川柳塔 2013年2月本社句会秀句の紹介


席 題
「洗う」
渡辺 富子選
 人の句  わたくしの匂いが消えるまで洗う
 地の句  捨て科白洗い直してから使う
 天の句  それからの闇を洗うてきた絆

小島 蘭幸
谷口  義
中井 アキ


兼 題
「蓋」
桝本 宏子選
 人の句  哀しみに蓋をしているのは男
 地の句  オモチャ箱夜中に蓋が開くマーチ
 天の句  パッと蓋取れば茶柱立っている

中井 アキ 
シマ子
北村 賢子


兼 題
「ようやく」
池  森子選
 人の句  美しい嘘をようやく言えるひと
 地の句  死神に会うてようやく真人間
 天の句  熱い汗積んで真っ赤な実を結ぶ

板尾 岳人 
栃尾奏子
大内 朝子


兼 題
「紡ぐ」
川端 一歩選
 人の句  平和を紡ぐはだしのゲンを読んでみる
 地の句  菜の花の黄色が春を紡ぎだす
 天の句  今日という糸を明日へ繰り紡ぐ

吉道あかね
水野 黒兎
三宅 保州


兼 題
「ぱちぱち」
水野 黒兎選
 人の句  すこし爆ぜるためにしじまに置く背骨
 地の句  拍手喝采してピエロの無表情
 天の句  拍手受けそれから重い荷を背負う

たむらあきこ
坊農 柳弘
西出 楓楽


兼 題
「親」
小島 蘭幸選
 人の句  両親が十年日記買うている
 地の句  亡母の貌から風景が濡れている
 天の句  横綱を産んだ貧しい母だった

桝本 宏子
たむらあきこ
居谷真理子


月間賞
居谷真理子



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