川柳塔 2013年3月本社句会秀句の紹介


席 題
「嵐」
江島谷勝弘選
 人の句  近所迷惑中国の砂嵐
 地の句  みな春を待つので冬が荒れ狂う
 天の句  抜歯する嵐のような口の中

新家 完司
居谷真理子
藤井 宏造


兼 題
「噛 む」
矢倉 五月選
 人の句  臍を噛む思い真白き骨拾う
 地の句  もう一度はだしのゲンをかみしめる
 天の句  噛みくだきすぎて正体まで消えた

両川 無限 
川端 一歩
江見 見清


兼 題
「頓 知」
西内 朋月選
 人の句  しょうもない頓知でしらけ出す空気
 地の句  頓知から飛び出したのは春だった
 天の句  仮の世のとんちが終の日に解ける

足立  茂 
立蔵 信子
両川 無限


兼 題
「ベルト」
宮西 弥生選
 人の句  やんわりと首を束縛するベルト
 地の句  電車にはシートベルトのない不思議
 天の句  どのベルトに乗れば銀河へ着けますか

安土 理恵
北野 哲男
渡辺 富子


兼 題
「泥」
村上 玄也選
 人の句  春泥に急かされ冬を脱いでいる
 地の句  土下座した泥の匂いを忘れない
 天の句  心の泥洗う写経の墨を摺る

工藤千代子
升成  好
西出 楓楽


兼 題
「ほんのり」
小島 蘭幸選
 人の句  ほんのりが好きだとツレが申します
 地の句  雪融けの匂いになってきた手紙
 天の句  梅香る遺影の母と立ち話

志田 千代
赤松ますみ
工藤千代子


月間賞
工藤千代子



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