多数の皆さまのご参加をいただき感謝申し上げます。
入選句の内、秀句と特選句を紹介いたします。


兼 題
「包む」 政岡日枝子 選

たとう紙に包んだままで年を取る
くるまれて命育む一〇五歳
風呂敷で包む文化が薄れゆく
嘘ひとつ包み正座がくずされぬ
善人を包むと神も眠くなる
過大包装したばっかりに売れ残る
御包みにポワッと赤ちゃんの笑顔
真っ新のいのちを包む母となる
両の手で抱きしめないと子が迷う
黙祷へ心ひとつに包まれる

岡 山
奈 良
奈 良
広 島
兵 庫
高 知
大 阪
愛 媛
兵 庫
兵 庫

紫 しめの
山本 昌代
胡内 敏雄
渡辺 典子
河内谷 恵
小川てるみ
片山かずお
柳田かおる
尾崎 一子
椙元 世津


旅の雪 わたしを包むのは 私
鳥 取
八木 千代
兼 題
「包む」 川上 大輪 選

紫の袱紗に包む世間体
春夏秋冬とても素敵な包装紙
嘘ひとつ包み正座がくずされぬ
取りあえず包むシッポは出たままで
多ければ茶封筒でもいいお礼
辛抱を包み込んでる座りだこ
包んだら余計に騒ぐスキャンダル
包みから出したとこまで覚えてる
包まれた愛がしだいに邪魔になる
包まないところは褒められたところ
鳥 取
青 森
広 島
和歌山
大 阪
和歌山
大 阪
大 阪
兵 庫
鳥 取
倉益 一瑶
濱山 哲也
渡辺 典子
古久保和子
日野  愿
三宅 保州
井丸 昌紀
古今堂蕉子
山口 光久
斎尾くにこ


包んだらこんな小さくなりました
兵 庫
中岡千代美


兼 題
「重 い」 菱木  誠 選

重心を下げて丸ごと受け止める
月一度抱く手にひと月の重さ
花びらの重さを知っている水面
札束と比べるにんげんの重さ
重いなあ介護するのもされるのも
延命はしない綿毛が重くなる
あの雲はもう見たくない重い雲
明日へ切る舵が軋んで重くなる
神様がくれた重たいスケジュール
重すぎる拒絶へことば見失う
奈 良
大 阪
佐 賀
広 島
大 阪
愛 媛
大 阪
岡 山
島 根
大 阪
松本 柾子
矢倉 五月
真島久美子
鴨田 明紀
宇都満知子
柳田かおる
宮守 正博
奥田 佳子
藤井 寿代
神田 良子


生きてゆく重さぶらりと象の鼻
大 阪
平井美智子
兼 題
「重 い」 新家 完司 選

どっちが重いヤドカリとカタツムリ
娘に送る重いキャベツとお小遣い
人生の重さを知っている軍手
飲み仲間妻の話題は口重い
善人だ口は重いが身は軽い
生きてゆく重さぶらりと象の鼻
人間が重たくなってきた地球
魂が重くて飲んでいるのです
腕力を鍛えて妻を介護する
目に見えぬものを引き摺っている踵

兵 庫
岡 山
青 森
大 阪
佐 賀
大 阪
大 阪
広 島
兵 庫
大 阪
南谷  到
氷見 心咲
濱山 哲也
長井 善純
角田 幸美
平井美智子
海老地 洋
小島 蘭幸
萩原 典呼
嶋澤喜八郎


幸せの財布は丁度よい重さ
奈 良
居谷真理子

 

雑 詠
赤井 花城 選

マリオネットの微熱はきっと愛だろう
一つずつ介護の呪縛とれて春
土くれになるまで父が居た棚田
優しさを使い果たして母が病む
メールからメールへ虹が立っている
ほろほろとやさしい嘘におぼれそう
師の年譜辿る文学館の春
薄氷を踏んできっとを待ち侘びる
糸屑をとった背中が行ったきり
ストレッチしながら待っているさくら
山 口
大 阪
長 野
大 阪
大 阪
鳥 取
広 島
大 阪
島 根
大 阪
中前 幸子
神田 良子
石田 一郎
太田扶美代
赤松ますみ
岡崎美知江
小島 蘭幸
山野 寿之
伊藤 玲子
松尾美智代


ヌーボーとした日溜まりに半世紀
奈 良
松本 柾子
雑 詠
小島 蘭幸 選

歩けるってすごいことです寒椿
そんなことどうでもよくなってさくら
真冬だというのに菜の花が咲いた
過去はみな忘れて遊ぶケアハウス
すいとんは好き戦争は大嫌い
さむらいの昼飯いつもワンコイン
反論をしない男を軽くみる
剪定をして剪定をして ワタシ
輪になって寒いはなしを聞いている
土くれになるまで父が居た棚田
高 知
大 阪
大 阪
広 島
静 岡
鳥 取
愛 媛
青 森
大 阪
長 野
坂本紀美子
谷口  義
河内 月子
鴨田 昭紀
山本 智子
森山 盛桜
中居 善信
高瀬 霜石
ヤ田 寿子
石田 一郎


海鳴りが止まぬ少子化のあした
大 阪
山岡冨美子

 

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