題
「電 話」
島田 駱舟 選
着信を拒否にしてからまた昼寝 | 夏みかん | |
馬鹿にした公衆電話当てにする | 雪上牡丹餅 | |
亡き父につながりそうな黒電話 | 汐海岬 | |
桜咲くまでは電話を待ってみる | 乙川初音 | |
嘘つけぬ息遣いする電話口 | 坪井新 | |
ギロチンのように貴方の切る電話 | 坪井新 | |
電話口ひとときショパン聞かされる | 原洋志 | |
便利さにいじめも付いてくるスマホ | 佐藤彰宏 | |
お互いに背後に異性いる電話 | 森下博史 | |
三毛猫と電話番する招き猫 | 近石ひとし | |
呼び出しの電話昭和は遠くなり | 高杉力 | |
留守電がけなげに熟す留守居留守 | ホッと射て | |
長電話切るきっかけのキャッチホン | ホッと射て | |
留守電の声も消せずに一周忌 | 坂本星雨 | |
おろおろとスマホ難民してる指 | 佐々木ええ一 | |
姑が受話器に注ぐ愚痴の山 | 白瀬白洞 | |
君からの電話だ春の匂いだ | 上田ひとみ | |
空元気見透かされてる電話口 | 大島ともこ | |
座布団を電話が敷いていた昭和 | 船岡五郎 | |
受話器から故郷の風が入り込み | 花がえる | |
ポーカーフェイスの電話は詐欺だろう | 岸井ふさゑ | |
丸腰とはかくやスマホのない戦士 | アゲハ | |
淋しくてまた通販に電話する | 居谷真理子 | |
充電をしてケータイを飼っている | 居谷真理子 | |
携帯を与え父権が及ばない | 野平光太郎 | |
メシ時に土足で上がり込む電話 | 石川柳寿 | |
初恋の記憶に光る黒電話 | 多舵洋 | |
十円がドンドン落ちた遠い恋 | 蒼い朱鷺 | |
孤独死を電話で知った日の孤独 | 徳重美恵子 | |
FAXにかけてピーピー怒られた | 栂瀬みちを | |
もしもしツーツーあれから旅が始まった | まみどり | |
ポケットに上司が棲んでいるスマホ | 伊藤良一 | |
佳5 | 赤電話今日もぼんやり立っている | 佐々木ええ一 |
佳4 | 坂本龍馬の懐にもスマホ | 怜 |
佳3 | 雨の日の未だ繋がらぬ話し中 | 両澤行兵衛 |
佳2 | 振り込めの電話があって世間並 | 右田俊郎 |
佳1 | 長電話終えて私をはめ直す | 雨径 |
人 | 大臣に漏れて電話が掛らない | 中筋弘充 |
地 | 不燃ゴミだんだん溜まる電話口 | 米山明日歌 |
天 | エリーゼじゃないひとを待つ保留音 | 若枝あらう |
題
「電 話」
斉尾くにこ 選
パンクして電話探した山の中 | 麦乃 | |
また出ないプルルプルルと外は雨 | 甘酢あんかけ | |
君からの命の電話待ってます | 竹中正幸 | |
電話にも理由があって穴だらけ | 森山文切 | |
待合室携帯電話握る人 | 森山文切 | |
無事ですと電話のベルが三つ鳴る | 木嶋盛隆 | |
電話口ひとときショパン聞かされる | 原洋志 | |
箱がなくスーパーマンが焦ってる | 冬子 | |
懐かしい過去へ電話を掛けている | 森廣子 | |
風の音だけが聞こえてくる受話器 | 平井美智子 | |
着メロが明るく鳴っている柩 | 平井美智子 | |
たわいない話が欲しくなる今宵 | 松本雅子 | |
退職後夜の電話にまだビクリ | 上平祥 | |
座布団を電話が敷いていた昭和 | 船岡五郎 | |
受話器から故郷の風が入り込み | 花がえる | |
陰の声確と拾っている受話器 | わこう | |
青春のマイルーム電話ボックス | 雨森茂喜 | |
昼寝から呼び戻される十コール | エノモトユミ | |
充電をしてケータイを飼っている | 居谷真理子 | |
電話帳鬼籍の人も名を連ね | 野平光太郎 | |
電話だけしないスマートフォンの群れ | 月波与生 | |
アドレスもスマホの機種も替えました | 美馬りゅうこ | |
痛み止めですか着信音ですか | くんじろう | |
留守電に数秒息を吹きかける | たぶん | |
神様にしばらく電話していない | 郷田みや | |
稲妻ピカリ父さんの黒電話 | 柴田比呂志 | |
受話器型魔人召喚用スマホ | ぱぱん | |
ポケットに上司が棲んでいるスマホ | 伊藤良一 | |
真夜中のワンギリからのサスペンス | アズスン安須 | |
3歳がタップフリックピンチする | アズスン安須 | |
多機能のスマホにヒトの声がない | 水たまり | |
夕焼けの赤はただいま話し中 | 水たまり | |
佳5 | 壊された携帯レモン青いまま | やひろ |
佳4 | 愛を聞くときは受話器を持ち替える | くみくみ |
佳3 | 公衆電話絶滅危惧種申請中 | 石川のコマネチ |
佳2 | テレフォンカード添えて棺を閉じました | 美馬りゅうこ |
佳1 | 090ー独り占めする君の声 | 怜 |
人 | 神様のお宅でしょうか あっ切れた | 加藤当白 |
地 | 孤独死を電話で知った日の孤独 | 徳重美恵子 |
天 | ラの音で鳴ったら彼からの電話 | 伊藤良一 |
汐海岬さま; 今日、黒電話といえば北鮮の基地外世襲独裁者ですから・・・
斉尾くにこ選
無事ですと電話のベルが三つ鳴る 木嶋盛隆
お名前の「隆」の字は「生の上に一」が正しい表記ですが、文字コードの関係で「隆」で記載させていただきました。
ご了承ください。