|
|
|
人の句 台風に耐えて男になっていく
地の句 度を過ぎた豪雨禍に泣く賢治の詩
天の句 一升瓶据えて台風迎え撃つ |
海老池洋
坂上淳司
新家完司
|
|
人の句 生きている三分の粥のうまいこと
地の句 児の病名裂いて捨てたいこのカルテ
天の句 退院の一歩を大地受けとめる |
田中章子
柴本ばっは
水野黒兎
|
|
人の句 もう誰も頼らぬ力瘤ふたつ
地の句 何もかもふたつ 楽しい小宇宙
天の句 待つ人がひとりいるのでふたつ買う |
新家完司
山本昌代
鴨谷瑠美子
|
|
人の句 紆余曲折を経て平凡に突き当る
地の句 肝臓の形が徳利になった
天の句 絶妙の歪みと名人譲らない |
久保田千代
新家完司
島田握夢
|
|
人の句 手術室ぼくの名前が違ってる
地の句 誰か居る渡り廊下の突当り
天の句 言い勝ってヒヤリ冷たい腋の下 |
前たもつ
今井万紗子
西出楓楽
|
|
人の句 八日目の蝉には宙があるばかり
地の句 かもめ舞う目先にクナシリが浮かぶ
天の句 リオはリオ私は私 なすび焼く |
木本朱夏
山田耕治
緒方美津子
|
|