代子 |
地の句 | 風船が亡母を捜しに行ったきり | 北野哲男 |
天の句 | 優しさを探しています秋の午後 | 平井美智子 |
兼題 「大 人」 | 木本 朱夏 選 | |
人の句 | 恋人は無理悪友になったげる | 居谷真理子 |
地の句 | 月少し欠けて大人の事情とか | 石橋芳山 |
天の句 | トンネルを抜けて気楽なシニアです | 松本文子 |
兼題 「 風 」 | 菱木 誠 選 | |
人の句 | 抗った風で流線形になる | 田辺与志魚 |
地の句 | 秋風が私の脆いとこを突く | 小川賀世子 |
天の句 | 確と飛ぶつもりで風を溜めている | 黒田茂代 |
兼題 「単 純」 | 新家 完司 選 | |
人の句 | 誉められてスキップをして蹴躓く | 平井美智子 |
地の句 | 一本気グラデーションのない夫 | 北野哲男 |
天の句 | 上にあるものはいつかは落ちてくる | 糀谷和郎 |
月間賞 | 糀谷和郎 |
第26回川柳塔まつり(2020年10月本社誌上句会秀句) | ||
兼題 「プライド」 | 栃尾 奏子 選 | |
人の句 | 国家斉唱きみはするのかしないのか | 伊藤豊志 |
地の句 | 母のプライドお豆腐の角にある | 小林すみえ |
天の句 | 銀杏散る一円で売るブリタニカ | 高市すみこ |
兼題 「しっかり」 | 鈴木いさお 選 | |
人の句 | へそくりを確保した女のやがて | 市田鶴邨 |
地の句 | 全力で投げろ受けとめてやろう | 居谷真理子 |
天の句 | 言葉など要らぬしっかり抱いてやれ | 谷口修平 |
兼題 「織 る」 | 永見 心咲 選 | |
人の句 | でこぼこなわたしですがと織っている | 香月みき |
地の句 | あと何年八十歳になりました | 太田としお |
天の句 | 悪友とワンダーランド織り上げる | 新家完司 |
兼題 「元 気」 | 竹村紀の治 選 | |
人の句 | どうだどうだ俺の表面張力だ | 田中なお |
地の句 | ひまわりに元気をもらう白い夏 | 佐々木満作 |
天の句 | 太陽の下が本籍元気です | 山内迪 |
兼題 「混ぜる」 | 西 美和子 選 | |
人の句 | SNS神とサタンのページです | 阪本高士 |
地の句 | 切るように混ぜる手首の先の秋 | 真島久美子 |
天の句 | お母さんにしてくれた事ありがとう | 玉山智子 |
兼題 「 扉 」 | 小島 蘭幸 選 | |
人の句 | 禁断の扉に見えてくるマスク | 板垣孝志 |
地の句 | 仏壇を閉めて田畑売る話 | 鈴木栄子 |
天の句 | コロナ終息ドアを開けば新世界 | 木本朱夏 |
月間賞 | 木本朱夏 |
川柳塔 2020年9月本社誌上句会秀句 | ||
兼題 「逃げる」 | 藤井 智史 選 | |
人の句 | 逃げた過去から消化不良がつづく | 田中敬子 |
地の句 | 叱責の語尾はぼかして春の中 | 斉尾くにこ |
天の句 | 人間になろうと雑踏を抜ける | 笹重耕三 |
兼題 「どうも」 | 久保田千代 選 | |
人の句 | 現実がどうも予想を越える老い | 原田すみ子 |
地の句 | 七色のどうもを使う如才なさ | 居谷真理子 |
天の句 | 朴訥のどうも一語が温かい | 中村惠 |
兼題 「ざっくり」 | 三宅 保州 選 | |
人の句 | ざっくりな暮らしの中にある明かり | 山口弘委智 |
地の句 | ざっくりと育てた子らの出来の良さ | 大島ともこ |
天の句 | 説法の中にざっくり生きる知恵 | 長谷川崇明 |
兼題 「たわむれ」 | 真島久美子 選 | |
人の句 | たわむれているのか涙出る話 | 松本あや子 |
地の句 | そうこれで良かったのだと雪うさぎ | 栃尾奏子 |
天の句 | fの1ゆらぎの中でたわむれる | 澤井敏治 |
兼題 「再 生」 | 新家 完司 選 | |
人の句 | 乾かしてまた来年の水中花 | 太田省三 |
地の句 | 飛び魚になるから今は眠らせて | 斉尾くにこ |
天の句 | 火に強くなって首里城立ち直れ | 藤澤照代 |
月間賞 | 藤澤照代 |
川柳塔 2020年8月本社誌上句会秀句 | ||
兼題 「だけど」 | 中村 惠 選 | |
人の句 | 負けましただけど清々しい気分 | 小川道子 |
地の句 | 不肖の子だけど親です味方です | 長髙俊雄 |
天の句 | 小さな目大きな未来見つめてる | 敏森廣光 |
兼題 「動 物」 | 上田ひとみ 選 | |
人の句 | 猫のこと金魚のことの日記帳 | 藤田雪菜 |
地の句 | 恐いとは言えぬ尻尾を振っている | 平松かすみ |
天の句 | 君の飼う猫がいけずをするんです | 田中ゆみ子 |
兼題 「稼 ぐ」 | 髙瀨 霜石 選 | |
人の句 | よく稼ぐ方ではないがいい男 | 政岡日枝子 |
地の句 | この世での稼ぎこの世で使い切る | 奥野健一郎 |
天の句 | ともかくもお腹いっぱい食べさせる | 上田ひとみ |
兼題 「老いらくの恋」 | 島田 握夢 選 | |
人の句 | 蘇るワクワク狂いだすピンク | 石橋芳山 |
地の句 | この歳になっても指切りはします | 立蔵信子 |
天の句 | 燃えそうで燻るだけの老いの恋 | 初代正彦 |
兼題 「傑 作」 | 小島 蘭幸 選 | |
人の句 | 100円ショップ110円の満足度 | 髙瀨霜石 |
地の句 | 僕だけの傑作 僕だけの涙 | 川本真理子 |
天の句 | 生涯を飾る一句は胸にある | 木田比呂朗 |
月間賞 | 木田比呂朗 |
川柳塔 2020年路郎忌誌上句会(7月本社句会)秀句 | ||
兼題 「 懐 」 | 村上 直樹 選 | |
人の句 | 懐に貪瞋痴抱く人の業 | 澤井敏治 |
地の句 | 懐に飛び込んで来いその気なら | 永田紀惠 |
天の句 | 母の懐大地の匂い陽の匂い | 今井万紗子 |
兼題 「ひんやり」 | 平井美智子 選 | |
人の句 | 生年月日をひやひやさせている自粛 | 森中惠美子 |
地の句 | どこからかひとりぼっちのすきま風 | 上田ひとみ |
天の句 | ひんやりと蛍の闇がまといつく | 奥澤洋次郎 |
兼題 「不 可」 | 水野 黒兎 選 | |
人の句 | 無いものを探し続けてもう日暮れ | 平井美智子 |
地の句 | Uターン禁止私の道続く | 小島蘭幸 |
天の句 | いくら歩いても青山からは出ず | 長川哲夫 |
兼題 「欲しい」 | 古今堂蕉子 選 | |
人の句 | 欲求不満あるのかロダン立ち上がる | 細田貴子 |
地の句 | リーダーシップここできっぱり句読点 | 美馬りゅうこ |
天の句 | 輪廻転生モトメルモノガオオスギル | 柳本惠子 |
兼題 「たわむ」 | 阪本きりり 選 | |
人の句 | 曲げるためるこの手が作る花の舞 | 長尾三幸 |
地の句 | 炎天にたわむ14時からの空 | 石橋芳山 |
天の句 | 枝先をたわませて月ゆっくりと | 川本真理子 |
兼題 「階 段」 | 小島 蘭幸 選 | |
人の句 | 雲の階段登って路郎師に会いに | 黒田茂代 |
地の句 | 階段がある日サスペンスになった | 森山盛桜 |
天の句 | ちちよははよ雲の階段降りて来よ | 木本朱夏 |
月間賞 | 木本朱夏 |
川柳塔 2020年2月本社句会秀句 | ||
席題 「 昼 」 | 山岡冨美子 選 | |
人の句 | 昼の隙間がギシギシと過去をだす | たむらあきこ |
地の句 | 雷もひびいて午後からの歪 | たむらあきこ |
天の句 | 赤ちゃんに風柔らかい昼のバス | 小川賀世子 |
兼題 「ゆとり」 | 藤田 武人選 | |
人の句 | 肩書きが皆取れてからでたゆとり | 原田すみ子 |
地の句 | 脇道を走って気づく風の色 | 鈴木かこ |
天の句 | 冗談をひとつ投げかけ手術台 | 長髙俊雄 |
兼題 「細 い」 | 安土 理恵 選 | |
人の句 | 心細い時には妻を連れて行く | 松岡篤 |
地の句 | 二千万なくても細い息はする | 上村夢香 |
天の句 | 細い糸切って女は立ち上がる | 柿花和夫 |
兼題 「果 て」 | 初代 正彦 選 | |
人の句 | とことこと歩いてゆけばいいのです | 上田ひとみ |
地の句 | 蹴躓き転んだ果ての現在地 | 山野寿之 |
天の句 | 果てまでを走る 私であるために | 平井美智子 |
兼題 「盗 む」 | 岩佐ダン吉 選 | |
人の句 | ロボットになるまでにんげんを搾る | たむらあきこ |
地の句 | 人間を盗まれてゆく兵士たち | たむらあきこ |
天の句 | 盗んで盗んで人間国宝になった | 小島蘭幸 |
兼題 「必 要」 | 小島 蘭幸 選 | |
人の句 | 伝えたいことありごきぶりは生きる | 田中ゆみ子 |
地の句 | 不要だと言えなくなって来たスマホ | 松岡篤 |
天の句 | 夢の中に出てくるだけでいいのです | 立蔵信子 |
月間賞 | 立蔵 信子 |
川柳塔 2020年1月本社句会秀句 | ||
席題 「 地 」 | 柿花 和夫 選 | |
人の句 | 煩悩がすぐ邪魔をする無の境地 | 中島一彌 |
地の句 | そのうちにノアの箱舟出る地球 | 萩原狸月 |
天の句 | パプリカを踊ると花が咲く大地 | 片岡加代 |
兼題 「ほこほこ」 | 太田扶美代 選 | |
人の句 | 話したら心ほこほこ母の膝 | 酒井紀華 |
地の句 | いつだってあなたの側はあたたかい | 上田ひとみ |
天の句 | 嬉しいと書けば心も温くなる | 小野雅美 |
兼題 「ピーク」 | 内田志津子 選 | |
人の句 | 沸点の愛も別れは氷点下 | 山野寿之 |
地の句 | バラ百本もらう私の絶頂期 | 木本朱夏 |
天の句 | 霊山の温もり貰い峰に立つ | 長川哲夫 |
兼題 「切ない」 | 石橋 芳山 選 | |
人の句 | マドンナがアッチを向いて桂馬飛び | 木嶋盛隆 |
地の句 | 老いるって切ないロックだぜベイビー | 居谷真理子 |
天の句 | まだ森は私を抱いてくれません | くんじろう |
兼題 「養 う」 | 西出 楓楽 選 | |
人の句 | 養生訓ひらく人生八合目 | 木本朱夏 |
地の句 | 塩浸けにしたい男を飼っている | 山﨑武彦 |
天の句 | 身のうちに蝶を育てている詩人 | 木本朱夏 |
兼題 「最 初」 | 新家 完司 選 | |
人の句 | ときめいた最初があってまだ夫婦 | 木本朱夏 |
地の句 | 夜が明けるたびに私が新しい | 平井美智子 |
天の句 | ふり出しに戻って縄を綯っている | 木本朱夏 |
月間賞 | 木本朱夏 |