2018年7月WEB句会 (第28回)

投句数 337句(170名)
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「ビ ル」
平 宗星 選
































佳 作




人の句
地の句
天の句
夕焼けの中に廃墟のビルがあり
ビル谷間スパイダーマンも通れまい
人絶えて墓石のようなビル残る
天下を取ったつもりでしょうか摩天楼
見下ろされ大阪城も口惜しがる
お見知りおきをオシャレな野菜ビル育ち
不夜城に篭る戦士はもういない
横文字に強いカラスでビルが好き
屋上の二人に夜が降ってくる
ご先祖の墓までビルに鎮座する
夜鳴きそばビル高層に届かない
天国にいちばん近い部屋に住む
ビルの裏シーラカンスが飲んでいる
あのビルの右端辺りにパパがいる
遊び場がすっかりビルに呑み込まれ
にんげんがいたのかビルに灯が点る
炎天にビルの影すら煮え滾る
ビル谷間老舗女将の力こぶ
山鉾がビルに負けんと凛と立ち
愛憎がビルの谷間で息を継ぐ
何階建て以上をビルと呼びますか
工事終えボルト一本残ってる
朝夕にカラス出入りの秘密基地
新世紀ビルがだんだん背伸びする
見上げればバベルの塔が聳え立つ
照り返しビルで火傷の痕がある
解体のビルに別れの朝が来る
殺風景なビルの谷間に虹がたつ
ビルから見るなんと我が家の小さいこと
朝焼けのビルから魔法解いてゆく
ビル街に働く場所が見当たらぬ
その先はイカロスとなるビルディング
満月がビルの谷間で動けない
崩落はしない記憶のなかのビル
鈍感なビルはゴジラが踏みつぶす
ガリバーが跨げないかもしれぬビル
ペンギンも甚平鮫も泳ぐビル
少しずつビルに囓られてゆく空
あの世でも白木の箱はビルの中
残されて一番星になった窓

横山閲治郎
つれづれ
柊無扇
なお
吉岡修
大島ともこ
山本進
板垣孝志
米山明日歌
ホッと射て
澤井敏治
こみち
森山盛桜
ペースかめ

新家完司
素人
内田志津子
松岡篤
葱坊主
雨森茂喜
渡辺勇三
渡辺勇三
寺川弘一
小泉重夫
辻内次根
ちゃくし
柳田かおる
山本昌乃
青砥和子
石森あやみ

麦乃
雨径
十六夜
西山竹里
丹下凱夫
雨径
三好光明
西沢葉火




「ビ ル」
 栃尾 奏子 選
































佳 作




人の句
地の句
天の句
直角にビル街の夜が明けていく
あちこちにバベルの塔が建ち始め
ビルらしく黙って立っていましょうね
高層のビルが隣りを威嚇する
天下を取ったつもりでしょうか摩天楼
頂点の乾きを知ったノッポビル
ビルになる夢温めている積み木
ビル街を遠目に実家古きまま
信長に見せてあげたいあんなビル
また一つ風景変えてビルが建つ
酸欠のビルに優しい雨が降る
ビル風は景気不景気知っている
ビル風に持って行かれた片思い
去年まで見えた花火を消したビル
おじいさんもう止めなはれボディービル
大阪城ビルの間にちらり見え
非正規は見たこともない本社ビル
カードキービルへお盆の墓参り
世の中のどんなビルにもある二階
にんげんがいたのかビルに灯が点る
我が町でいちばん高い五階建て
通り雨グラデーションのビルになる
ビル群の夜景を映すサクソフォン
ビルの窓ラジオ体操午後三時
屋上に植物園を載せたビル
肉体美求めて励むボデイビル
くちビルがひとつ描かれたお品書き
支社勤務近くて遠い本社ビル
ペンギンも甚平鮫も泳ぐビル
震度5によろめいているビルの群れ
残業のビルの窓から遠花火
誇らしく背丈を競う都市のビル
ビルだってため息をつく夜十時
またビルが建ちます世界狭くして
連休のビルはあくびを噛み殺し
ビル風の孤独へヒール響かせる
押しなれた木のドアがある雑居ビル
幽霊も神様もいる雑居ビル
その先はイカロスとなるビルディング
かくれんぼしましょうあべのハルカスで

かきくけ子
柊無扇
乙川初音
柳谷益弘
なお
武本碧
橋倉久美子
山川守
絹田あさ
浮世っ子
平井美智子
白鳥象堂
こみち
心咲
水野黒兎
上平祥
吉崎柳歩
谷口修平
西山竹里
新家完司
新家完司
田村ひろ子
たごまる子
春川秋男
坂本加代
田原勝弘
斉尾くにこ
門田吉雄
丹下凱夫
光畑勝弘
野平光太郎
野平光太郎
汐海岬
海賊芳山
光畑勝弘
真島美智子

勢藤潤

丹下凱夫



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