川柳塔 2018年6月本社句会秀句の紹介


席 題
「 足 」
島田 誠一 選
 人の句 迷路行く足に合わない靴履いて
 地の句 踏み締めた大地はきっと温いはず
 天の句 白足袋におんなの意地が見え隠れ

森廣子
小野雅美
酒井紀華


兼 題
「薄 い」
加川 靖鬼 選
 人の句 網膜に今も微笑む妻がいる
 地の句 薄紅を引いて女は蝶になる
 天の句 だんだんと透けてきましたしゃあないか

山本進
木嶋盛隆
江島谷勝弘


兼 題
「ジャンプ」
岩佐ダン吉 選
 人の句 願望の平和へジャンプする非核
 地の句 大仏がジャンプをしたら凄かろう
 天の句 七色の薬並べてジャンプする

大内朝子
海老池洋
榎本日の出


兼 題
「もやもや」
久保田千代 選
 人の句 液状化すすむ海馬を抱えてる
 地の句 誤作動がつづくもやもやしてる脳
 天の句 秀作が生まれ出そうなもやもやだ

澤井敏治
木本朱夏
新家完司


兼 題
「はずす」
松原 寿子 選
 人の句 はずされて人はだんだん強くなる
 地の句 今日を終わる心の鍵をいまはずす
 天の句 人間の仮面外すと生きやすい

榎本日の出
吉岡修
前たもつ


兼 題
「起 伏」
小島 蘭幸 選
 人の句 立ち漕ぎで乗り越えてゆく夏の坂
 地の句 感情の起伏 妻は女優である
 天の句 千年の仏もあったろう起伏

平井美智子
上山堅坊
桝本宏子


月間賞
桝本宏子



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