川柳塔 2016年5月本社句会秀句の紹介


席 題
「帽 子」
森松まつお 選
 人の句 勲章のない制帽で四十年
 地の句 未来図へ無限を包むベビー帽
 天の句 闘病の友に帽子を編んでいる

川端一歩
大内朝子
安土理恵


兼 題
「 胸 」
大久保眞澄 選
 人の句 胸かした弟子に付人しています
 地の句 胸焼けのする答弁を聞かされる
 天の句 胸襟も開き過ぎると風邪をひく

奥村五月
澤井敏治
鈴木いさお


兼 題
「不意に」
足立  茂 選
 人の句 妻が不意に敬語で喋り出す恐怖
 地の句 戒名を決めると急に逝きはった
 天の句 不意に来てすぐに飛び去るあぶく銭

西出楓楽
山封枢F
吉村久仁雄


兼 題
「枯れる」
岩佐ダン吉 選
 人の句 ここという時に枯れ木の咳払い
 地の句 枯れはった丸なりはったと誉めてる気
 天の句 人情も枯れる格差のある街に

澤井敏治
矢倉五月
木本朱夏


兼 題
「きりり」
笹倉良一 選
 人の句 ひとりだが上げた手迷うことはない
 地の句 決断の眉大股に風を切る
 天の句 のびのびと時にきりりと生きよ子よ

岩佐ダン吉
松本柾子
澤井敏治


兼 題
「言 葉」
小島 蘭幸 選
 人の句 ゆっくりと言葉の中に消えました
 地の句 歌うように奏でるようにありがとう
 天の句 正装をしても大阪弁である

谷口義
木本朱夏
谷口義


月間賞
谷口義



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