2018年6月WEB句会 (第27回)

2018年6月WEB句会 (第27回)

投句数 339句(170名)
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「 年 」
青砥たかこ 選

徒らに生き年輪の見えぬ顔かきくけ子
アンチエイジングピンクの服を着ています絹田あさ
お迎えの年限とうに二日酔山川守
帳尻を合わせ穴掘る年度末前川真
年寄りと笑わば笑えまだ助走大島ともこ
誤解したままの夫婦で五十年沢田正司
おとぼけも年季が入る老夫婦十六夜
たしか俺金の草鞋を履いた筈ひろパパ
半分過ぎてもう錆びている今年岸田万彩
忘れてもいい年ですと許される田村ひろ子
ぼんやりと定年ふいに出るクシャミ田村ひろ子
年金日百点取った孫が来る中筋弘充
そろそろと和暦身辺整理するペースかめ
年上の部下に敬語を欠かさない光畑勝弘
年寄りの赤紙届く七十五松長一歩
来年の約束はせぬチューリップ橋倉久美子
年金の天引き額と詰め将棋平尾定昭
惜しまれて逝くには年を取りすぎたあそか
モリカケの解明年を重ねてもフーマー
七段の十年前は五つだよはなぶさ
まいったなスマホはっきり年当てる稲垣康江
夫婦独楽ぶつかりながら50年上山堅坊
寄る年が速度早めて攻めてくる岸井ふさゑ
年賀状やめたら干支が分からないたごまる子
年の功縄文杉の佇まいひでき
抵抗もしないで年寄りになった心咲
もぎたての檸檬も年を食っちゃった心咲
ときめく恋はもう心臓に悪い年澁谷さくら
一年は短く一日は長いまさと
地震来る咄嗟に動けない年にやひろ
中年期 見えぬところに角ができ汐海岬
きれいなお肌年を聞いてもいいですか彩古
佳 作年を経て硬さを増した耳の骨板垣孝志
まだまだと十年旅券取る卒寿白鳥象堂
辞めたって返してくれぬ年会費吉崎柳歩
寂しくて一年中を渦の中平尾定昭
過ぎましたあなたのいない一年が居谷真理子
人の句晩年という貧相な海に出る雨径
地の句年収に聞き耳たてるクラス会福村まこと
天の句年ごとに雨の匂いが深くなる平井美智子

「 年 」
石橋 芳山 選

取説は年寄り向きに出来てない荘子隆
いい年していい年ってのなんだろうあーさまま
晩年という貧相な海に出る雨径
アンチエイジングピンクの服を着ています絹田あさ
パンドラの箱から飛んで出た月日武本碧
青と赤うまく混ざらぬ更年期米山明日歌
年齢を体重計が持ち上げる山田こいし
老人の仲間何歳からだろう
たしか俺金の草鞋を履いた筈ひろパパ
半分過ぎてもう錆びている今年岸田万彩
壺の中に今年を詰めて熟させる水野黒兎
右左丈の合わない閏年西沢葉火
一年の空論喉に吐けぬ泥原徳利
辞めたって返してくれぬ年会費吉崎柳歩
記念樹のグーチョキパーの枝分かれ岩根彰子
忘れてもいい年ですと許される田村ひろ子
年齢を聞いても薔薇は答えない尾崎良仁
少年は電池切れても笑ってる尾崎良仁
父の忌へ父を越せないダンディズム美馬りゅうこ
ワコールでピリオド打ってみるボディ美馬りゅうこ
年ごとに雨の匂いが深くなる平井美智子
年輪に沁み込んでいる旨い酒新家完司
年下の男もこんなおじいさん橋倉久美子
来年の約束はせぬチューリップ橋倉久美子
記録的加齢でしたとこの一年青砥和子
物置きにぎゅうぎゅう詰めの五年間藤井智史
うちの子ものび太の年を越えていく加藤当白
年の差を補助輪なしで見せつけるひでき
半世紀友とついた差何だった中内孚彦
目が回るくらいに歳をとってゆく丹下凱夫
年表を突っ切ってゆく青い馬
ディンクスが崩す人口ピラミッド水たまり
佳 作Yの手がピンと上がらぬヤングマン米山明日歌
年齢を詐称しているミニトマト平井美智子
老いるため年を重ねたわけじゃないたまき
うるう年だからあなたを愛せない斎藤秀雄
地軸へと刻む私の誕生日くみくみ
人の句少年のへそから下がさくらの樹斎藤秀雄
地の句ランドルト環から一年を覗く
天の句年齢は不詳怪魚になって行く森山盛桜

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