2018年2月WEB句会 (第23回)

2018年2月WEB句会 (第23回)

投句数 370句(191名)
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「 白 」
くんじろう 選

白い息ぐらいは見せて 駆けて来い細川花門
沈丁花の闇 逢いたい水たまり米山明日歌
白旗は我が家の居間の必需品三好光明
再生紙は開き直った白である千代美
白状するとモスラを食ったことがある月波与生
踊り場で紋白蝶になる手帖月波与生
ゾワゾワと白に犯されゆく二月平井美智子
大根の形のままで妥協する森山盛桜
白を足す呼吸が楽になるように橋倉久美子
三日月のうっすら透けて見える白青砥たかこ
雪雪雪雪雪雪いやになる新家完司
降伏は巻いた晒に聞いてから光畑勝弘
20パー増量白絵の具チューブ雨森茂喜
雪原を大蛇のごとくうねる川宮尾美明
婚約の指輪白つめ草で編む右田俊郎
歳月や渚に珊瑚礁の砂辻内次根
クレゾールの移り香遠く春の白辻内次根
白旗の真ん中に建つ精子の碑福村まこと
いもうとは白夜に眠る未決囚福村まこと
遡上して過去を漂白するのです柴田比呂志
雑音をきれいに流す白雨かな根木秋亜
白夜には白いライオンからLINE斉尾くにこ
手筈どうり二泊三日の白亜紀へ田口和代
純白は無慈悲に処刑された壁加藤当白
ルビコンを渡る白には戻れないうちだあつこ
滑らかな白磁は白い血を流す岸井ふさゑ
白馬が喉元過ぎて暴れ出す蕎麦酔人
白き手の報復メスは使わないまさと
余罪などございませんと春の雪美馬りゅうこ
町長がのこしたあぶりだしの遺書斎藤秀雄
遺すのは白い指紋とため息と水たまり
空欄を横切る一匹の白蛇
佳 作アルテミス型の乳房を好いている龍せん
腹筋がやっと割れたわ白木蓮岩根彰子
洗濯もせねばならない雪女吉崎柳歩
後ろめたい白ときどきどきどきする青砥和子
搾乳機動けぬ牛の哀しい目城崎れい
人の句本部ですどうぞ 白骨ですどうぞ加藤当白
地の句「     !       、     。」西沢葉火
天の句豪雪さ生理が七日こないとさ尾崎良仁

「 白 」
居谷真理子 選

山頂で見れば冠雪薄汚れかきくけ子
日章旗白地に赤の黄金比颯来
白黒は好きにどうぞと風見鶏大島ともこ
白い飯たらふく喰えてまだ不満竹中正幸
真っ白なシャツから透ける腹の色汐海岬
白線を5ミリ越えたと叫ぶ笛前川真
再生紙は開き直った白である千代美
よく泣いた 白が真白に見えた頃川本真理子
空白の時間を生きる千鳥足岡野満
魂を漂白してる日曜日十六夜
白鵬の白が段々薄汚れ岸田万彩
大根の形のままで妥協する森山盛桜
迷彩色の手を白手袋で隠す北田のりこ
頷いている包帯の白いことまろこ
母はいま眠り続ける白い部屋上原稔
白いのがいっぱい降ってきて寒い新家完司
雪のいろ白で良かった街に野に小林祥司
白か黒融通きかぬ男どもくみ
洗濯もせねばならない雪女吉崎柳歩
他の色は排除したから白い色寺川弘一
ホワイトアウト神の試練が終わらない笹倉良一
白無垢が満艦飾で里帰り葱坊主
夜の底ふたつ絡まる白い息石川柳寿
梅真白隣と比べたりしない紅梅
白髪がちらほら老いが迷い込む山下凱柳
白旗の裏にわずかに残る色西山竹里
看病の窓に差し込む白い朝野平光太郎
漂白で働く辛さまで取れぬ徳重美恵子
ドラッグで白衣着ているただの人井戸野蛙
大好きな白が他人の顔をする柳田かおる
白菊に埋もれ弔辞の品定めあそか
雪の色混ぜてこの世を淡くする水たまり
佳 作雪よ雪解けるな汚染目を覚ます澤井敏治
体幹を鍛え白旗高く揚げアズスン安須
本部ですどうぞ 白骨ですどうぞ加藤当白
証人がいないと僕は白でない平尾定昭
大根がアナタ好みになりたがるわこう
人の句一点のシミもゆるさぬ白の罪澁谷さくら
地の句草食の男は見ない白日夢伊藤良一
天の句白い手のままの神など信じない澁谷さくら

One Comment

  1. 返信
    2019年9月12日

    「     !       、     。」

    「白」という題があって「川柳」と認められるギリギリの作品だと個人的に思います。五七五の枠に収めるのも無理がありますし。
    でも、こういうアイディア勝負の一発芸は、無理に川柳という枠に収めることもないんじゃないでしょうか。
    草野心平の「冬眠 ●」のように、詩として認めるべき作品ではないでしょうか。


                          西沢葉火

    「     !       、     。」

    素晴らしいと思いますけど。
    ルナールにも「蛇――ながすぎる」なんてのがありましたね(『博物誌』)。

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