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人の句 近所迷惑中国の砂嵐
地の句 みな春を待つので冬が荒れ狂う
天の句 抜歯する嵐のような口の中 |
新家 完司
居谷真理子
藤井 宏造
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人の句 臍を噛む思い真白き骨拾う
地の句 もう一度はだしのゲンをかみしめる
天の句 噛みくだきすぎて正体まで消えた |
両川 無限
川端 一歩
江見 見清
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人の句 しょうもない頓知でしらけ出す空気
地の句 頓知から飛び出したのは春だった
天の句 仮の世のとんちが終の日に解ける |
足立 茂
立蔵 信子
両川 無限
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人の句 やんわりと首を束縛するベルト
地の句 電車にはシートベルトのない不思議
天の句 どのベルトに乗れば銀河へ着けますか |
安土 理恵
北野 哲男
渡辺 富子
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人の句 春泥に急かされ冬を脱いでいる
地の句 土下座した泥の匂いを忘れない
天の句 心の泥洗う写経の墨を摺る |
工藤千代子
升成 好
西出 楓楽
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人の句 ほんのりが好きだとツレが申します
地の句 雪融けの匂いになってきた手紙
天の句 梅香る遺影の母と立ち話 |
志田 千代
赤松ますみ
工藤千代子
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