吐く息も吸う息もなし 夕桜

担当
文切
吐く息も吸う息もなし 夕桜
橘高薫風

川柳塔最新号(1092号)橘高薫風抄から。

私が通っていた中学校は、桜の名所としても有名である(こちらを参照)。
在学当時は、見慣れた光景というか、「通学路に桜が咲いている」という程度の認識で特別な意識はなかった。

大学進学で鳥取から沖縄に移ってもうすぐ20年になる。
沖縄には寒緋桜しかなく、1月2月がシーズンで、散る時は椿のように花ごと散る。
3月末から4月初めは春休みで飛行機代が高く、学生で金もないのでこの時期には帰省しなかった。
沖縄に移ってからは、桜は縁遠いものになった。

大学を卒業してしばらくして、沖縄に移って初めてこの時期に帰省した。
私が学生の頃からは道などが整備されて随分変わっているというので、久しぶりに中学校に行ってみた。

桜が綺麗だった。とても。

在学中に散々眺めて、特に意識していなかった桜に、驚くほど感動している自分がいた。

今の自分には当たり前でも、他人には、将来の自分には当たり前でないことは実は結構あるのではないか。
この句を読んで母校の桜のことを思い出し、日々の暮らしを振り返っている。

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3 Comments

  1. 返信
    奏子 2018年5月5日

    文ちゃん。
    いい川柳(当たり前か笑)
    いいエッセイ。
    若い時ってなんか当たり前に通り過ぎちゃうんやわ。
    景色も人間関係も…あらためて思うと色々考えさせられるね。

    • 返信
      森山文切 2018年5月6日

      コメントありがとうございます。僕の場合は子供ですね。一番下は1歳でオムツや夜泣きで大変ですが、この子で最後かと思うと、1日1日大事にしなければと思います。

  2. 返信
    森山文切 2018年5月5日

    直近5回分について表示感を調整しました。
    スマホ、タブレットでの表示が改善されたと思います。
    過去分までの調整は行いません。

    今後は今回と同じ表示感で掲載したいと思います。
    不具合がある方はお問い合わせなどから管理人にご連絡ください。

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